【DTM】モーツァルト/バレエ音楽
『レ・プティ・リアン』,K.299b-序曲
Programming Music:
W.A.Mozart : Overture to Les Petits Riens,K.299b
Programed by: Hummel Note
DAW & Sequencer: Dorico Pro Sounds: NotePerformer
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モーツァルトのバレエ音楽『レ・プティ・リアン』─ 傑作序曲と「寄せ集め」の秘密
こんにちは。今回は、モーツァルトが残した数少ないバレエ音楽『レ・プティ・リアン』(Les Petits Riens / K.299b)についてご紹介したいと思います。
フランス語で「些細なこと」や「取るに足らないもの」という意味を持つこのタイトル。なんだか少し控えめな名前ですが、実は華やかなパリの空気をたっぷりまとった、とても優美で魅力的な作品なんです。
よく単独で演奏される有名な「序曲」の魅力から、この作品が抱える「他の人の曲が混ざっている?」というちょっと面白い秘密を紐解いていきましょう。
1. 『レ・プティ・リアン』の誕生と数奇な運命
時計の針を少し戻して、1778年の初夏。当時22歳のモーツァルトは、就職活動のためにパリに滞在していましたが、なかなか思うような成果が出ずに苦労していました。
そんな中、パリ・オペラ座のバレエ・マスターを務めていた知り合いのジャン=ジョルジュ・ノヴェールから、ある依頼が舞い込みます。それは、上演されるオペラの合間に挟む「バレエ・パントマイム」のための音楽を作ってほしい、というものでした。
同年6月に初演されて見事に好評を博したのですが、なんと当時の慣例により、ポスターには振付師であるノヴェールの名前しか載らず、モーツァルトの名前はどこにもクレジットされませんでした(しかも無報酬だったそうです…)。
その後、この作品は長く忘れ去られてしまうのですが、100年近く経った1872年、パリ・オペラ座の書庫から偶然スコア(筆写譜)が発見され、「モーツァルトの作品」として奇跡的に再び世に知られることになりました。
作品全体は、単一楽章の「序曲」と、それに続くガヴォットやパスピエといった複数の短い舞曲群で構成されています。
2. 祝祭的で生命力に溢れる「序曲」
全曲の中でも特に人気が高く、現在ではバレエから切り離されて「演奏会用序曲」としてコンサートでよく演奏されるのが、この序曲です。
自由でゆったり、ワクワク感
ハ長調、アレグロ、4/4拍子で書かれたこの曲は、かっちりとした「ソナタ形式」というよりも、ソナタ形式とロンド形式をミックスしたような、とても自由で即興的な構成を持っています。
交響曲の第1楽章にあるような、メロディを複雑にこねくり回す「展開部」はほとんどありません。2つの主要なメロディが登場したあと、それらが転調せずにパッと反復されて進んでいきます。この音楽はオペラの序曲とも性格が異なります。物語の予兆もなく、理論的な美しさよりも、次々と場面が変わっていくバレエの幕開けにふさわしい「ワクワク感」が優先されているからだと思われます。
マンハイムとパリの成果が詰まった響き
曲は、トランペットとティンパニを含むフル・オーケストラによる、お祭りのように輝かしいメロディで幕を開けます。
ここでぜひ注目していただきたいのが、オーケストラの中に「クラリネット」が含まれていることです。モーツァルトは、パリへ向かう前に滞在したマンハイムで、クラリネットの豊かな響きにすっかり魅了されていました。当時のパリのオーケストラの充実した管楽器の性能を存分に生かした、厚みのある華やかな響きは大きな聴きどころです。
モーツァルト特有の「疾走感」と、フランスならではの「ギャラント様式(優美で軽快なスタイル)」が見事に溶け合った、一瞬で心を掴まれる名曲です。ただパリ交響曲のような華やかさやクレッシェンドを活かした作風でもないため、モーツァルトの管弦楽曲のなかでは異彩を放っています。
3. 実は全部がモーツァルトの曲じゃない? ─ 「寄せ集め」の秘密
さて、ここからが少し面白いお話です。実は発見された『レ・プティ・リアン』のスコアは、全曲がモーツァルトひとりの手によって書かれたものではない、とされています。
「古い音楽に、新しい曲を半分混ぜただけ」
モーツァルト自身が1778年7月に父レオポルトへ宛てた手紙の中に、こんな記述が残っています。
「ノヴェールのためにこのバレエ音楽を書きました。といっても、彼が持っていた古い音楽の中に、僕の新しい曲を半分ほど混ぜただけです」
つまり、最初から最後まで新しく作曲したわけではなく、当時のバレエ興行でよくあった「既存の曲の寄せ集め(パスティッチョ)」の中に、モーツァルトが何曲か新曲を書き下ろして追加した、というのが本当のところのようです。
どこまでがモーツァルトの「真作」?
「ノヴェールが持っていた古い音楽」が具体的に誰の曲だったのかは、名前が記されていないため今でもはっきりとは分かっていません。
しかし、長年の音楽学者たちの緻密な分析によって、発見されたスコア(序曲と20曲の舞曲)のうち、以下の曲は「間違いなくモーツァルトの真作」だとほぼ確実視されています。
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序曲
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第1曲~第13曲(※版によっては14曲)
これらは、オーケストレーションの洗練度合いやメロディの豊かさ、そして何より管楽器(クラリネットやオーボエ)の見事な使い方から、「これは天才モーツァルトにしか書けない!」と判断されています。逆に残りの曲は、和音の進行や管楽器の扱いが少し平坦で、モーツァルトのスタイルとは異なるとされています。
そのため、現在のコンサートやCD録音では、他の作曲家の曲を省き、「モーツァルトの真作」と判定された序曲と13(または14)の舞曲だけを抜粋して演奏するのが一般的になっています。
4.序曲の制作ノート
今回の制作にあたって、注意したことは「もっさりした演奏」にならないようにすることでした。このバレエ曲もとくに序曲は多数録音されていますが、意外ともっさりした演奏が多いです。そうならないためにテンポ設定とアクセントは明確になるように意識しました。いつものようにNoteperformerという音源でフレーズ事何回も確認しながら作っていきますので、完成した時には聞き飽きています(笑)
