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衆議院選の党首の議論の中で、キシダ首相の敵基地攻撃能力の保有についての考え方が繰り返し報道されています。敵基地攻撃能力についての議論を聞く度に、いつも思うことは「立場を逆転して考えたらどうなるのか」ということです。
そこで、普段思っていることを書き出してみました。
私は、軍事的な問題については殆ど知識がないので、とんでもないことを言っているのかも知れませんが……。
１．イージスシステムから敵基地攻撃能力へシフト
自民党政権は、敵から発射されるミサイルを迎撃するためと言ってイージスシステムを導入しました。イージスシステムにしても、予め着弾地を想定してあれば迎撃が可能と聞いていますが、それ以外に向けられたものは迎撃不可能というのは、以前ブログに書きました。
そんなことはさっぱり忘れたかのように、安倍政権は、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）や中華人民共和国（中国）への攻撃を想定した「敵基地攻撃能力」について、その必要性を訴えだしました。であれば、多額の費用を投下したイージスシステムは一体何だったのかということになります。
敵基地攻撃能力とは、ミサイル発射基地に対する先制的な攻撃能力を備えることで、敵国にミサイルの発射を思いとどまらせることを狙いとしたものだと説明されています。若しそのとおりのものであれば、ミサイルの発射基地が自衛隊によって事前に把握されていなければなりません。また、日本が敵国から先制攻撃を受けた場合に報復するためのものだと主張する人もいますが、それが本当だとすれば“ミサイルを発射した後の敵基地”と発射能力が残っている基地とを峻別する能力を自衛隊が備えていることになりますが、そのような能力を独自で備えているとの話は聞いたことがありません。それらのことを考えれば、敵基地攻撃能力なるものが“ミサイルの発射を思いとどまらせるもの”にせよ“報復のためのもの”にせよ、どの程度根拠のあるものなのか疑わしく思っています。
２．北朝鮮から日本列島を見れば？
ここで発想を逆転させ、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の立場から見た日本を想像して考えてみます。
最初に考えなければならないポイントは、北朝鮮軍と国連軍（実質的には米軍）は朝鮮戦争の休戦協定で現時点では戦闘こそないものの、今もなお戦争状態にあることです。そして国連軍後方司令部は米軍の横田基地（東京都福生市）にあります。このことで、北朝鮮から見れば、実質的な敵国である米軍の基地が日本にあることになります。そして米軍には、「イラクは大量破壊兵器を保有している疑いか強い」などと主張して、イラクに先制攻撃をしてフセイン政権を倒した“前科”があります。この大量破壊兵器云々は、後日、米国の情報機関により誇張されたものであったことが米国議会内の委員会によって報告されましたが、このような米国の前科を考えれば、日本に米軍の基地があること自体が北朝鮮の安全を脅かしているといえるでしょう。
次のポイントは、北朝鮮から見れば、日本の自衛隊は米軍と一体化しており自衛隊の戦力の強化は、畢竟、在日米軍の軍事力の強化を意味すると考えられることです。日米安保条約や日米地位協定そして日米指揮権密約などにより、自衛隊は戦時には米軍の指揮の下で作戦を行うことになります。
更に、アベ首相が2015年４月29日に米国連邦議会上下両院合同会議で行った演説で、日米の軍事力の一体化を打ち出しました。この演説後の自衛隊の米軍との合同訓練の様子をみれば、この一体化が現実に実行されていることを実感できるでしょう。
これを北朝鮮から見れば、日本政府にその認識があるか否かに関わらず、日本が朝鮮戦争に参戦したと北朝鮮に解釈され主張されたとしても致し方ないでしょう。
北朝鮮からみれば、自衛隊が敵基地攻撃能力を備えることは、戦争状態にある米軍が北朝鮮への攻撃能力を強化することであり、更なる北朝鮮に対しての脅し以外の何物でもありません。日本政府は、国民に向けて恰も北朝鮮が日本国に対する直接の脅威であるかのような印象操作を行っていますが、その実、米軍の傀儡である日本政府が北朝鮮の危機感を煽っているといえます。
このような前提に立てば、北朝鮮が日本の政治に大きな動きがある度にミサイルを発射することは、北朝鮮が日本にある米軍基地・自衛隊基地に対する先制的な「敵基地攻撃能力」を持っていることを誇示していると考えることができますし、自走式のミサイル発射装置やトンネルの中に隠していた列車から発射できるミサイルは、北朝鮮が先制攻撃をされた場合の報復攻撃能力をも誇示して、米軍（その下請けである自衛隊を含む。）の軍事行動を牽制（抑止）していると言えるでしょう。
終わりに －使い捨てされる日本の自衛隊－
自民党政権は、自衛隊の軍事力の拡大が米国と米軍の肩代わりとして行われているにも関わらず、北朝鮮や中国によって“日本の国家（統治機構としての国家）”の独立と“国民の安全”が脅かされているかのような印象操作を行い、そのためのコストを日本国民に負担させています。
仮にイラクのときのように米国の過ちによって米国と北朝鮮や中国との間で戦争が起きたとしても、日本にある米軍基地とその下請けである自衛隊が北朝鮮からの攻撃目標になり、日本国民が血を流すことになるでしょう。北朝鮮から見れば日本列島は、かつて中曽根康弘が言ったように米軍のための“不沈空母”でしかないように思います。
米軍は、台湾海峡や北朝鮮への自衛隊員の派兵を含め自衛隊を散々使い倒した挙げ句、いざ“戦況我に利あらず”となったら、日本の首相に「自分の国は自分で守るのは当然だ。あんた、いつも国民にそう言っているでしょう」と言って、サッサと日本の基地から撤退するでしょう。米国というのはそういう国なのです。
あー、書いていて馬鹿らしくなってきた。