学生に贈る社会人100人の言葉 -5ページ目

学生に贈る社会人100人の言葉  NO.19 『視野を広げる経験を』

今、あなたは自分の生活に満足していますか。

あるいは変化を起こしてみたいですか。

理想の人生と今の人生に隔たりがあるとすれば、

どうすれば理想に近づけそうですか。

私の場合、考えて、悩んで、やってみて、

新たな出会いを重ねるうちに、視野が広がって、

今は昔の自分が想像もしかったスケールの仕事をしながら、

毎日充実した日々を送っています。

振り返ると、もともと英語と読書が好きな高校生だった私は、

大学受験の時は迷わず文学部を選び、

将来は研究者か出版関係か・・と考えていました。

進路を変えたのは、大学時代の数々の出会い。

ひょんなことから環境サークルに入り、

地球規模の課題に関心を持ちました。

また、米国への短期語学留学で最初の海外経験をし、

世界各地から集まった多様な人たちと交わる刺激と面白さに、

いつか院留学をしたいと憧れるようになりました。


友達の誘いで国内の野宿者支援の活動に関わり、

国際ワークキャンプで途上国に通ううちに、

関心は文学よりも貧困問題や国際協力に移り、

就職活動はまったくせずに、

奨学金を得て大学院留学。

帰国後に国際協力の世界に入り、

東京で5年間働いた後、

今は西アフリカで仕事をしています。

こうして考えてみると、

学生時代のとき描いていたのとは全然違った仕事をしていますが、

常に自分の関心に忠実に、

「何を面白いと思えるか」

「どういう場面で自分は輝けるか」を追求し、

また、色々なところに出かけて

多様な人たちとの交わりながら、

世界を広げてきた結果ここに行きついた、

という感じです。


院留学を応援してくれた人たちがいなければ、

世界各地から来たクラスメートと切磋琢磨しなければ、

国際協力の世界で輝いている人たちと出会わなければ、・・・。

歴史にも人生にもIFはない、というけれど、

どれひとつ欠けても今の人生はあり得なかった、という意味で、

視野を広げる経験や出会いに恵まれたことをとても幸運に思います。

だからこそ、学生の皆さんには、

色々な経験を貪欲に求めることをお勧めしたいです。

インターネット等で得られる情報は膨大である一方で、

実際の体験に優るものはないし、

人との出会いほど大きく人生を変えるものはないから。

必ずしも海外じゃなくていい。

勉強でも旅行でもバイトでもいい。

関心が持てることがあれば、

試してみる時間的余裕があり、

やり直しのきく度合いが大きい

学生の特権を最大限活用してください。

もちろん、頑張るばかりじゃ疲れるし、

頑張らない人生もあるけれど、

せっかく一回きりの人生なら、

ここぞというときはマイペースで頑張って、

後悔しないように楽しむのが一番かな、と。

結局は、自分が自分の生き方にどれだけ納得できるか、

という一点に尽きるのではないかと思うのです。

計画を立てていても想定通りには進まないことがほとんど。

でも、だからこそ人生は

想像もしなかったような面白さに満ちています。

自分のコントロールがきかない部分が大半で、

その限られた範囲のなかで、

いかに充実した時間を過ごせるか、

いかに自分が輝けるようにするか、

そしていかに他の人を幸せにできるか。


かくいう私も、毎日が新たな戦いで、

今後の自分のキャリアの方向性や

プライベートとのバランス等に悩みは尽きませんが、

予想外の展開を楽しむ強さとしなやかさを持ちつつ、

これからも新たな経験や出会いを積極的に求めて、

人生を豊かにしていきたいと思っています。


【自己紹介】

大阪大学文学部卒(英語学)。

短期語学留学で世界の広さに目覚め、

アジアでの国際ワークキャンプ経験、

国内での野宿者支援活動を通じて貧困対策および国際協力に関心を持つ。

卒業後、米国ミネソタ大学大学院にて修士号取得(公共政策)。

帰国後以来、国際協力に本格的に関わる。

20111月より西アフリカに駐在。

アジア・アフリカの貧困問題、

保健医療課題の解決に貢献するのが夢。

【お勧めの本】

アゴタ・クリストフ「悪童日記」

志村翔、池上遼一「サンクチュアリ」(マンガ)