【DTMクラシック】モーツァルト/『後宮からの逃走』序曲 | クラシック音楽とお散歩写真のブログ

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今回は、モーツァルトがウィーンに出て一人立ちしたての頃の青春オペラ『後宮からの逃走(Die Entfuhrung aus dem Serail)』の序曲を制作しました。
底抜けに明るく、エネルギーに満ち溢れた名曲です。

 

 

【制作クレジット】

  • プログラミング:Hummel Note

  • DAW & シーケンサー:Dorico Pro 6, Singer Song Writer 10 Lite

  • 使用音源:NotePerformer 5(メイン)、HALion Sonic 7(トライアングル、シンバル、大太鼓)

  • サムネイル画像生成:ChatGPT & CyberLink PowerDirector

※動画内の楽譜はDorico 5の再生画面を使用しており、オリジナルのスコアとは異なります。これは、Doricoを「浄書(楽譜作成)ソフト」としてではなく、「MIDIデータ入力ソフト」として活用しているためです。譜面通りの記譜を再現することよりも、ダイナミクス(強弱)やテンポの指示が実際の演奏としてできる限り自然に聴こえるよう、独自の調整を施すことを重視しています。

 

💍 モーツァルトの私生活ともリンク? 制作エピソード

このオペラは、モーツァルトが26歳だった1782年にウィーンで初演され、彼にとってウィーンでの最初の大きな成功を収めた記念碑的な作品です。
当時のヨーロッパでは「トルコ趣味(オスマン帝国風の文化)」が大流行しており、神聖ローマ皇帝ヨーゼフ2世の命を受けて、モーツァルトはこの流行を取り入れたドイツ語の歌芝居(ジングシュピール)を作曲しました。
実はこの作品、モーツァルトの私生活と非常に面白いシンクロを起こしています。
劇中に登場する囚われのヒロインの名前は「コンスタンツェ」。なんと、当時のモーツァルトが親の反対を押し切って結婚しようとしていた実生活の婚約者と全く同じ名前! 彼が主人公に自分を重ね合わせ、熱烈な思いで筆を進めたであろうことは想像に難くありません。
また、初演を聴いた皇帝ヨーゼフ2世が「美しいが、音符が多すぎるな」と評したのに対し、モーツァルトが「陛下、必要なだけの音符しかありません」と堂々と返したという有名な逸話も残されています。

🕌 愛と寛容の物語:オペラのあらすじ

『後宮からの逃走』というタイトルの通り、舞台はトルコの太守(パシャ)であるセリムの宮殿です。
【簡単なあらすじ】
スペインの貴族ベルモンテの恋人コンスタンツェは、海賊に襲われて奴隷として売り飛ばされ、トルコの太守セリムの「後宮(ハレム)」に囚われてしまいます。
ベルモンテは恋人を救出するため、従者たちと共に宮殿へ潜入。気難しくてコミカルな番人・オスミンの妨害をかいくぐり、夜闇に乗じて逃走を図ります。しかし、あと一歩のところで捕まってしまい、万事休す……。
彼らは死刑を覚悟しますが、太守セリムは彼らを罰するどころか、なんと彼らの愛の深さに打たれ、無条件で全員を解放します。異文化間の対立を越えた「人間の寛容さ」を高らかに歌い上げて幕を閉じる、心温まるハッピーエンドの物語です。

🥁 トルコ音楽の熱狂!序曲の特徴とDTMでのこだわり

今回DTMで制作した「序曲」は、これから始まるドタバタ劇と情熱的なロマンスを予感させる、最高にワクワクする音楽です。
最大の聴きどころは以下の3つです。

  1. 熱狂の「トルコ音楽」
    当時ヨーロッパの人がイメージしていた「トルコ風」の音楽を表現するため、ピッコロ、トライアングル、シンバル、大太鼓といった打楽器群が大活躍します。DTMの制作でも、この打楽器の華やかさと迫力が前面に出るようにバランスを調整しましたがが、シンバルの響きが今一つかなと。。。

  2. 圧倒的な疾走感
    プレスト(きわめて速く)で演奏される弦楽器の細かいパッセージは、まさに「逃走」の緊迫感とエネルギーそのものです。打ち込みでも、生演奏のような躍動感を出すためにアーティキュレーションと疾走感を出せたらなぁと思いながらテンポや音バランスに気を配りました。

  3. 哀愁漂う中間部(ハ短調)
    勢いよく始まった音楽が途中でふっと静まり、短調の美しいメロディに切り替わります。実はこれ、第1幕で主人公ベルモンテが歌う「コンスタンツェを想うアリア」のメロディです。賑やかな部分と、この切ない部分のコントラストの美しさは、モーツァルトならではの天才的な構成です。

最後に、少し技術的なお話を。今回の楽曲制作にあたってのシステムと、こだわったポイントをご紹介します。

 

【打ち込みで苦労した点・こだわった点】

皇帝に「音符が多すぎる」と言わしめたモーツァルトの譜面は、DTMにおいても非常にやりごたえ(=苦労)があります。特にプレストで駆け抜ける弦楽器群の細かいパッセージは、ベタ打ちでは機械的になりすぎてしまうため、生演奏のような躍動感を出すためのMIDIデータの入力・調整にはかなりの時間を割きました。

モーツァルトの書いた「多すぎる音符(笑)」をDTMで一つ一つ紐解いていく作業は、面倒かつ肩も凝るのですが、だんだん出来上がっていく過程が面白いからやっているんだなぁと実感したりしています。
フンメルを打ち込んでいるときとは違う、有名曲ですので様々な参考にすべき録音がありますが、テンポ設定含めて自分好みの演奏に近づけるように作っていきました。

 

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