先日読んだ「あと少し、もう少し」は、中学生の駅伝を描いた傑作でしたが、登場人物の一人に髪を金に染め煙草を吸うという不良中学生・大田がいました。

 

見かけも行動も不良の大田ですが、内面は結構真面目で律儀な性格。 彼が奮起して皆のために駅伝を走り切るところは、私の最も感動したシーンです。

 

ブログ仲間さんから、大田のその後を描いた作品があるという情報を得て、すぐさま書店に走りました。

 

ろくに高校に行かず、かといって夢中になれるものもなく日々をやり過ごしていた大田のもとに、ある日先輩から一本の電話が入った。 聞けば一ヵ月ほど、一歳の娘鈴香の子守をしてくれないかという。

 

断り切れず引き受けたが、泣き止まない、ごはんを食べない、小さな鈴香に振り回される金髪少年はやがて―。 きっと忘れないよ、ありがとう。 二度と戻らぬ記憶に温かい涙あふれるひと夏の奮闘記。 (文庫裏紹介文)

 

高校に入って再び自堕落な生活に陥っていた大田ですが、先輩の奥さんが2人目の出産で入院し、夏休みの1か月間、一歳の娘・鈴香の子守を引き受けることに。

 

その鈴香は一歳十か月で今度の九月で二歳・・・・・・あれ、うちの孫娘とまったく同い年!

 

一番可愛い時期ですが、一番手の掛かる時期でもあります。 いくら駆け落ち同然で結婚したとはいえ、親に頼らず子育て未経験の高校生・大田に任せるのは無理があるなー。

 

と思って読んでいると、大田は悪戦苦闘しながらも徐々に子守が板についてきて、鈴香との信頼関係が生まれてきます。 さすが律儀な大田くん!

 

鈴香とのコミュニケーション、食事作り、公園でのママ友たちとの会話など。 鈴香も成長しますが、大田も子守を通して目覚ましく成長し、子守のバイトが終わるのが名残惜しく感じるようになるのです。

 

「ぶんぶー」、「ばんばって」、ラストで鈴香が大田に声をかけるシーンは何だか胸の奥が温かくなります。

 

何年後かに大田が鈴香と再会する話を読んでみたいなー。 瀬尾さん、お願いします!

 

「あと少し、もう少し」と併せてお勧めです。