似鳥鶏さんは、先日「お気に入り作家のベスト3」という記事を書きましたが、ベスト3が「市立高校シリーズ」と「動物園シリーズ」ばかりになってしまいました。

 

そこで、もう少しシリーズ外作品も読んでみよう!ということで本作を選びました。

 

書店員は超多忙。 品出しや客注をこなし、レジ対応の合間に万引き犯を捕まえ、閉店後には新作を読んでPOP書きやイベントの準備。 でも、本と本屋が好きだから、今日も笑顔でお店に出るのだ。

 

でも時には、お客様から謎すぎる悩みが寄せられて……。 名物店長と個性的なバイトの面々が、本にまつわる事件を鮮やかに解決します。 本屋さんよ、永遠に。 (BOOKデータベースより)

 

下記4編が収められた連作短編集でした。

 

『7冊で海を越えられる』 海外留学が決まった男に、恋人が送った7冊の本。 一種の暗号ミステリでした。 4編の中では一番軽い内容だったかな。

 

『全てはエアコンのために』 引っ越しの際に消失した1冊の文庫本。 盗んだとすれば不可能犯罪か? ミステリ的にはこれが一番驚かされましたが、 ここまでやるかという真相でした。

 

『通常業務探偵団』 人気作家がサインしたポスターが落書きされるのですが、監視カメラの映像を見てもわからず、店に張り込んで捕まえた犯人は・・・

 

『本屋さんよ永遠に』 万引き問題、本の売り上げ低迷など、書店がかかえるリアルな悩みが語られます。 上記3編で見事に謎解きしていた店長が・・・あれっ?キャラ変わったのかと思ったら・・・

 

1編目を読んだところでは、軽い日常の謎を扱う短編集かな?と思ったのですが、2編目以降どんどん重い内容になって・・・ラストは危機的な本屋の減少問題にたどりつきました。

 

本作は2016年刊行ですが、「日本全国で、毎年500店ずつ閉まっていく書店」という記述があります。 この傾向は継続、いやさらに加速しているのかもしれません。

 

私の周りでも、近くにあるショッピングモールの書店が閉店してしまいました(;_:)

 

書店の減少問題は構造的で、解決は難しいかもしれませんが、ラストはそれに立ち向かおうとする書店員の姿が描かれていて良かったですね。

 

書店についての軽い日常の謎から社会問題まで、ミステリを織り込みながら描かれた短編集でした。 お勧め。