電車に揺られながら、

好意的な意見を述べれば、あまりかわいくない彼女を、

満員電車の中で、必死に他の男に触らせまいと頑張る、


20代前半の男を見ながら考えた。


つまるところ、僕の中には、

輪の中心に居ようとする僕と、

輪から外れたがる僕が同時に存在する。


もっとも、それは多かれ少なかれ、

誰にでもあることなのかもしれない。


でも、僕は、

嬉しそうに彼氏の腰に腕を回すかわいくはない女性を見ながら、

気がつくことになる。



そうか、

僕は中庸で居たいのかもしれない。


まだ、右に行くマージンもある。

左に転ぶマージンもある。


前に行けば、広がる景色があることも知っているし、

後ろに戻れば、楽で居られる空間も知っている。


走ることの喜びも知っていたはずだし、

立ち止まることの安易さも知っていたはずだ。


それでも、僕は、

ボールリレーで、

どっちにも動かない真ん中の鉄球のように、


左右に振れていく、自分と同じ形の鉄球を見送る。


もっとずっと若いころは、

その同じ形の鉄球に、

羨望や、さげすみを持っていたりもしたのだけど、


今の僕にとっては、持ってることも持っていないことも等価値だ。


中庸の僕が思うのは、

熱いシャワーを一刻も早く浴びたいということと、

毛布の中に、何もかもかなぐり捨てて潜り込むこと、


はたしてそのどちらのほうがより幸福なのか、

そんなことを考えていた。

少女は気がついた時には、少女だった。


なぜ自分が自分なのかを知ることはなかったけど、

そこにはやはり自分が居た。


嬰児が、産声を上げるのと同じくらい自然に、

少女はやはり、少女だった。


ねむの木に背を預けながら、

暮れゆく空と、明けていく空を見た。


星はゆっくりと横に流れ、

風まくそのただ中にあって、そこはまぎれもなく、世界の中心だった。


それがウスバカゲロウの羽根ほども脆いものであったにせよ。


少女は、じっと腕の中のトーガを見つめていた。


黄昏より暗きもの


母はそう言って、そのトーガを少女に託した。

だから、そのトーガは命と同じだけの重さを持っていた。


それは38グラムかもしれないし、

星ひとつより重いのかもしれない。


全てが無価値であり、有意義なこの瞬間に、

それでも少女は立ち上がり、東の空を見た。


薄く煙る朝もやの中で、

薄手のシャツを脱ぎ棄て、

まだ起伏に乏しい裸身を晒す。


初めて頭と腕をトーガに通したとき、

少女が感じたのは、不安や畏れではなく、

ただくすぐったいとそう感じたのだ。


その率直さは、人間の本能なのかもしれない。

突然後ろから話しかけられたのは、秋だか春だか判らない日。

昨日と今日の境目すら思い出せない、当たり障りのない日。


「ねぇ、東はどっち?」

真っ黒なトーガを被った少女は、黒い双眸を無造作に僕に投げかけていたけど、

小さめの唇から紡がれた言葉は、それよりもっと無造作だった。


「多分、駅前のレストランで鴨とクレソンの吸い物を注文したら教えてくれるんじゃないかな?」

ほんの少し首を傾げて、
少女は更に問う。


何故か少女の周りの空気は、ちっとも動いていないように見えた。

それは、熱帯魚と観察する誰かの間にある、水槽のガラスみたいに。


「なんでクレソンなの?」

今度は僕が首を傾げて答える。

