自動販売機が『お釣りをお取り下さい』などと口を利くことに、びっくりした。 |   心のサプリ (絵のある生活) 

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自動販売機が『お釣りをお取り下さい』などと口を利くことに、びっくりした。この箱には人間が入っているのか。

初めて来日して、何に最も驚いたか。――これが、なかなか面白い。
大相撲の現役最年長力士で、モンゴル出身の旭天鵬関(37)は「自動販売機が『お釣りをお取り下さい』などと口を利くことに、びっくりした。この箱には人間が入っているのか、と本当にそう思いました」。


ペマ・ギャルポさん
 チベット出身の国際政治学者ペマ・ギャルポさん(59)は「雑貨屋の店先に置かれた赤い公衆電話が、いつまでもそこにあることが不思議でしたよ。なぜ盗まれないんだろう、と」。

 ギニアの元外交官でタレントのオスマン・サンコンさん(63)は「くそまじめというか何というか、誰も見ていないのに電話の相手におじぎして、柱に頭をぶつけたりしている日本人。『何だ? この人は』とあきれましたよ」。


オスマン・サンコンさん
 各人各様、そうした驚きを経て5年、10年、20年と日本で暮らすうちに、彼らはさまざまな発見をして、この国が大好きになっていく。


桐谷エリザベスさん
 放浪中の画家と結婚した米国人の桐谷エリザベスさんは、東京の下町・谷中で時代に取り残された老朽長屋に住み、銭湯という「世界中、どこにもない文化」を知った。エッセイストとして「不便なことは素敵なこと」と、発想の転換を呼びかけている。

 英国・ウェールズ生まれの作家C・W・ニコルさん(72)は「多神教の森」に魅せられて信州・黒姫の森に住み、荒廃した森の再生活動に取り組んできた。長い年月を要したが大きな成果を実らせつつあり、理解と共感の輪が全国に広がっている。

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C・W・ニコルさん
 「昨年の3・11大震災後、支え合う人々の姿を見て日本がますます好きになった。私も、自分なりの行動を起こさずにいられませんでした」――異口同音の肉声である。
旧知の写真家・大石芳野さんから「連載を読みましたよ」というメールをいただいた。彼女自身、被災地の現実を写真で伝えようと東北に通い続けている。「(記事に登場した)どの人も独特な考え方を持って日本に住んでいる。私たちは彼らから学ぶこと大だと思います」
連日の掲載は古参記者にとって楽ではなかったが、頑張って良かったと今は感じている。

(2012年7月27日 読売新聞)