親知らずを抜きました。
泣かずに我慢したワタクシは偉いよね?w
太田愛さんの「天上の葦」
この種の本を読み返すことは殆どないのですが、この作品は別。
今の社会・政治状況に少しでも疑問を感じているなら、是非読んでもらいたい本です。
鑓水七雄、相馬亮介、繁藤修司の3人が中心人物。
時系列的に「犯罪者」→「幻夏」→「天上の葦」という刊行順に読むのが
3人の関係性を理解するには望ましいんですが、先に読んでも内容理解には
問題ありません。
憲法改正について
リヴァイアサンたる国家権力を縛るために作られた法律を憲法と称します。
ある国の首相は、憲法は国の理想を示したものだと述べていたと記憶して
いますが、上記の定義から考えれば、それは憲法とは呼べません。
国家理想法とでも言うべきもので、決して憲法ではない。
そもそも「理想」を記したに過ぎないものが、法的効力を持って国民の権利
や義務に介入することが許されるのでしょうか。
もし欧米でそんなことを言ったら、愚か者呼ばわりされて相手にされません。
世俗(政治)権力として王権が絶対であった中世ヨーロッパ。
一般民衆は王に抗う術はなく、圧政に喘ぐことが日常でした。
そんな、神から授けられた(とされる)王権を否定して、血塗られた革命の中、
「生まれながらに」人は生きる権利を持っているという「人権概念」を打ち立て、
勝ち取ったのがたのがフランスです。
これによって、今のわたしたち市井の人間が、自由かつ平等に生きることが
可能になったのです。
そして、国家権力のような巨大な権力が、人権を侵害することのないよう、
縛りをかけるべく作られたのが憲法なのです。
もちろん、どんな権利であっても、それが無制限に保証されるものではありません。
現憲法は「公共の福祉に反しない限り」という条件を付しています。
今般の自民党改憲草案では、「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に換える
内容となっています。
https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/pamphlet/kenpou_qa.pdf
日本国憲法改正草案 Q&A Q15参照
自民党は
「公の秩序」と規定したのは、「反国家的な行動を取り締まる」ことを意図したも
のではありません。「公の秩序」とは「社会秩序」のことであり、平穏な社会生活
のことを意味します。
としていますが、それならなぜ単に「社会秩序」と明記しなかったのでしょうか。
「公益」と「公の秩序」は、「国家利益」と「国家の秩序」に容易に読み替え
可能です。国家が国民の上に立つ時代を意図していると思われても仕方が
ないでしょう。
主権者は国民です。主権者たる国民が集って国家を形成し、
国民が議員を選び、間接的に政府の代表者を選ぶのです。
国家(国家の行政権は内閣にあり、その代表者は内閣総理大臣)が主となって
国民は国家の僕となるのではありません。
この内容を、国民一般に広く周知し、論議をせずに憲法改正に向かうのは
一種のまやかしです。
20代の若者の多くは、現政権支持者が多いようです。
今の憲法が自民案通りに改正されれば、未来の自分たちや子孫にとって、
問題になることは明白です。それをどこまで彼らは知っているのでしょうか。
なんとかミクスで経済は良くなった。
様々な指標をいじくり倒してそう見せかけ、国民の支持を取り付けて憲法改正。
現政権の真の目的は憲法改正であって、経済は国民へ撒いた釣り餌です。
憲法改正自体が悪いとは思いません。
ですが、今の草案にはとても賛成できないのです。
わたしのような年寄りに残された時間は多くありませんから、改正の影響を
知らずに人生を終えるかもしれません。
また、そう容易く人権が国家によって制限されるとも思えません。
しかし、一旦改正憲法が成立してしまえば、それは時限爆弾と同じです。
いつ、どんな政権が「直ちに」「国家秩序の保護」を理由に、人々の人権に
介入しても不思議ではありません。
そして、国民はそれに抗うことは絶対にできません。
「憲法」に明記されているからです。
興味のある方は一読を