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りんご日報、最後の新聞100万部発行
6/24(木) 6:22配信

最後の発行となり、積み上げられた香港紙「蘋果日報」=香港で、AP

 香港国家安全維持法(国安法)違反罪に問われた民主派の香港紙「蘋果(りんご)日報」は、最後の発行となる24日付朝刊を100万部印刷した。同紙によると、通常の10倍以上の発行部数で1995年の創刊以来、記録的な数字となった。増刷については、香港の報道の自由を体現する新聞として、「多くの人に知ってもらいたい」(同紙電子版)としている。

【写真特集】りんご日報の軌跡

 「香港人の雨の中の別れ」。最後の発行となった新聞の1面には、社屋周辺に集まった市民に手を振る社員の写真とともに大きな見出しが躍った。

 蘋果日報が23日午後、翌日付の朝刊を最後に発行を終えると発表した後、同紙の社屋の外には多くの市民が集結。「がんばれ蘋果」「感謝」などと書かれたプレートも掲げられた。社員らは23日深夜に紙面製作終了後、編集スペースから飛び出し、集まった市民に手を振って別れを惜しんだ。

 蘋果日報は、民主派を支援する論調を取り、中国共産党や香港政府を正面から批判し続けてきた。しかし、昨年6月の国安法の施行後、香港当局は同紙への圧力を強め、同紙の創業者、黎智英氏(72)=無許可集会組織罪などで服役中=や幹部2人、蘋果日報社など関連する3社を国安法違反罪で起訴。3社の資産1800万香港ドル(約2億5000万円)が凍結された。

 蘋果日報社は、資金繰りに窮し、多くの社員が退職した。24日未明、最後まで社に残った社員らは刷り上がったばかりの新聞の束を抱え、新聞配送の車に運び込み、車が出発すると社員の間で大きな拍手が起きた。

 香港各地では最後となる蘋果日報を買い求める人たちが行列をつくった。香港メディアの取材に応じた市民の一人は「真実を伝えようとする新聞の声が封じられていることを忘れないでほしい」と話した。【台北・岡村崇】