壁に描いた「決して落ちない落ち葉」 |   心のサプリ (絵のある生活) 

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画家KIYOTOの病的記録・備忘録ブログ
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O・ヘンリ短編集 (1) (新潮文庫)/O・ヘンリ

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オー・ヘンリーと言えば、「枯れ葉」があまりにも有名。
テクニックに走り過ぎとの評価もあり、好き嫌いもあるとは思うが、この短編は何回読んでもおもしろい。

特に私が惹かれるのは、日々やつれはてるありとあらゆる夢を失った女性のために、自称才能はあるがこれまでまったくチャンスにめぐまれなかった画家の老いぼれが、壁に描いた「決して落ちない落ち葉」である。

彼女は無意識にこころで感じている。「あの葉が落ちたときに私も落ちる」

死をかけて、老人は葉っぱを描くのであるが、目的は「有名になる」ことでもなく、「金」をもうけることでもなく、ただ、死を目前に弱り切っている知り合いの女性のために、ただ必死に窓から見えるあと一枚だけ残った落ち葉を「おちないように」することだけであった。

わけのわからない最近のまさに「サービス精神」の過剰な、映画の真似をしている小説群を読んでいる暇があったら、私は古典を再度読み直す夜が好きですね。
読み返すたびに、違う感想や違うヒントをもらうことができます。
それはお米を何度も噛みしめながら味わう食事のような感じもしますね。
そしてその物語は決して脳裏から去ることも消え去ることもなく静かに沈殿していきます。


もちろんそんな静かな夜長に聞く曲としては、「大人のジャズ」がさりげなくかかっておれば、至高体験です。弘田三枝子最高です。