一昨年のミステリランキングを席巻した『地雷グリコ』の作者、青崎有吾さんのミステリ短編集です。
ロジカルな本格ミステリを得意とする青崎さん(『地雷グリコ』は本格ミステリではありませんがやはりロジカル)。 本作も短めのボリュームの中に、しっかりと本格ミステリが味わえる7編が収録されていました。
密室、容疑者全員アリバイ持ち、衆人環視の毒殺など「不可能(HOW)」を推理する御殿場倒理と、理解できないダイイングメッセージ、現場に残された不自然なもの、被害者の服がないなど「不可解(WHY)」を推理する片無氷雨。
相棒だけどライバル(!?)な探偵ふたりが、数々の奇妙な事件に挑む! (出版社紹介文)
特徴的なのは、密室殺人など物理的に不可能と思われる犯罪(ハウダニット)を担当する御殿場倒理、不可能ではないが不可解な状況(ホワイダニット)を担当する片無氷雨、という2人の探偵です。
2人とも若い男性なので最初のうちは戸惑いましたが、読み進むうちにキャラの違いもわかってきます。 表紙絵の左側のワイルドな方が御殿場倒理、右側のキッチリしている方が片無氷雨ですね。
「ノッキンオン・ロックドドア」 画家が密室状況のアトリエで殺された。
「髪の短くなった死体」 殺人事件の被害者の髪の毛が短く切られていた。
「ダイヤルWを廻せ!」 2つの事件が同時に発生、倒理と氷雨は分かれて捜査。
「チープ・トリック」 会社重役が狙撃され死亡。 用心深かった男が何故?
「いわゆる一つの雪密室」 雪の降り積もった空き地で見つかった刺殺体。
「十円玉が少なすぎる」 『十円玉が少なすぎる』という男の言葉の謎解き。
「限りなく確実な毒殺」 衆人環視の中で起こった毒殺事件。 その方法とは?
不可能犯罪で倒理が担当するかと思えば、不可解な側面が出てきて氷雨が推理したり、その逆もありました。 担当が入れ替わったり、二人が協力したり推理合戦したり、ダイナミックな動きがあって面白いです。
テンポのいい会話でグイグイと読んでいけるし、それぞれの謎も本格ミステリとして粒ぞろい。 秀逸な本格ミステリ短編集だと思います。 続編も出ているようなので読んでみたいと思います。