「それはきっと僕がクレソンを食べたいからじゃないかな。」


「なら、直ぐに行きましょう。」

「何処へ?」


少女はやれやれという風に両手を腰に当てて言う。

「もちろん、そのレストランよ。

また質問される前に言っておくと、

きっと鴨の脂でしなったクレソンは西側に脂を落とすもの、

私はその反対に歩いて行けばいいのよ、簡単な事だわ。」


なんて事はない、
僕はしなるクレソンを見たくなって、少女を連れてレストランに向かった。
自尊心の為に言うのなら、決してお腹がすいていたからではなく。


それなのに、レストランのメニューには鴨とクレソンの吸い物がなかった。

避難がましい目で、少女は此方をみるのだけれど、
僕は、さも当然という風で、


「きっと旬を過ぎているからだよ。」

と、諭した。

もっとも僕は、鴨の旬も、クレソンの旬も知りはしない。

それは、文学部の生徒に、小難しい定理が説明できないのと同じだけの理由だ。



「私は、どうしても東の果てで、この冬で最初に訪れる朝日を見なくてはいけないの。」


そう説明するのだが、

深刻そうな顔と反対に、仕方なしに注文したハンバーグを、

いそいそと切り分ける姿は、なんとも笑いを誘った。


「でもまあ、冬がどこから来るのか分からないのだから、

もしかしたら今いるこの場所が、東の最果てかもしれないねえ?」


少女は、冬眠から覚めたばかりのモグラのような顔つきで、

僕を見るのだけれど。


やはり、皿を見もしないで、

右手のフォークでハンバーグを突き刺し、


何も言わずに、ハンバーグを咀嚼していた。



いずれにせよ、何かを食べながら、

何かをしゃべることなんてできはしないのだけれど。






昔、夢をみた。

誰も乗ってない地下鉄で、
僕は独り、定期的に横に流れる光を見ながら。
何処へも辿りつかない線路で、無感情に覚醒を待っていた。

思えば、
夢で何処かへ行き着いた事も、何かを達成したことなんて無いのかもしれない。

現実の僕は、夢の僕を夢見て、
夢の僕が、現実の僕を夢見るのだから、
それは無理ないことなのかもしれない。


そうして僕は何時しか、
夢を見なくなった。
そうして僕は何時しか、
暗闇を畏れなくなり、

ぽっかりした、明かりのない世界で、自分を空っぽにできるようになった。


でも、多分、僕は前より自分の事が気に入ってるんだと思う。

だって、世界が止まりそうに寒い夜に、もう少しで星に手が届きそうな気がするから。
や、ども。

帰り道にiPod忘れて、
携帯随筆。

マルサなおばさまは、素敵に酒飲みで、
5時間日本酒飲み続けて、
HYDEは華麗に7年ぶりくらいに嘔吐しましたとさ(笑)

ただまァ、なんというんですかねェ。
同じ事を言っても、
ある人の言う事は腹に落ちるけど、
別のヤツに言われると腹が立つってのは、
実に切実ですな。


その人の人徳言っちゃえば、それまでなんですが、
やっぱ人間かけはなれたレベルと世界は、決して理解できないよなあとか。

飲み屋の壁に

中途半端にやるから愚痴がでる
本気でやれば知恵がでる


あァ、納得。

あ、どもども。


割と生きてます、Hydeです。


ある日パソコンが異音を発してお亡くなりになったり、

諦めたその瞬間、もう次のパソコンを買いに行ったり、


スコットのほっぺたがどこまで伸びるのか試したくなる、

そんな夜更けですが、


あいあい、皆様お元気でしょうか?


