小話を読むのは大好きである。こんな面白い小話が作れればいいのにな、と思って思案投げ首う~んと唸るってはみたが、幾らもがいても作れない。小話ぐらい、と高を括ってみたが作るというのは如何に難しい事かとつくづく感じた。作れない己の憂さ晴らしに、人様の作った小話だが、公開されている中から特に面白い小話をお借りしてここにメモっておきたいと思う。
『ポリボックス』 ◎
道で落としものを拾った人が警察に届けようとしたが、
その警察の場所がわからないので、近くを歩いていたお婆さんに尋ねました。
「すみません、この辺にポリボックスはないでしょうか?」
「ハア?」
「ポリボックスはないでしょうか?」
「ハァ?」
「ポリボックスは?」
「さぁ、ちょっとわかりませんね、いっぺんそこの交番で聞いて下さい」
『耳の遠い親子』◎
ある所に、耳の遠い親子がありまして。
親父「おい、倅や、今そこを通ったのは、横町の中村さんじゃないかい。」
倅「なんを言ってるんだよ、おとっつぁん、今そこを通ったのは、横町の中村さんじゃないか。」
親父「ああ、そうかい、俺は又、横町の中村さんかと思った。」
『声』 ◎
ある市役所の玄関先で、あるお婆さんが投書箱に向かって大声を出していました。「ワアー、ワアー」こんなところで何をしてはるんだろうかと思って尋ねてみますと「そやかてここに書いてますやろ」よく見ますと、その投書箱に確かに書いてありました。
"あなたの声を聞かせてください"
『口癖オーム』 ◎
あるおじさんがオームを飼っていました。おじさんの口癖である「誰だ」と言う言葉をそのオームがすっかり覚えてしまいました。おじさんが留守の間、新聞屋さんがやってまいりました。
「こんにちは、新聞屋です」すると中からオームが、
「誰だ」
「新聞屋です」
「誰だ」
「新聞屋です」
「誰だ」
「新聞屋です」
「誰だ」
「聞こえないのかな、新聞屋です」延々2時間も続きまして、とうとう新聞屋さん、玄関の前でぶっ倒れてしまいした。そこへおじさんが帰ってきますと、見知らぬ男が倒れています。その男に向かって
「誰だ」と言うと、中からオームが
「新聞屋です」
『化粧』◎
「ねえ、お姉ちゃん、どうしてお化粧するの?」
「きれいになるためよ」
「どうしてきれいにならないの?」
『その儘』 ◎
あるお婆さんが、家でテレビを見ながら食事をしていました。しばらくして「ウッ」と言ったかと思うと箸をもったまま突然動かなくなりました。心配になった家族が「お婆さん、どうしたの?」と尋ねても応答なし。その時、テレビの画面を見ますと
"ただいま、そのままでお待ち下さい。"
『早くお食べ』◎
あるお婆さん、お土産にもらったお饅頭を急いでパクパク食べていまし
た。それを見ていたお孫さん
「お婆さん、もっとゆっくり食べないとだめですよ」
するとお婆さん、
「そやかて、ここに書いてますやろ」 確かに箱の表に書いてありました。 “なるべく早くお召し上がり下さい”
『結婚相手』◎
ある息子が「お父さん、話があるんやけど」
「何や」
「俺、向かいのタバコ屋のユキちゃんと結婚することにしたよ」 「それはアカン、許さん!」
「どうして?」
「どうしてもダメじゃ」
「何でダメなんや!」
「こうなったら仕方なく白状するけど、実はなぁ、ユキちゃんはわしの子なんや」
「エッ!」びっくりした息子は母に泣きついた。
母は落ち着いて息子に言った。
「そう、おめでとう!大丈夫よ、結婚しなさい。こうなったら白状するけど、あんたはお父さんの子じゃないから」
『助平医者』◎
ある内科へ母と娘が診療室に入った。担当医が
「お嬢さん、服をぬいでください」すると母が
「あのう、先生、具合が悪いのは私の方ですが」
「あっそう、それじゃお母さん 舌出して」
『ゴルフの腕前』◎
「この前、主治医さんから、ゴルフはしない方がいいって言われたよ」
「どっか悪いの、肘とか、腰とか」
「どこかのゴルフ場で、僕がプレーするのを見たらしいんだ」