日本は米軍の占領下にあるアメリカの植民地です。 -日本が独立国でないことの自覚から全てが始まる- | 野良猫の目

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「自衛隊は軍隊ではない」との言葉を特定の政党に対する批判などで聞きますが、正直なところ、私にこの言葉を発する人の言葉のセンスが理解出来ません。

 

「自衛隊」というのは日本語の普通名詞としての「軍隊」に付けられた固有名詞であり、国際法上は「軍隊」と評価されることは疑いようもありません。同じような言葉の置き換えによる誤魔化しは、軍事関係では数え切れないほどあります。兵器・武器を「防衛装備」と呼び、軍艦を「護衛艦」と呼んでいます。最近では敵基地攻撃能力を「反撃能力」と置き換えました。しかしながら目論んでいることは変更されないままです。このような自民党による言葉の置き換えに踊らされる自民党心酔者の醜態には「馬鹿馬鹿しい」を超えて怒りさえ覚えます(備考※1)。

 

しかしながら、自衛隊を巡る言葉の置き換えはいうなれば些細なものであり、その最大かつ最悪な言葉の誤魔化しが、この国を独立国のように偽装している「日本国」という呼び方なのだと考えています。

 

 

1.日本国はいまだ米軍の占領下にある

安保条約や地位協定、ジャーナリストの著作などで紹介されている吉田茂と極東軍司令官であるクラーク大将との“指揮権密約”などの密約に関するアメリカで公表されている文書などを読めば、日本全体が軍事的には米軍の占領状態にあり、かつ自衛隊は米軍の一部であることがわかります。そして2015年4月に安倍晋三元首相が行った米国連邦議会上下両院合同会議での演説は、まさに米国に完全服従する日本政府の「忠誠の誓い・第2の敗戦の宣言」という見方ができます。米国の議会で大喝采を浴びるのも当然です。

 

また、地位協定を根拠に、日本の民間の空港を始め日本の諸施設は、いつでも米軍が軍事目的で利用できることも忘れてはなりません。そのなかで、米軍は日本国内で好き勝手に訓練をし、場合によっては国内の施設や街並みそしてそこに住む人々を仮想標的としているのではないかと思われる事例も報道されています。

 

そして、忘れてはいけないのは、日本の自衛隊の軍事的な役割は、日本の人々を守るためではなく、日本にある米軍の基地を守るためにあるという事だったのです。そればかりか、最近では「台湾有事」などの言葉で危機感をあおり、米国・米軍の言いなりに(←ということはひた隠しにされているのでしょうが…)核の共有だとか、軍事費の倍増などを押し進め、米軍の負担の肩代わりと同時にアメリカの軍需産業の予算達成に勤しんでいます。繰り返しますが、自衛隊の軍備は決して日本の人々の安全のためではありません。既に「日本にある米軍の基地を守るため」というレベルを超えて、米軍の攻撃対象国・地域への侵攻の先鋒を担うレベルに達しています。そこでは自衛隊員が米国・米軍のために殺され他国の人を殺すのです。日本の政府は自国の人々に対して近隣国による軍事的脅威を煽る一方で、日本政府と米国・米軍が近隣諸国との軍事的緊張を高めることをやっているのです。

 

 

2.日本は米国の植民地であり、政治的・経済的な自由はない

安保条約は、とかく軍事同盟の条約であるかのような印象を多くの市民が持っているように思いますが、安保条約は軍事同盟のためだけの条約ではありません。安保条約の経済条項(備考※2)を読めば、日本は経済的にも米国の言いなりになる植民地に過ぎない事が分かります。すでに以前にこのブログでも書きましたが、労働者派遣業などの労働法制、景品表示法、商法(会社法)など事あるごとにアメリカの要求に従って規制が緩和され、そのしわ寄せで弱い立場の人々が苦しんでいます。また、最近の円安も米国に対する影響を図りかねて米国からの指示待ちの状態になっていると推測できます。結局は日本の経済(←この言葉はそれが持つ領域が不明確なので嫌いなのですが…)は米国の言いなりになっています。

 

 

3.日本の外交も米国の使い走り

砂川事件の判決を見ても、日本の裁判所は米軍の行為についての判断はしません日米安保条約こそが日本国憲法の上位にある事実上の「日本国の最高法規」なのです。このことはひた隠しにされています。

また、一見一人前の外交を展開してるように見えるものも、事実はアメリカの使い走りに過ぎないと勘ぐりたくなるようなことが多々ありました。G7も、事実上は「G6」なのだと私は考えています。カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、英国、米国の事実上白人が統治する6か国に日本がアメリカの2票目として随行しているのに過ぎません。このようなメンバー国の首脳が折々見せる日本の首相に対する冷淡な態度は、単に首相の語学力の問題ではないのでしょう。日本が対等に付き合うのに値しない“おみそ”のような存在でしかない実態をメンバー国の首脳は知っているからでしょう。それでも米国にとっては“貴重な2票目”ですし、G6のメンバー国にとっても「“G7”にアジアの国も参加している」かのように偽装できるところもメリットといえるでしょう。それを恰も日本が主要国と対等に扱われていると思い込んでいるような日本の“愛国者”達の姿は、私には滑稽に感じます。

 

 

4.日本の立ち位置を正しく認識して、真の独立国を目指す運動が必要

政府が安保条約を締結した1951年(昭和26年)以降の日本国は米国の植民地であり、米軍の占領地であり、偽装独立国に過ぎません。それでも歴代の自民政権の首相の中には、日本国憲法を盾にして一線を守る努力をしてきた人がいました。しかし、安倍晋三元首相は、その在任中に経済的にも軍事的にも次から次へと売国行為を行い、更に自衛隊員の命までも米軍に献上しました日本を一人前の独立国のようにみせていることこそが最大の「言葉の置き換え」であって、「自衛隊」の呼称の問題などは、小さな一つのサンプルに過ぎません。

 

逆の意味において、米国による日本の植民地としての統治は世界史に残る成功例だったと言えるでしょう。これは決して“ものの例えとして”自分のいる国を卑下しているのではなく、安保条約、地位協定を始めとして、諸資料をつけ合わせれば当然に出てくる事実なのです。しかしながら、そのような状態に甘んじているのも日本の人々の情けないところです。米国政府は民衆の動きを注視しています。「これでは政権が持たない。」という言葉が傀儡政権から米国・米軍に届くような運動を民衆が展開しなければ米国・米軍を動かすことは出来ません。

 

日本が真の独立国となるために、その第一歩として何をしなければならないか、その次に何をしなければならないかといったステップを政治家は人々に示すべき時が来ているのだと思います。そしてそれが出来ない政治家は何としても政界から追放しなければならないと思います。

 

 

 

【備考】

※1:私は、日本国憲法第9条と国連憲章第2条第4項は自衛のための戦力を否定したものではないと考えています。ですから、問題は日本に「自衛隊」と固有名詞で呼ばれる軍隊があるかどうかではなく、自衛隊にどのような役割を負わせるか(=何をやるか)ということであり、その役割が違憲なのかどうかを、国連憲章等の国際法に照らして適切なものなのかという視点からの線引きをしなければならない筈だと思うのです。

 

※2:日米条約の「経済条項」と呼ばれる部分

第2条 締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することによつて、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。

締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。