村上春樹「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」(本を読んでみてはいかがですか?Part130) | 兵庫県健康生きがいづくり協議会 ニュースと行事予定

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 この本は村上春樹のインタビュー集(1997-2011)です。

著者が文藝春秋出版局の故岡みどりさんから強く出版を勧められて本にしたものであるが、出版作業に5年以上を要し、本となったのは彼女が故人となった後であったという作品です。

2回にわたって内容をご紹介します。

 

 

1997年のアメリカでのインタビュー「アウトサイダー」では「ねじまき鳥クロニクル」のこと、地下鉄サリン事件を題材とした「アンダーグラウンド」のことが語られ、ダークなことを書いていても自分が怖くなることはないし、それを避けて通ることもできないと説明しています。


1998年の台湾でのインタビュー「現実の力・現実を超える力」は初めての台湾メディアのインタビューに応じて、創作のプロセスについて語ったものです。学生運動、地下鉄サリン事件とそれを扱った「アンダーグラウンド」について語り、いろいろなものを組み合わせて複合的に人物や風景を描写していく過程が説明されています。


1999年の広告批評の島森路子からのインタビュー「『スプートニクの恋人』を中心に」では、この小説は徹底的にネジを締めて余計なものはすべてはずして、自分が納得いくものだけを文体に詰め込んでみようとしたのだと語っています。そして、文体が力を持たなくなったらだめだと答えています。


2003年の中国でのインタビュー「心を飾らない人」では「海辺のカフカ」ついて語り、「世界の終わりと・・」の作品の続編として書きたいと思っていたが、それを放棄したのがこの作品だと答えています。


2003年文學界でのインタビュー「『海辺のカフカ』を中心に」では、この本の成り立ちとその周辺について多くのことを語っています。


2003年のフランスでのインタビュの「書くことは、ちょうど、目覚めながら夢見るようなもの」では世界中で読まれる作家になったことへの戸惑いと夢とセックスが自分のうちに入り込んで未知の部分を探るための鍵であり、1995年に日本に戻ることを決意したのは人間としての責任が問われていることを果たそうとするためであると語っています。


2003年のロシアでのインタビュー「お金で買うことのできるもっとも素晴らしいもの」ではロシア社会のダイナミックな価値観の変換の中で自分の本が読者の心にうまくヒットしたと考えていると答え、より優れたより大きな作品を書くための時間と自由を得るためにお金を使うのだと答えています。

 

2004年以降については次回にご紹介します。

以上