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たしか、村上春樹氏の「東京奇譚」でしたか、あれにも、ジャズをライブで聞いていた時の、びっくりするような偶然についての記述がありましたが、司馬遼太郎氏のエッセイもそれと同じく、読んでいて、ほおおっと感銘いたします。
まず、無知な私が初めてしったのは、新田次郎氏の奥様は、藤原ていさんだったということです。
「流れる星は知っている」と言えばだれでも知っていますよね。
この本のなかでの満州の気象台に勤めていたのが、旦那さんの藤原寛人さんが、新田次郎さんだったとは・・。
この新田次郎氏、私のイメージは、「アラスカ物語」や一連の登山関連の本でした。
「アラスカ物語」も、オーロラのシーンなんかは、CWニコル氏の、オーロラを見ながらウィスキーを飲みたいという言葉を思い出し、記憶に残っています。
彼は、司馬が聞いた話では、数学の詩人のようで、母親の乳にむしゃぶりつく、赤子の舌は意図して、吸盤のように、口の中に「真空状態」をつくるのではないかと、いろいろ数学計算をしたというほどの、人であります。
新田次郎。
一度面識をした司馬さん。その思い出話。
そして、彼の死。
そして、数年後、司馬さんが真夜中にたまたま、ある本を読んでいて、
数学関連の著者の話に没頭していたんですね。
そして、気が付く。
あれ、この数学者。
あの、赤ちゃんの舌の研究=真空・・・
「いち数学者のイギリス」の著者の藤原雅彦氏が、ひょっとしてあの赤ちゃんではと思ったというんですね。
直観。
本のありがたさと、書いています。
たまたま、面会までして気にしていた作家の真空論。
その真空論の赤ちゃんが書いた本を70過ぎて、真夜中にたまたま知らずに読んでいた。
世にながくいることの余禄のひとつ、そう司馬さんは言います。いいですね。
星新一氏の父親のことは、前回、ニュース記事のスクラップをしましたが、
星新一氏もまた、本について、このようなことを書いていています。
かつて全盛をきわめた映画もテレビもマンガもこのところもうひとつぱっとしない。しかし、小説は、その出現以来ずっと質の向上を続けている。小説とのふれあいを持たぬ人生はむなしいものだ。
小説も、詩も、エッセイもそうですが、言葉であらわす目には見えない、想像力のなかだけに、生き生きとたちあがる世界。
大切にしたいものですね。