モーツァルトの序曲打ち込みシリーズ、今回は初期のオペラ『ラ・フィンタ・センプリーチェ』K.51 の序曲です。おそらくモーツァルトマニアでなければ大半の人は聞いた事がないオペラだと思います。なので少しこのオペラについて説明します。
歌劇『ラ・フィンタ・センプリーチェ』K.51 って?
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作曲時期: 1768年(ウィーン)
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初演: 1769年5月1日(ザルツブルク)
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台本: カルロ・ゴルドーニの台本を基に、マルコ・コルテッリーニが改作
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ジャンル: オペラ・ブッファ(全3幕)
【作曲と初演の背景】
天才坊やとしてウィーンの宮廷でも話題となっていたモーツァルト。1768年、ウィーンの神聖ローマ皇帝ヨーゼフ2世の示唆を受けた12歳のモーツァルトは、このオペラの作曲に取り掛かりました。しかし、「12歳の子供に立派なオペラが書けるはずがない」というウィーンの音楽家たちの嫉妬や陰謀により、予定されていたウィーンでの初演は妨害され、お蔵入りとなってしまいます。結局、翌1769年に父レオポルトの勤め先であるザルツブルクの宮廷で初演されました。
【あらすじ】
タイトルは「純真を装う女」で、「見てくれの馬鹿娘」と訳されているものもあります。ハンガリーの男爵夫人ロジーナが、あえて「世間知らずで単純な娘」のふりをして、女性不信でケチな男性カッサンドロの心を開かせ、周囲の複雑な恋愛模様も円満に解決へと導いていくという喜劇です。12歳の少年が書いたとは思えないほど、登場人物の性格描写やアンサンブル(重唱)が見事に音楽で表現されています。
とはいえ後のモーツァルトの技量とは当たり前ですが技量が違いすぎて、長いレチタティーボ とダ・カーポ形式の長いアリアが続くため、音だけ聞いていると退屈してしまうでしょう。
序曲についての解説
このオペラの序曲(シンフォニア)は、全くのゼロから新しく作曲されたものではなく、直前に完成させていた交響曲を転用・改作したものです。
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原曲: 交響曲 第7番 ニ長調 K.45(1768年1月完成)
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構成の変更: 原曲の交響曲第7番は「急-緩-舞-急」の4楽章構成でしたが、オペラの序曲として使用するにあたり、第3楽章のメヌエットを丸ごと削除しました。これにより、当時のイタリア風序曲の定型である「急-緩-急」の3部分構成(K.46a)に仕立て直しています。
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楽器編成の変更: 劇場のオーケストラピットでの演奏に合わせて手が加えられました。原曲交響曲はオーボエ2、ホルン2、トランペット2、ティンパニと弦楽部でしたが、そこにフルート2、とファゴット2を加えて色彩感を豊かにしています。オペラではトランペットとティンパニは省かれましたが、この打ち込みでは残してます。祝祭的で華やかなニ長調の響きを持ち、後のモーツァルトの傑作オペラ群へと繋がりませんが、若き天才の和声やオーケストレーションのセンスはすでに感じ取ることができるでしょう。
W.A.モーツァルト/歌劇『ラ・フィンタ・センプリーチェ』K.51 -序曲
