酒が好きだから、よく、つまみの本はみるけれども、これくらいに、365日ぎっしりと、綺麗な、しかも、ちょっとひねった旨そうな料理の写真で埋め尽くされた贅沢な本は、ちょっとないです。
「つまみ料理はちょっとゆるい方が心楽しいはず」と、この著者ふたりは、書いています。
東京駒形にある写真家大沼ショージさんと、萬田康文さんの二人です。
仕事柄、旅に出ることが多い二人は、国内外で、美味しい料理、面白い食材、それを作る魅力的な人たちに会うことで、これらの素晴らしい本を
作るのに至ったのだと思います。
友人たちの故郷、家族、旅や仕事にまつわる料理、また交流の多い料理家さんたち、地方に暮らす友人たちのレシピも満載となっています。
女性たちの独せん場でもある、本屋に氾濫する子供家族向けレシピ本の中では、あるいはネットのクックパッドのレシピとは違い、個人的な意見ですが、酒飲みならば=つまり男であれば、(女でももちろんいいのですが)、なるほど、
これは酒に合うだろうなあ、という気持ちにさせる素晴らしい本である。
写真がまた素敵だ。 写真集としてだけ見ても、楽しい。
「365日ぎっしりと、綺麗な、しかも、ちょっとひねった旨そうな料理の写真で埋め尽くされた贅沢な本です。」と書きましたが、
ひねりの例としては。
最初に、見たのは、6月の季節の写真で、ビワに削ったパルミジャーノの組み合わせで、酒のつまみとなっており、そこに、イタリアのバルサミコ酢を温めてかける、そして、胡椒を
一振り。 ←琵琶は なかなか ないな。
はっきり言って、ワインにぴったりなのだが、北海道では、このビワは手に入りづらい。だから、ビワの代わりに、私は友人から頂いた、鳥取梨のはちみつだけで作ったジャムになる前のまだ形の残った梨を、ビワの代替としたのでした。これまた、美味!!!!!!
ひねりの例としては。
アボガドが大好きなので、毎日のようにワインと食している私ですが、ここで紹介されているアボガドの食し方。実は、真ん中をくりぬいたメロンにナポレオンのウィスキーを、
注いで、いただいている。父親が大切に飲んでいた小さな頃の思い出から編み出されたレシピらしいが、楽しい。私は、アボカドの種をくり抜いて、そこへ、赤ワインを注いで、いただきました。これまた、応用。そんな、インスピレーションのもらえる本。
ひねりの例としては。
私の大好物の豆。女性のレシピ本では滅多に見ないレシピ。男の料理。
豆は、体の毒素を外に追い払ってくれる重要な食物なのだが、普通の家庭では、さほど出てこない。納豆、あんこ、鳥と豆の煮込み、豆サラダくらいだろう。
この本で紹介されている素敵な写真とともに出てくるのが、豆のパスタ。豆を茹でて、ただ、そのひよこ豆をパスタにからめていただくだけの男料理。バージンオリーブ油と、胡椒が
あれば味はまとまる。レモンがあればさらに良いのですが。
というように、365日にわたって、美しい、そして、男の酒のつまみにはヨダレが出そうな写真とともに、開高健とまではいかないが、ダンディズムの文章にて、味付けされている。
パンを焼き、カリフラワーを小分けにして、蒸して、(蒸すのは、栄養分が水分に流れないように) それをプロセッサーで柔らかくして、パンにすりこむ料理の写真を見る。←カリフラワー 高いな。食えんな。ガハハ
こんな文章だ。
「カリフラワーの白さが愛しい。うっすらうっすら緑がかった微妙な白。ペーストにして歯ごたえを除くと、物静かな白い野菜の味がふわっと立つ」
いろいろなレシピ本を読んできたけれども、子供用、ダイエット用、おしゃれな家族用が多いと思います。
これは、男の、酒飲みの男たちのための、簡単にできる、(しかし、食材だけは、各地の豊富な旬の食材を使用しているので代用品を探す楽しみあり)、酒のつまみの、集大成365日本である。
感心した。
最後に、著者ふたりの言葉で締めくくります。
「なんにしても、日々の肴は、天からのご褒美である。卓を潤すお酒を用意し、ただただ、楽しめばよい」