三島由紀夫とワーグナー メランコリアの憂鬱  |   心のサプリ (絵のある生活) 

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画家KIYOTOの病的記録・備忘録ブログ
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 メランコリア 何回見ても感動する。・・・・・・・



  
 映画はまとめて、見る時間がなかなか、とれませんので、細切れ視聴しております。
 だいたい、一日に、長くても30分。短い時は、10分くらいで、きりあげます。
 もちろん、クライマックスにはいると、一気に見てしまいますが、それまでは、
 のんびりと、原作を書架からとりだして、少し眺めてみたり、資料を見たり、
 見た時のさまざまなる空気を思い出すようにしております。
 新作は別として、昔の作品を再視聴することが圧倒的に多いです。
 個人的には、今の新作は、10作中、感動するのは、1作。
 かつての名作は、(時間が摩擦をかけていますので、当たり前ではありますが)、10作中、10作が、そのまま感動の渦に巻き込んでくれます。これは時間がない私にとっては、ありがたいと思います。 
  
 本や音楽も同じですね。
 新作は、どうもあたりはずれが、多すぎて、時間がもったいないと考えてしまいます。
 個人的に好きな作家は、駄作であろうと、なんであろうと、自分の金で買って、大切に読むということはいつも同じですが。


 さて、「地球最後の日々」。
 最近の世界の天候やら、情勢などを見ていると、いよいよ、その日が来るかと思ってしまいますが、シネマの世界でも、まさに、暗示のように、たくさんのその手の映画があります。


 その中で、自分の魂の中に、入っているのは、まず、「渚にて」。






 それから、アルマゲドンのような、人類愛のシネマは大好きなのですが、最後がハッピーエンドというのは、のぞくと、あと、この「メランコリア」というシネマは、心に残ります。

 商売だけのシネマではなく、台詞などや、俳優の振り付けや、演技などなど、監督の独特の、
 采配が興味深いです。


 特に、音楽の使い方。
 ワーグナー。
 私もブック・オフで、安くレコードを手に入れましたが、トリスタンとイゾルテでしたか、
 聞く人の耳にこびりついて離れませんね。

 三島由紀夫氏やら、宮崎駿氏もまたファンでしたが。猛烈にたまに聞きたくなります。




 この映画のなかで、川の中を静かに、遺体のようにして流れていく花嫁。
 まるで西洋の名画のようでした。












私は、漫画から普通、愛と希望をもらっているし、小説や俳句や詩からは日本語の言葉の味を楽しみ、西洋のそれとの比較をさらに楽しみ、音楽からは魂の充電をさせていただいています。


  では、映画ってなんでしょうか?


総合芸術とよく言われますが、漫画や小説やオリジナルシナリオから、たちあがって、音楽やら言葉やら舞踊やらカメラワークやら、たくさんの人達が集まっては、ひとつの美をつくりあげる。


  メランコリア。




  この題名が、また実に美しい。
  題名に惹かれて、見てしまいましたが。


  内容は、地球最後の日々。
  というわけで、ストーリーがどうたらというよりも、監督やその仲間たちが、この究極の日々をどうカメラに収めるのかということが興味あり。





   まったくの脳と心をリセットして、まっさらで、見ました。
   ネットで情報を見たのは、見たあと。
   賛美と失望の半々。


   なんといっても、ワーグナーのトリスタンとイゾルデでしたか。
   デンマーク映画なのに。

   三島由紀夫氏やら、澁澤龍彦氏が生きていたら喜びそうなカット満載。
   そして三島由紀夫氏の好きなワグナー。この曲は「憂国」で使用されていたような記憶ありましたが、はっきり覚えておりません。おそらく、そうだったでしょうか。


   
   しかし、それにしても、存在感のある女優。
 きれいなだけの最近の女達とはひと味もふた味も違う。
 お姉さん役もまた良かったが。


    この映画が、ふたりの女性の名前で、ふたつに分けられているのも私の好みだ。

    ジャスティン
    クレア



    そして、男の子のあどけなさが、心に残る。
    映画「渚にて」のように、家族が死についていろいろ考えるシーン。
    

    ここは、どのような死に方が良いかどうかという問題はさておき、ジャスティンのような鬱病の患者が、魔法のシェルターを子供のためにつくるというのもなかなか。


映画のアイディアは、鬱病に苦しんでいた頃のラース・フォン・トリアーが出席したセラピー・セッションから来ている。セラピストは、鬱病の人々は先に悪いことが起こると予想し、強いプレッシャーの下でもっと冷静に他のものよりも行動する傾向があることをトリアーに伝えていた。


  と、資料にはあるけれども、ラース・フォン・トリアー監督。
 さすがに、あのビョークを撮った監督。
  あの映画もまた心に不思議に残像がいつまでも残る映画でしたが。
   冷たく、不安で、まさにメランコリアな画像をとりあげた。


  特にラストシーン。映像の迫力。



    こんな映画があってもいいでしょう。


    人に勇気も希望もあたえない代わりに、美的感銘を少しだけ差し出すという映画。
    心の病にかかる人に、少し特権を与えるような不思議な映像。

    この救いのまったくない映画を見て、元気が出たというレヴューを見て、人間てなんと多様性があり、複雑でまた、おもしろい生物だなあと再認識。

  
    私の好み。

   あの、「惑星ソラリス」をこの監督はきっと好きに違いない。
   重厚なクラシックにのせての、ブリューゲルの絵。これまったく同じ絵。


   あとは、ラファエロ前派も好きに違いない。
   
   
   水の中をながれていく花嫁。これは「オフェーリア」からイメージをきっと、とったのだろうと思う。  心のサプリ (本のある生活) 

   同じイメージ。



   「盲目の少女」の絵もふとこの映画に重なる。   心のサプリ (本のある生活) 


   黒い馬が実に、「メランコリア」という映画には合う。  心のサプリ (本のある生活)