東京なんちゃらについて
まず名前が長いよな。というかこれすげー不毛だと思う。
世論って「誰かが言うだろうからべつにぼくがいわなくてもいいこと」であり、また「自説を補強する論理を提示しなくても誰かが代わりに弁護してくれるだろうからべつにぼくがいってもいいこと」だ。
ガヤが多いんだよね。
表現規制が如何に馬鹿げていることかを怒りで表現しないでください。
うるさいです。
って書くと苛立たせるようなので、え、じゃあ、うるちゃいうるちゃいうるちゃい!
(シャナ何巻まで読んだかわかんなくなっちゃったんだよね)
うん、なにかさ、議論をぐずぐずにしてしまうような要素がどこかにあるみたいだよね。
□Togetter - 「作家高橋源一郎氏が東京都青少年健全育成条例改正に反対する理由」
高橋さんが言及していたのでぼくもいいかげんかんたんに考えておく。
高橋さんがずばっと斬ってくれたのでスッキリする。
うん、そうだよね、賛成賛成。
それでちょっと状況を整理しよう。
ぼくの頭の中では規制条例をめぐる状況はすごく簡単な図式によって説明されている。
印象によってキャラクターを当てはめて人形劇みたいに動かしてみる。
「01:規制推進派的なもの」「02:現場の漫画家の実感+フーコー的なもの」「03:猪瀬副知事的なもの」「04:タカハシサン的なもの」「05:石原慎太郎的なもの」の五つ。
01まず(エロ)表現に対する嫌悪が01規制推進派的なものだ。
まあこれはすごくわかりやすい。
ポルノから子どもを守ろう。子どもの手からポルノを奪おう。
汚いもの病んだもの弱ったものよくわからないものはすべて抑圧して健全で美しくゴミ一つ落ちていない美しい街を作ろう。
02でも少し勉強すればわかるのは02現場の物書きの実感でエロ表現が人間を損なうというのはちょっと違うんじゃないのっていう違和感が出てくることとミシェル・フーコーが喝破したようにキモイ奴は去れっていう感覚は新しい権力なんだみたいなことだよね。
この立場において「表現の自由」がとりあえず錦の御旗として掲げられる。
よくわからんけどね。
03これもよくわからないけれど猪瀬副知事曰く「規制反対派の皆さんは「表現の自由」うんぬん言いますけれどね問題の本質はそんなところにおまへんねやゆーこってすわ」。
「単にゾーニング(すみわけ・棚わけ)の問題」なのだそう。
ぼくは二つの水準で反論をもつ。
ひとつめ。
まず単にゾーニングなのであってもそれを条例で規制する必要がないと思う。
家庭や学校の指導を超えて条例で具体的に取り締まらなくちゃいけない根拠を提示していただきたいなあ。
ただの権力欲なのではないかとスペキュレーション。
ふたつめ。
ただのゾーニングに終らないとおもう。
ということをすでに規制反対派が主張しているんじゃないですか。
だから議論が退行してるとおもうんです。
「意識/無意識」、「理念/現実」、二組の二項対立を導入しよう。
規制条例というのは猪瀬さんの頭の中(意識)ではたんにゾーニングとして試みられるもの(理念)だ。
でも実際には(現実)たんなるゾーニングを越えて表現は規制されやすい傾向にある(無意識)。
というか歴史に学びましょうよってことだったとおもうよ。
こんな程度の「常識」で(表現は過剰に規制されやすい)反論できるようなことをしてるから頭痛くなるんだよね。
「表現の自由」ってタームは今や小学生でも知ってるじゃないの。なんなの?
04タカハシさん的なもの
知性ってのはこういうことをいうんだな。知性は知識に一致しない。
それはまずマッピング能力なのであって対立する立場を並べてクールに見ることが出来る、両者を調停できる態度のことだろう。
高橋さんの議論を通してもうひとつ規制条例の内容うんぬんとは別のところに問題があることが見えてくる。
05「石原慎太郎的なもの」=匿名的憎悪である。
これはたぶん都知事に固有のものではなくて現代という時代の大文字の「疾病」ではないかと思う。
□石原慎太郎の目指すもの「嫌悪の狙撃者」 - 深町秋生のベテラン日記
http://d.hatena.ne.jp/FUKAMACHI/20101213
深町さんもすごい知性の人だとおもう。
石原的なものが規制うんぬんとはべつに重大な問題としてあることをいち早く気づいているからだ。
ぼくは深町さんとマツコ・デラックスのおかげでこの問題に気づいたよー。
やっぱり「匿名的憎悪」みたいなものってあるとおもうんだよ。
□Togetter - 「ジャーナリスト烏賀陽弘道さんが体験した警察の横暴」
これ読んでびっくりしたのはさ、警察の横暴のほうは、ま、ともかくも。
「「警察を呼んで!」「助けてくれ!」と必死で歳末、イブでごったがえす築地の雑踏に叫んだが、冷笑されるだけで誰も助けてくれなかった」
けっこう日本も来るとこまで来てるよな。
なんなんだろうなーなによりもあの都知事を支持しているわけだからさ。
みんなこの立場に賛同しているわけだもんね。
だいぶ重篤だと思います。
なぜ「匿名的憎悪」のようなものが発生したのか、ということはまだわからない。
でも、匿名的憎悪が蔓延した、なるほど、ではどうしたらいいのか、ということはわかっている。
憎むな、許せ。
憎んだらいかんよ。出口は類にしかありえない。
ここからはぼくの議論に繋がるね。また考えてみよう。