平田オリザ 名著入門 日本近代文学50選-その1(本を読んでみてはいかがですか?Par115) | 兵庫県健康生きがいづくり協議会 ニュースと行事予定

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 今回は、劇作家、演出家で豊岡市にある公立の芸術文化観光専門職大学の学長をされている平田オリザ氏の著書のご紹介です。

 

 まずは平田氏のご紹介から始めたいと思います。

1962年11月8日 生まれ、日本の劇作家、演出家、劇団「青年団」主宰、こまばアゴラ劇場支配人、芸術文化観光専門職大学学長(初代)。戯曲の代表作に『東京ノート』『ソウル市民』三部作など。小説『幕が上がる』は2015年に映画化され、第70回毎日映画コンクール(TSUTAYA映画ファン賞日本映画部門)などを受賞。東京都目黒区駒場に生まれる。平田オリザは本名で、ラテン語のoryza(正確な発音は「オリューザ」に近い)が「稲」を意味する。1982年国際基督教大学に入学。目黒区立第一中学校1年生のときに学芸会の劇を初めて演出し、中学を卒業して都立駒場高校定時制に進学。高校2年、16歳のときに高校を休学(のち中退)し、自転車による世界一周旅行を決行。その後世界26か国を放浪し、1981年に旅行記を出版している。1982年国際基督教大学に入学。大阪大学客員教授も務め、アンドロイドの石黒教授と仲が良い。小学校における演劇教育(子供による脚本づくり)を多数継続中。

 

 次に、本のご紹介の前に、平田氏が今年1月に阪神シニアカレッジにおいて講義された内容をお伝えしたいと思います。

・スキー人口の減少は若者人口が減ったからではなく、スキー人口が減少して若者の出会いの場が減少したことで人口減少が発生したのである。
人口減少の本質は、都市においてはライフ・ワークバランスであるが、地方においては出会いの場の減少(結婚した世帯の出生率は変わっていない)、高校出の階層化(進学校では子供が地方から出ていく)、コミュニケーション不足であり、その解消のためには面白い町創り、帰りたくなる町創り、出会いのある町創りが不可欠。
・Uターン、Jターンを阻んでいるものは、雇用だけではなく、教育であり、医療であり、スポーツや文化の魅力度である。
・画一化する地方都市の風景は1970年代のアメリカにおける風景に似ており、旧市街地の昔から守ってきたものが壊れつつある。それは、床屋、銭湯、駄菓子屋であり、無意識のセーフティネットであり、重層性のある社会である。その良さを復活させるためには「新しい広場」を作る必要性がある。
・「新しい広場」は例えば図書館であり、フットサルや劇場・美術館であり、それらが弱者の居場所と出番を作ることにつながるのである。
・自発的に参加する緩やかな共同体(強固な共同体から誰かが誰かを知っている緩やかな共同体)の拠点として出会いの場を提供する「新しい広場」があり、自己有用性の実感がそのカギになる。
・弱者をいかに社会と繋ぎとめておくかということが重要であり、弱者を孤立させてしまうと社会のコストは増大するのである。

・弱者を社会に繋げとめるためには「文化による包摂」が大切であり、地縁血縁型社会の崩壊や長期化する不況によって社会から孤立しがちな人間を文化活動などによって社会にもう一度包摂するのである。
生活保護、雇用保険、高齢者医療費は事後分配(格差を解消するための分配)であるのに対して、学校教育、社会教育、文化政策は事前分配(格差や孤立を防ぐための分配)なのである。
芸術文化観光専門大学は2021年に開学し、1学年は80名。全国から学生が集まり、高い第一志望率を誇り、入試倍率も高く7.8倍である。日本初の演劇とダンスが学べる公立大学であり、初の観光が名前に入っている大学でもある。
・文化観光政策作りは本来一緒にやるべきであるのに従来は別々にやってきていた。
・毎年9月に豊岡演劇祭を開催し、アジア初のフリンジ型国際演劇祭であり、5年でアジア最大のフェスティバルにする計画である。
・若いころに神と崇めた上村直己の生誕地を終の棲家にできたことに感動している。

 

今回は著者の平田氏のご紹介になりましたが、次回から2回にわたって日本近代文学50選についてご紹介していきますので、ご期待ください。

以上