グレンデール市の従軍慰安婦像裁判からも分かる、米国が関わらなければ戦後処理を決められない日本政府 | 野良猫の目

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青色の文字にはリンクが貼ってあります。】

 

 

前回、徴用工の問題で、日韓請求権協定が、国連(事実上は米国か?)あるいは国の関与の下で成立されたことについて書きましたが、2015年の従軍慰安婦合意についても、米国の関与があったことが外務省の資料からわかります。

 

 

米国カリフォルニア州で、現地在留邦人等がグレンデール市内の公園に設置された従軍慰安婦像について争った裁判で、日本政府は米国の連邦最高裁判所に意見書を提出しました。その中で、まず1965年の日韓請求権協定について言及し、次いで、従軍慰安婦問題については2015年の日韓合意で解決済みであると説明しています。

 

 

その中で、2015年の日韓合意について、“That agreement was achieved with the support of, and welcomed by, the United States.(3ページ)”、そして、“Indeed, Japan and Korea's on going diplomacy on the issue, supported by the United States, led to an aforementioned agreement in 2015 as well.(11ページ)”と述べており、この合意の成立にはアメリカ政府の関与があったことが分かります。

 

この、連邦最高裁判所への意見書は外務省のサイトで公開されていますが、残念ながら、日本語はごく一部だけの「一部抜粋」、「仮訳」となっており(英語16ページに対して、日本語訳約2分の1ページ)、上に引用した部分は日本語訳にはありません。全文を和訳して国民に公開すると都合が悪いとことがあると、外務省は考えているかのようです(私の印象では、「この部分は知られたくないかもしれない」と思う部分がいくつかありますが……。)。

 

因みに、「慰安婦問題に関する我が国政府の基本的立場や取組について適切に説明し、正確な理解を求めてき(上記サイトのページより引用)」た日本政府が提出した意見書は功を奏さなかったようで、この裁判では原告の現地在留邦人等が敗訴しているそうです。しかし、私には、「敗訴した」という事実の記載も外務省のサイトのウェブページでは見つけることはできませんでした(注)。

 

 

この意見書からも、今日でも従軍慰安婦問題のように戦後処理の一環として行われるものは、米国の関与なしには処理できないという日本と韓国の事情が見えてきます。

  

脱線しますが……、

同様のことは、おそらく竹島についても言えるのでしょう。ことの経緯はともかく、竹島の現状は、米国(米軍)の関与の下で固定されたように思えます。そして、残念なことに、日本国民はそのことを知らされていないだけのことなのでしょう。

 

 

注:ここでは、従軍慰安婦を巡る議論をすることが目的ではないので、この裁判の内容については省略しますが、興味のある方は、「グレンデール市」、「従軍慰安婦像」、「裁判」などのキーワードを並べて検索すれば、いろいろな記事がでてきますので、確認してみてください。