不法駐輪はどのようにして蔓延ったのか | 野良猫の目

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このような不法駐輪がどのようにして蔓延ったと居住者が認識しているのかが、昨年(2013年2月)に理事会が居住者向け(「区分所有者」ではない。)に実施したアンケートの分析と、管理組合の役員をやっていた方の話からわかります。それは概ね次のようなものです。

 

 

1.管理規約、自転車置場利用細則などの周知活動を行わない理事会

ボナール戸越では、自転車置場の利用は事前許可制となっており、かつ、自転車置場以外のところに自転車を置いてはいけないことになっています。これがきちんと周知され守られていれば、不法駐輪など殆どあり得ないのです。それにも関わらす、少なくともここ十年来の理事会は、自転車の駐輪に関するルールについてきちんとした説明資料を区分所有者・居住者に配布したり、必要最小限の注意を掲示版で貼り出すなど区分所有者や居住者に周知するのを見たことがありません。

 

例えば;

「当マンションでは自転車置場の利用は事前に理事長の許可を受けな

ければなりません。また、自転車置場以外のところへの駐輪は禁止さ

れていますので、自転車を購入する際には事前にご相談ください。」

 

と掲示するだけで、居住者への周知の機会が得られるわけです。ところがここ10年来の理事会はこのような簡単なことさえせずに、この問題から逃げてきたのです。

 

このようなことが一切行われないことで、新たな入居者は事前の許可を受けることなく(許可が必要なことを知る機会もなく)自転車を購入してボナール戸越に持ち込むのです。そして、「この自転車どこに置いたらいいですか?」と管理事務所の管理員に聞きます。

そこで自転車置場場利用細則など頭にない管理員は適当な場所を指さし「ここに置いてください。」とその場凌ぎをします。後は誰が何を言ってきても自転車を持ち込んだ者は「管理員がここに置けと言ったんだ。」と言い張ってお終いです。

 

本来であればこんなことに対しては、理事長は管理員をその居住者のところにつれて行き、「管理員が不適切な案内をして申し訳ありません。」と自ら謝罪し、ルールと手続きについて説明し、そのうえで管理員に頭を下げさせて自転車の撤去をお願いしなければならないのです。

しかし理事会は、「管理員が言ったんならしかたない。」とばかりに、何もしないでいたようです。要は、理事達は“格好悪いこと”はしたくないのでしょう。

 

一台を許してしまえば不法駐輪自転車は増えるばかりです。後から自転車を持ち込んだ人は、「あそこに自転車が置いてあるのに、どうして私のはだめなんですか。」と開き直って、自分の好きな場所に自転車を置いてしまえば終わりです。

 

そうして収拾が付かなくなったものですから、前回に紹介したように、理事会は姑息にも「一時的に駐輪」する場所として線引きしたのだそうです。

 

その結果が前回掲載の写真です。

 

 

2.批判的な他の居住者たちの声に耳を塞ぐ理事会

居住者向けアンケートの結果では、このような理事会(回答によっては「理事長」と名指し)に対して批判的な声が寄せられました。67名のアンケート回答者から寄せられた意見(一人の回答者が複数の意見を出しているものがあります。)では、理事会や管理会社が取るべき措置を取らなかったことを非難する意見が13件、更にそれによって生じた問題点を指摘する意見が50件でています(アンケート5~6ページ。)。

 

この50件の内訳は次のようなものです。

 

(1)マンションの美観が損なわれているなどの不法駐輪の常態化に

    伴う問題点の指摘(20件)

(2)他の善良な居住者の自転車置場利用者の利便を損なっているこ

    となどの自転車置き場の運用上支障が出ていることの指摘(9件)

(3)通路に置かれている不法駐輪自転車が居住者の通行を妨害して

    いるなどに利便性を損なっていることの指摘(17件)

(4)自転車の転倒し人が怪我をする危険、居住者の通行時や非常

    避難時の支障になること、避難経路が確保されていないことなど

    安全上の問題の指摘(4件

 

しかし、理事会が これらの意見に耳を傾けることはありませんでした。理事会は、過去2回の定期総会(2022年、2023年)でこの不法駐輪を固定化するような「自転車置場の増設」の提案を議題として上げたのです。2022年は自転車置場が消防計画で定められた避難経路を塞いていることが総会で指摘され、議題の取り下げを余儀なくされたのですが、2023年はアンケートで区分所有者から寄せられている上述の問題指摘を区分所有者に公開することなく、これを無視してまでも同様の議題を上げたのです。その結果特別決議に必要な組合員総数・議決権総数の4分の3以上の賛成が得られずまたも否決となりました。

 

ところが、理事会はまるで何かに取り憑かれたかのように、またしても組合員に対してはアンケート結果を公表しないまま、まるで不意打ちのように来る2024年3月10日に臨時総会を開き、同じ内容の議題を諮ろうとしているのです。私にはこれがまともな社会人としての常識をもった人間のやることとは思えないのですが、ここまでして理事会がマンションの景観を損ない、善良な居住者の安全と利便を無視し、不法駐輪者のために繰り返し自転車置場の増設を試みる背景には一体何があるのでしょう。

 

資料:自転車置場に関するアンケート(2023年2月実施)の集計