詩⑯「最初に来たる者」
僕の胸に燃え上がった たった一度の炎をどうか消さないでください
君よ 雲間の彼方に去らないで下さい
そこに行かれてしまうと僕は 後を追うことができない
煤煙が僕を殺してしまうからです
僕を誘い出して 煤煙で僕を亡き者にしてから
君は 今度は心安らかに 地上に降りて暮らそうとする
でもそうはいかないのです
僕のように 君を慕う人間が後を断たないからです
麗わしの君よ 最初に来たる者…僕の心を どうか受け取ってください
詩⑰「時」
過ぎて後 価値を持つもの
忘れさせるが故に 数々の思い出を生み出すもの
過去から未来に繋がって 人生を突き通すもの
…そして
人間は仕事と休息を持ち 世界は朝と夜を繰り返す
詩⑱「金ちゃんの嫁さん」
金ちゃんが嫁さんをもろた
きれいな可愛い嫁さんをもろた
キリッとして利口な嫁さんをもろた
マリアのような優しさ一杯の嫁さんをもろた
金ちゃんには出来過ぎた嫁さんをもろた
詩⑲「○○君哀歌」
君が唇に泡し 議論を闘わすこと
ベルリンの街角における かのヒトラーの如く
時に一事を以て針小棒大に十を悟り
時に自己の不利を慨嘆し
時に利を得ては呵々哄笑を浴びせ
しかる後 己が穴の中でジレンマに陥る
まさに憂鬱症の極みなり