「新しいことに挑戦し続ける」
昨年2023年は皆さまにとってどのような1年でしたか?
私事になりますが、私の母は昨年還暦を迎え、一つの大きな夢を叶えました。
昨年、母が僧侶となったのです。
今から3年ほど前、身延山になんてん寮という女子寮が開設され、僧道実修生の女子の受け入れが始まったと知った母は、師匠である父の後押しを貰い、半年間、憧れの身延山で修行を果たしました。10月から次の年の4月まで高校生や大学生の若者と共に過ごした日々の中で、2月の寒行は特に厳しかったようです。僧道実修生の間に僧道林を終え、秋には乙種の試験と読経試験に臨み、昨年の6月には35日間の信行道場を無事修了して教師の資格を頂きました。私の母は在家出身で、若くして父を亡くし、法華経に出会い、千葉県からお寺に嫁いで子供を授かり、何も知らない中、お寺の事と子育てを必死でこなして来たようです。
私自身も信行道場を体験していたこともあり、還暦という年齢で僧侶となるための修行はとても大変だったのではないかと想像します。しかしながら、修行を終えて帰って来た母は、とても楽しい実りのある修行ができたと表情も明るく、充実感に満ち溢れていました。
この体験を聞き、日蓮聖人が残された有名なお手紙の一説を思い出しました。
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法華経を信ずる人は冬のごとし。冬は必ず春となる。いまだ昔よりきかず、みず、冬の秋とかえれる事を。いまだきかず、法華経を信ずる人の凡夫(ぼんぶ)となることを。経文には「若(も)し法(ほう)を聞くことを有(あ)らん者は、一(ひとり)として成仏せざること無し」と、とかれて候。
法華経を信ずる人は、きびしい冬の寒さにたえしのぶようなものである。しかし、冬は必ず春となる。いまだ昔よりきいたことはない、見たこともない、冬が秋にかわることを。いまだ聞いたことはない、法華経を信ずる人が、仏にならずに凡夫のままでいることを。法華経の経文には、もし法 華経を聞いたことのあるものは、ひとりとして仏にならないものはない、と説かれている。(『日蓮宗信行教典』より)
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母はお寺に嫁ぎ、初めて身延山の御廟参はお参りした時に、ご草庵跡の前で日蓮聖人はここにおられると全身で感じて涙が溢れたそうです。振り返るとその時から僧侶を目指そうという心が芽生えていたのかもしれないと申しておりました。私も母のように幾つになっても新しいことに挑戦をしつつ、法華経、南無妙法蓮華経を弘めること、悩みを抱えた多くの方々に必ず春は訪れますよとお伝えして参ります。
皆様も寒さの厳しい冬に耐え、必ず来る春を信じ、新しいことへの挑戦を続けていただけたらと思います。