落ち込んだりはしないけど、

Hydeは今日も元気です。



暇だったあの頃が懐かしいですが、

まだ3カ月しかたってないんですねェ…とか。


ま、なんにしても、暇持て余して、何もしないよりは

なんかしてるほうが遥かにましだなァとか。


新しく買ったパソコンは、やたらにキーボードうちにきィなあとか、


なぜか、来週はマルサの女のモデルになった、

素敵なおばさまと、酒飲みに行くことになったり。



余裕はないけど、充実した日々…

によく似た日々を過ごしてたり、過ごしてなかったりですが、


太りすぎて、肝機能が低下中と聴いて、

げんなりです。



人間心と体は健やかに


ですな。


ええ、顔文字もないんですのよ、オホホホ。

傘で仕切られた、下半分だけの景色。


彗星みたいに視界を横切る水滴は、

いつしか柔らかい軌道に変わっていた。



空を見上げるより早く、

聴こえていたのは、昔の歌。

僕と君が、最後に聞いた歌。


思えば、君と聴いたこの歌を、

随分と毛嫌いするようになったのは、

もう、君が居ないから。


痛みだけを残して消えた君に連なる、

たくさんのものを僕は遠ざけていたんだと思う。



なのに、久しぶりに聞いたこの曲には、

かつて感じた、憎しみや嫌々しさは何処にもなく、


君の色が抜け切ったこの曲を、

僕が好きだったと気がつくのは、

夜の冷たさが現実だったから。



夏果てて、秋の来ゆるにはあらず



いつだって世界と僕は動いている。


きっと君を好きだった、僕の全部の細胞は、

全て死に絶えて、君の知らない僕になったんだろう。


僕が指と舌を這わせた、君のすべても、

僕の知らない何かに変わっているのだろう。


そんな当たり前の事が、

素直に認められる、そんな雨の夜。


コートの裾をすり合わせる僕の両手は、

もう僕だけのもの。

あてのない休日の、

目的もない散歩道。


僕は少女に出会い。

河の上にではなく、遊歩道に掛かる橋の上で、
とても自然に、風景に溶け込んでいた少女に。


あまりの調和の中で、
僕は居たたまれなくなって、少女に尋ねる。


「ねえ、いったいその橋から君は何を想っているんだい?」


不思議そうにこちらを見た、少女は当たり前の様に答える。


「それは、私の年相応に恋について、よ?」



何故、語尾が上がるのかを気にしつつ僕は更に続ける。


「なら、僕の年相応の考えっていうのは何だろうね?」


「さあ?愛情とか結婚とかじゃないのかしら?」


「恋と愛は違うものなんだ?」


「そりゃあ、恋してるときは愛なんて目に入らないし、

愛してるときは、恋にかまけてられないんじゃないかしら?」


「なるほど。」

そうやって僕は、疑問に疑問を返した挙句、

二周りほど年の違う子に、諭されてしまう。


「じゃあ、君は素敵な恋をしてるわけだ?」


「恋に素敵も、不細工もないと想う。

どうせ、同じ形のものなんて2つとなくて、

いつだって身体は、受け皿はひとつしかないんだもの、

たとえそれが、5分後には変わってしまうものだったとしても、

恋はいつだってひとつしかないわよ。」


ぽかんとするしか僕にはできず、
苦し紛れに出た言葉といえば、


「なら、君の恋を手にするためには、
どうするのがいいんだい?」


にっこりと笑って少女は、
僕の手を開くように促した。


「残念、おじさんの手の中に、鍵が握られてたら、
きっと私、あなたのものになっていたんだけどね。」


だから僕は、
君はいったいいくつなんだいと、尋ねたい気持ちで一杯になりながら、

にっこりと笑い返して、

「残念だねえ。」



そう言うだけだった。

去り際に、僕の視界に入った白い花は、
多分ハルジオンだった。


そのことが、僕の慰めになるのかは判らなかったけど、

何故だか僕は満足感で満たされていた。
不定期な時間に、未来日記を連ねてみました。

実は30分にも満たない時間で、
起承転結も考えず、

どばどばーっと、何本か書いてみました。


実際に僕は、
当てもなく散歩もしてなければ、
弁当屋にも行ってないし、
風呂場で女の子の名前も呟いてないんですけど、

無責任で、自堕落で、
意味のない文字を、生み出す行為は、

何故だか、立派にストレス解消になるようですね。

何故だか、妙に晴れやかな気持ちだったりで。



僕の文章には、どこにも本当はないけども、
でも、細かい機微を細かく繋ぎ合わせたら、
やっぱり等身大の僕ができるのかな~なんて、想ったり想わなかったり。


僕が此処を休んでる間に、
とある人が言ってくれました、

やっぱり貴方は書いていないとダメ!


嬉しかったですね、
言われた時は、にっちもさっちも行かないそのときの忙しさにあせりを感じましたけど、

やっぱり素直に嬉しかったんだと思います。


まあ、誰とは言わないんですが、
俺に言葉をくれた方は、ほくそ笑んでください(笑


また早く帰れた時に、連作でもしてみたいなあなんて、

いったい、この文章が世に出る頃には、俺はどうなってるんかなあ?
って考えると、少し楽しかったりします。
透き通るような赤には、程遠く。

どこか煙たい、夕日に背中を押され、
帰宅の途中に、弁当屋に寄る。


山積みになった、

多少冷え気味のから揚げの山が、

得体の知れない、死骸の塊に見えて、


何の変哲もない、弁当屋の片隅で、

中国人だか、韓国人だか判らない店員が、
やる気の無さそうな手つきで、
僕の注文した弁当を、ゴム手袋をしながら作るのを観ながら、

この世の終わりについて考えた。


年齢不詳の中年のおばさん、

まあ、年齢不詳なのに中年って時点で、不思議な存在なのだけど、

そのおばさんは、やたら不機嫌そうにレジ打ちをしているのを観て、

創世について考えた。



いったい僕の何代前のご先祖様が、その瞬間に立ち会って、

いったい僕の何代後の子孫が、その瞬間に立ち会うんだろうって。


ちくわのから揚げの、今日の上がり具合を想像しながら、
家路を急いだとき、

ふと僕は思い当たった。

きっとご先祖様は、創世に立ち会っていないし、
僕には子供が居なかった。


だから、随分と薄暗くなってきた空を見上げながら、

僕は、浴槽の中で、今晩は世界を創世して、そして終わらせてみようと考えた。




それなのに、僕ときたら、

風呂場で考えていたことは、
3年前に、一度行ったきりのフレンチの味がどうだったかを思い出すことに必死で、

世界を作りもしなければ壊しもしなかった。

だから、その代わり、
トイレの中で、

初めて恋をした日を思い出した。


それなのに、結局僕は、その日のことをよく覚えていなかった。

仕方がないので、
布団の中で、おやすみなさいと言った。


誰に聴かせる訳じゃない。

世界に向かってただ一言。



おやすみなさい。