獣骨を巻きこむ無頼の舌赤しはなし堕ちゆく夜の食卓に
眠られぬ汝がため麻薬の水汲めば窓より寒く雪渓は見ゆ
太陽が欲しくて父を怒らせし日よりむなしきものばかり恋ふ
春日井健「未成年」
○たとえば、雪の華-中島美嘉の、この今から確か7年前頃のクリップを見てみると、最初私が彼女の歌い方を見てびっくりしてしまった新鮮な記憶が蘇ってくる。
空から雪がどんどん降ってくる中で、せつない恋の思いを、彼女はアイドル歌手のような派手な振り付けや笑顔ではなくて、まさに、苦悶の表情でしかも背中を醜くまげながら、足は靴もはかずに、裸足で歌う彼女のスタイルを見て、尾崎の歌に出会ったときのように感銘した。
詩がそこに確かに、ある。
この「せつなさ」と「花」と「死」がない詩にはどうもわたしはひかれないのだ。
春日井健にも中島美嘉のこの歌の声にもそれがある。
sotomi 松本良喜の、詩と曲を、ここまで表現できるのはすごいと思ったのだ。
ただ、最近の中島美嘉にそれは感じない。そのことがせつなくなる。人は皆何かを得るとなにかを失うのかもしれませんね。