<キャンディス・バーゲンが一番綺麗な時でしたネ。 バリのめぐりあい>
私は、フランス映画やイタリア映画で育ったので、高校生の時に初めてアメリカ映画がどばっと入ってきて、その辺りは、ごちゃ混ぜです。
それまでの、中学の時に見た、イタリア映画やフランス映画の感動は今でも忘れることはないが、一番感じるのは、もちろん監督のすごさであり、物語の骨格の頑丈であり、音楽の柔らかさなのであるが、主演女優・男優の個性ある表情に一番ひかれるましたね。
スクリーンという雑誌があり。
大切にしていたのですが、大学在学中に、捨てられました。今でも残念でなりません。
当然、彼ら彼女達の個性は監督がひきだすのでありますから、最後は監督の情熱とセンスと知性の勝負なのですが、たとえば、この「パリのめぐりあい」の三人を見ると、物語よりもこの三人がそこにいるだけで絵になるのですね。
そこに、クロード・ルルーシュのカメラワークと、フランシス・レイの音楽がかぶされば、鬼に金棒になりますね。
* Yves Montand イヴ・モンタン (Robert Colomb)
* Candice Bergen キャンディス・バーゲン (Candice)
* Annie Girardot アニー・ジラルド (Catherine Colomb)
物語は、もう説明する必要がない程、単純であります。
イヴ・モンタン扮するインテリのキャスターみたいな男が、アニー・ジラルドとまずまずの家庭生活をおくっているが、ある時にモデルで、学生のキャンディス・バーゲンと出会う。そして、一目でひかれて行く。
アフリカの旅に誘い、その自然の中仕事の最後の日にふたりは結ばれる。
家にもどると、アニー・ジラルドがアムステルダムへの旅を提案し、ふたりは旅にでる。
そしてそこで愛し合うが、キャンディスがアムステルダムまでひとり、追いかけてくるのをイヴ・モンタンは見つける。
そして彼女の待つホテルへと行く。
すべてを感知した妻のアニー・ジラルドは何も言わずにとある駅で降りてしまう。
イヴ・モンタンはそこで、キャンディスと暮すことを決意する。
ふたりか楽しい日々をおくるが、次第になぜか空しさを感じることが多くなる。
イヴ・モンタンは彼女にやはり別れを告げることにした。
家にもどると、よそよそしく、彼を迎えた妻のアニー・ジラルドを見て、心理を察する。
イヴ・モンタンは、やはりまた、ひとりで暮すことを決意して、寂しく孤独に家を出た。
外には雪が舞っており、車の窓にも雪がふりつもって窓から中が見えない。
すると、その雪がはらりと落ちて、中から笑顔の妻の顔が出てきた。このシーンが素晴らしい!!!!!
フランスという国。
恋愛がらみの事件は刑が軽くなると言いますから。
私が24歳でパリに行った時、ポルノの映画館は、恋人同士で満杯でした。はははは。
他人のことは、うるさく言いません。
とまあ、物語は中年が若き女性にひかれて家庭をないがしろにするが、結局は家にもどる。すると妻はそれに対してどういう反応をするかと、いうシンプルな物語なのですが、この単純ないわば「不倫の神話」みたいな話を、カメラワークと俳優の演出、特にアニー・ジラルドの煙草のシーン、美術館の作品を見て歩くシーンの秀逸、そして、キャンディス・バーゲンの旬の信じられないほどの美しさが、見事に肉付けしていく。そして、トップキャスター役のイヴ・モンタンのいやらしいほどの男の匂い。
日本でも、旬の俳優がたくさんいる筈なので、黒沢や溝口のようにもっと俳優を存在感のある俳優にしあげていってもらいたいものです。
でも、タバコは吸わない。
恋はしない。
リスクのあることはしない。
そんな俳優には良い演技はできそうもありませんね。(あくまでも私の個人的な意見です。)
普段の日常は平和で平凡で常識的でok
だからこそ、映画の世界くらいは、その反対の世界を、人は見たいのだと思う。
ははははははは。
(映画は何倍も、あなたの人生を豊かにしてくれる。)
淀川長治。
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