■稲垣足穂が真夜中の自動販売機の青の光について書いている、存在の光、青い今にも消えそうな、男の
集中力は女を愛するときもその行為の最中も、いつか離れるこの肉体について、考えるのである。「未練」するのである。次に彼女を愛するだろう男の行為のことまで想像するのである。そして、今の彼女を手放したくなくなるのである。男はいつまでも、別れた女のことを考える。ひょっとしてまた愛し合えるチャンスはくるのかもしれないと。未練たらたら。■それに反して女は強いと言われる。あんなに好きだったのに、次の男があらわれるや、もう以前の男の手紙なんか見やしない、今の男にぞっこんになるのである、「現在」のなかの「永劫」に没頭する・その意味では永遠を手にしているのかもしれない。いつでも、本気なのである。そして次の男にも本気になる。そしてその事実がどんどん続いていくだけで、生活が続く、子供ができている、子供の存在が大きくなる。愛が男から子供に移る瞬間か。