ジャズは、いつも変化していると思う。ジャズの本質として、その細胞レヴェルでジャズはそういうものだ |   心のサプリ (絵のある生活) 

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ジャズは、いつも変化していると思う。ジャズの本質として、その細胞レヴェルでジャズはそういうものだと思う。ジャズは変化からできている。インプロヴィゼーションするものだしね。

-ドン・ウォズ(ブルーノート社長 )

青山に、ブルーノートの東京支店あり。

一時我が企業戦士時代の本部がそこにあり。

もう、会社の周りには、根津美術館があり、岡本太郎の実家があり、川俣正のマンションあり、講演場所スパイラルホテルあり、その他世界の屈指の飲食店に喫茶店があり。

そして隣がブルーノート日本支店。

とある雑誌の対談。

ブルーノート社長とブルージャイアントの漫画家石塚真一の対談。

ここが気に入った。彼こと、ブルーノート、社長ドン・ウォズとジャズとの出会いは・・・

ウォズ「君は、音楽のとても大切な要素をちゃんと知っているよね。私は60年代、10代だった頃にこの音楽を聴き始めた。14歳くらいのときに、初めてのブルーノートのアルバムを聴いたんだ」

石塚「14歳ですか?」

ウォズ「初めて聴いたのはジョー・ヘンダーソンだった」

石塚「ジョー・ヘンダーソン。どう思いました? おかしい人なんじゃないかって思いました(笑)?」

ウォズ「その話をしよう。そのとき、僕は母と車に乗っていたんだ。デトロイトに住んでいたから、デトロイトでのことだね。

14歳で、母のいろいろな用事に一日ずっと付き合わされていたんだ。僕は友達とモールをぶらぶらしたかったから、すっごく機嫌が悪かった。そんな僕に母は辟易して、車に鍵を入れたまま僕を車の中に放置した。〈ここにいて、用事を済ませてくるから〉って。

そこで(ラジオの)ダイヤルを回し始めた。デトロイトにジャズ専門のラジオ局があるなんてつゆ知らずに。そして、ダイヤルを回し始めたらデトロイト・ジャズ・ステーションがかかって、ちょうどサックスのソロが始まったところだった。(ヘンダーソンの)“Mode For Joe”(66年)のね」

石塚「『Mode For Joe』! 良いアルバムですよね」

ウォズ「最高のアルバムだ」

石塚「大好きです!」

ウォズ「ちょうどソロが始まったところで、そのサウンドがサックスの音じゃないんだ。僕の耳には、男が話しているようにしか聴こえなかった。で、苦悩の鳴き声を発している。それをラジオ越しに聴いて、本当に驚いたんだけど、そのサックスの音はそのときに僕が感じていたことそのものだったんだ。僕は車の中にいるんじゃなくて、友達と遊びに行きたかったからね。

ジョー・ヘンダーソンがどんな気持ちだったかはわからないけれど、僕の気持ちを理解してくれているかのようだった」

ジョー・ヘンダーソンの66年作『Mode For Joe』表題曲。ドン・ウォズが語っているのは、44秒あたりから始まるイントロ~ヘンダーソンのソロのことだと思われる

石塚「彼の演奏があなたの心に触れた……」

ウォズ「会話みたいだったんだよね。男が泣いているかのようで。でも、その後にドラムのジョー・チェンバースが入ってきて、スウィングし始める。すると、また新たにジョー・ヘンダーソンが僕に語りかけてくるかのように思えた。

そこで僕が感じたメッセージは、〈ドン、辛いことがあってもグルーヴしないと〉って言うものだった。僕は思ったんだ、歌詞がないのにこんなに力強いメッセージを持っているって、いったいどんな音楽なんだ、って。

それから、ジャズを聴き始めた。翌日には、家でそのラジオ局が聴けるように小さな携帯用FMラジオを買ったんだ。

僕が質の良いジャズのなかでもいちばん惹かれる要素は、ストーリー・テリングと会話なんだ。ウェイン・ショーターを聴けば、まるで外国語を話している人に聴こえるだろう。でも、フレージングを通して彼が何を言おうとしているのか想像できるよね。だから、最高のジャズは明解な会話なんだ」

石塚「そうですよね。いまの話は、僕にとっては希望となるものです。僕は特に若い人たちに扉を開きたいですから。若い人には未来があります。もちろん年配の人がジャズを聴くことも素晴らしいことですが、この漫画については若い世代に焦点を当てたかったのです」

ウォズ「素晴らしい、良いことだと思います。うまくいくよ」

石塚「ありがとうございます。あなたのデトロイトのお話は本当に素晴らしい。歌詞がなくとも、みんなジャズを理解できるってわかりました」

ウォズ「音楽のことを何も知らなくても、ジャズを聴くことはできると思うんだ。だって、会話みたいなものだからね。パーティーに行けば同時にたくさんの会話がされている。一つ目の会話が気に入らなければ次の会話に行けばいいんだ。チャンスを与えれば、必ず聴く者の魂に語りかけるジャズが見つけられると保障できる」

ジャズは常に変化し、インプロヴィゼーションするもの

石塚「もう一つお訊ねしたいのですが、ジャズは変化しているんでしょうか?」

ウォズ「ジャズは、いつも変化していると思う。ジャズの本質として、その細胞レヴェルでジャズはそういうものだと思う。ジャズは変化からできている。インプロヴィゼーションするものだしね。」

「ジャズ」が二次的なものとして扱われている。遡ってみてもセロニアス・モンクでさえビートルズのカバーをオファーされたことがある。例えば、ビートルズにルイ・アームストロングのカバーを提案するか? ドレイクにマイルス・デイヴィスのカバーを提案するか? ジャズはずっとそんな扱いだった。拒否すると契約を切られたりね。「ジャズ」はずっと昔から過去のものとして扱われてきたんだ。シオ・クローカー