モーツァルトの最後の交響曲あり、亡くなる3年前の1788年、32歳の時に作曲されました。 古典派交響曲の最高傑作とも言われます。
「ジュピター」とはローマ神話の最高神ユピテルのことで、この曲のスケールの大きさ、荘厳な雰囲気から後年付けられました。 一説には第1楽章冒頭の和音が、ユピテルが落とす雷を連想させたからとも言われています。
ちなみに太陽系最大の惑星である木星もジュピターという名が付いています。
交響曲第40番の記事にも書きましたが、モーツァルトの三大交響曲と呼ばれる第39番、第40番、第41番は、何と2ヶ月足らずという超短期間に作曲されています。
特に、悲しみの中にロマンチックな甘さを持ったト短調の第40番を作曲した直後に、明朗で壮大な構築物のようなハ短調の第41番を作曲するという、天才モーツァルトにしか出来ない仕事ですね。
第1楽章: 冒頭の力強い雷の3連打に優しい音型が答えます。 その後、前進力に満ちた音楽が展開しますが、第2主題は柔らかな旋律を持っていてメリハリがあります。
第2楽章: 優しい旋律のアンダンテ・カンタービレですが、晩年のモーツァルトらしい切ない翳が見え隠れします。
第3楽章: 印象的な下降音型から始まる、スケールの大きなメヌエット。
第4楽章: 「ジュピター音型」と呼ばれる「ドー・レー・ファー・ミー」という主題で開始され、疾走感のある壮大なフーガが展開します。 モーツァルトの全交響曲の締めくくりにふさわしい楽章です。
↓パーヴォ・ヤルヴィ指揮/フランクフルト放響の演奏で全曲を
パブロ・カザルス指揮/マールボロ音楽祭管弦楽団
偉大なチェリストとして有名なカザルスの指揮ですが、これほど生命力に溢れた演奏は聴いたことがありません。 終楽章など燃焼しきっています。
ラファエル・クーベリック指揮/バイエルン放響
オーソドックスな演奏ですが、隅々まで神経が行き届いていて躍動感もあります。 この曲にふさわしい正統派の演奏だと思います。
ヨーゼフ・クリップス指揮/コンセルトヘボウ管
深みのあるコンセルトヘボウ管の響きに魅かれる演奏です。 クリップスの指揮もゆとりがあって安心して聴いていられます。
ブロムシュテット指揮/ドレスデン・シュターツカペレ
ブロムシュテットらしく、一音一音が丁寧に演奏されていて味わい深い演奏です。 ルカ教会での録音で響きも良いですね。