【今月の法話】令和五年十二月 | ☆明日の天気図☆

☆明日の天気図☆

明日も晴れるといいね…。

「新興宗教信者の親をもつ2人の少女」

安倍晋三銃撃事件より端を発した宗教団体の問題が社会を揺るがしています。その中の1つに宗教2世が抱える問題がクローズアップされているのは皆さんご存知の通りでしょう。

皆さんは友人や知人、同僚がいま騒がれている新興宗教の信者だと知ったらどう思われますか?

私は最近とある新興宗教の信仰をする親をもつ、宗教2世の女性2人と出会いました。

1人は接待を伴う飲食店で、もう1人は犬の散歩道で。

とある2次会で接待を伴う飲食店に行くことになりました。何人か女性が入れ替わるのですが、その中の1人、20代半ばの女性が横に座りました。ひとしきり話をすると、私が僧侶であること、アルコールを飲んでいないことなど見ておもむろに自身の悩みを相談されました。

以前付き合っていた彼が最近自殺したことと、自殺された方に生前何かできたのではないかという自責の念。

そのご遺体の第一発見者が自身であったことによる精神的ストレス。

亡くなった人に何かしたい(供養したい)と思うが新興宗教の教えにより禁じられていること。

などの理由により苦しんでいました。

その悩みを話し終わると、少し落ち着き、私は仏教とその新興宗教の教えの違いについて、仏教での死者との関わり方などを話し、女性は熱心に聞いていました。

外見はとても綺麗なドレスで着飾っていましたが、その心象風景はまるでしくしくと泣いている少女のようでした。

そしてもう1人は、私が3歳の息子と犬の散歩をしている時に出会いました。

私の息子より1歳もしくは2歳ぐらい年上の少女がお母さんの後ろで犬に興味があるようでこちらを見ていました。

私はそういう子を見かけると大概は挨拶をし「犬を触ってみる?」と聞いています。

今回もそのように話しかけるとその少女は少し怖がりながらも
こちらに歩いてきました。犬に触るのは初めてだったようですが
優しく撫でてくれました。

そのお母さんとも少し立ち話をしているとおもむろに、自身が新興宗教の信仰をしていると話し、よろしければとQR コード付きの用紙を差し出しました。

他の信者さんらしき方も集まってきてお母さんとその少女は足早に私のもとを去りました。


私の予想ですが これから戸別訪問、布教活動をする少し前だったのかもしれません。

その日は午後から雨が降る予報でした。

後ろ姿のそのお母さんと少女に「今日は雨が降ると思いますのでお気をつけて」と伝えました。
手を振るお母さんと少女の笑顔が印象的でした。

お釈迦様や日蓮聖人が生きていられた時代、もちろん仏教という言葉も日蓮宗という言葉も当初はありませんでした。当然自分以外は違う信仰を持っている人です。
そうした中で偏見や差別を持たず、会う人会う人に幸せになってほしいと願い、教えを示してこられたのがお釈迦様と日蓮聖人お二方の生き方でした。

ニュースでは教団からの過剰な献金、親等によるネグレクトなどの虐待が報じられており、その印象から偏見や差別を生みやすい世の中となっております。

あなたの周りにもきっと宗教2世の方はいます。

お釈迦様や日蓮聖人が行われたように、眼の前の人が幸せになってほしいと願うのが、仏教徒なのです。

「避ける」ではなく「対話」が今、求められています。