新装完全版クイーンエメラルダス | ヒロエモンのハッソーハッソー

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松本零士作品の中でキャプテン・ハーロックと並ぶ重要なキャラクター、クイーンエメラルダス。


1978年、少年マガジンに全37回に渡って連載された「QUEENエメラルダス」は現在までに何度も単行本化されました。自分も読んだことがあります。

このエメラルダス。現在ではメーテルの姉として有名ですが、このころはそんな設定はありませんでした。

このたび、単行本初収録の2編を含む4編の短編を同時収録した完全版として新装発売されたのを見かけたので購入しました。

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初収録となるのは少年マガジン1979年5月25日増刊号と1980年3・4合併号の読切で、原稿が紛失したため掲載雑誌からコピーし、コンピュータ補正した後に松本先生自らが手書きで書き直したものということで、新作と変わらない出来栄えです。
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本編はいまだに未完の物語。松本作品では良くあることです。
エメラルダスが何を目的に旅をしているのかハッキリとは書かれていませんが、他の作品などと比較して考えると、恐らく彼女が唯一愛したトチローを探し求めているのでしょう。

また、クイーンエメラルダス号との出会いも書かれています。作品では自分で船を作って宇宙を旅する海野広という若者に目をかけてたびたび助けるのですが、彼女自身たまたま砂に埋まったエメラルダス号と出会い、労せずして手に入れます。このあたりの話は、「ニーベルングの指環」でも触れられていますが、こことはまた違う出会い方になっていて矛盾が生じています。まあ、いいでしょう。


ところで海野広という人物は、エメラルダスに本名は「蛮野ゼロ」であると見透かされます。
これがそのシーン。
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しかしその「蛮野ゼロ」が作品とどういった繋がりがあるのかなど、全く触れられていないのです。
しかも松本作品において、「蛮野ゼロ」という人物が登場したのはこの作品のみ。したがって読者は「あなたの本名は『蛮野ゼロ』!」と正体をばらしたところで「誰これ?」的な感じなのです。

バンといえば時空を旅する「ミライザーバン」かな?ゼロというのは「ダイバー0」かもしくはキャプテンハーロックのアルカディア号に乗車するドクターゼロと繋がりがあるのか?結局よくわかりません。


こうしてあらためて単行本となったクイーンエメラルダス。松本作品で欠かすことのできないものですので、買っておいて損はなし!ですよ。