元刑事の探偵・ホーソーンと、ワトソン役の作者・ホロヴィッツが活躍する〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズ。
『メインテーマは殺人』、『その裁きは死』、『殺しへのライン』に続く第4作になります。
「われわれの契約は、これで終わりだ」彼が主人公のミステリを書くことに耐えかねて、わたし、作家のホロヴィッツは探偵ホーソーンにこう告げた。 翌週、わたしの戯曲を酷評した劇評家の死体が発見される。 凶器はなんとわたしの短剣。
かくして逮捕されたわたしにはわかっていた。 自分を救ってくれるのは、あの男だけだと。 〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズの新たな傑作! (文庫裏紹介文)
これまでも色々酷い目に遭わされてきたホロヴィッツ(だからこそ契約終了を希望)ですが、今回は極めつけで、何と殺人事件の犯人として逮捕されてしまうのです。
凶器は自分が持っていた短剣であり、死体からは自分の毛髪が発見されるという絶体絶命の状況。 一時的に釈放されたホロヴィッツは、探偵ホーソーンと共に真犯人を探して捜査を開始します。
再逮捕までの猶予48時間で真犯人を見つけることができるのか?というタイムリミットサスペンス的展開でした。
一方、事件の謎解きは非常にオーソドックスなフーダニット、つまり犯人当てミステリです。
ホーソーンは、殺された劇評家が酷評した演劇「マインドゲーム」の関係者、さらに劇評家が本を書いた過去の事件の関係者に話を聞いていくのです。
シリーズの第1作は現実と虚構が入り混じったメタミステリ的味わいがあったのですが、徐々にそれが薄くなり本作では(タイトルにあるような”ひねり”は無くて)むしろ端正なミステリになっています。
それだけにホーソーンの謎解きの前に犯人の見当はついてしまったのですが、細かく巧妙な伏線が見事に決まっているのは感心させられました。
シリーズを通しての謎である探偵ホーソーン自身の秘密も少しずつ明らかになってきており、今後もシリーズを追って行きたいと思います。
ただ、私的には『カササギ殺人事件』のシリーズのほうが好みなので、こちらの新作を期待したいところですが・・・なかなか出ない(^^;)