【DTMクラシック】フンメル/クラリネット四重奏曲 変ホ長調,WoO.5(S.79) | クラシック音楽とお散歩写真のブログ

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Sequenced Music
J.N.Hummel: Clarinet Quartet in E-flat,WoO.5(S.79)
Programed by Hummel Note
Daw&Sequencer:SSW10 Lite & Music Pro for Windows V5
Sounds:GARRITAN PERSONAL ORCHESTRA5

 
 クラリネット四重奏曲 変ホ長調は作曲者の生前には出版されておらず、未出版作品WoO.5という番号が付与されています。研究科のザックス通し番号ではS.78。1808年に作曲されました。

 

 この時期はやはりベートーヴェンがウイーンの話題を独り占めにするくらいの勢いがありました。

 

 1806年の3曲の弦楽四重奏曲「ラズモフスキー」を完成させ、1807年にはフンメルといざこざのきっかけとなったミサ曲,Op86が初演され、1808年は、交響曲第5番ハ短調op.67〈運命〉、交響曲第6番ヘ長調op.68「田園」(1807~1808)、ピアノ三重奏曲第5番ニ長調op.79-1「幽霊」、ピアノ・合唱・管弦楽のための幻想曲ハ短調op.80などの名曲が大量に生み出された時期です。
 
 一方フンメルはハイドンの後継者としてエルテルハージ家に仕えており、この時期はピアノ曲よりも、宮廷学長としての仕事であるミサ曲等の宗教音楽がメインで、その他はウイーンのアポロザールのための舞曲やパントマイム音楽、バレエ曲などが大量に生み出されていた時期でした。
 そんな中で1808年の作品リストを見るとポツンと唐突に3曲の弦楽四重奏曲とこのクラリネット四重奏曲が異彩を放っています。3曲の弦楽四重奏曲は出版されたのが1808年であって、作曲されたのは1804年ころとされています。実はベートーヴェンの弦楽四重奏曲「ラズモヌスキー」の出版に触発されて出版されたといわれています。

 

 そしてクラリネット四重奏曲は、フンメルが書いたソロ管楽器と弦楽器の組み合わせによる唯一の楽曲です。ピアノとフルート、ギター、マンドリン他、ピアノを伴う室内楽は多いですが、このジャンルは唯一のものです。

 

 

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00:06 - 1.Allegro Moderato
 第1楽章(Allegro Moderato)は弦が静かに主題を奏でるとそれに応えるかのようにクラリネットが入ってくる導入部。一聴するとモーツァルトのクラリネット五重奏へのオマージュかと思わせますが、その後の展開はどちらかというとベートーヴェンのラブモフスキー四重奏曲やハイドンの後期の弦楽四重奏に近いという感想を持ちます。

 

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10:55 - 2.La Seccatura - Allegro molto
 第2楽章(La Seccatura - Allegro molto)はスケルツォなのですが「La Seccatura」というタイトルがつけられています。これは「迷惑」とか「煩わしさ」といった意味です。
 なぜなら各楽器の拍子がバラバラで、クラリネットが2/4、ヴァイオリンが12/8、ヴィオラが3/4、チェロが6/8となっています。しかも途中で拍子が変わったりします。これは演奏者にとっては「演奏しにくい」、「譜読みしずらい」→「煩わしい」音楽 ということでしょうか。

 

「迷惑」とか「煩わしさ」という訳をしましたが、【室内楽の聴譜奏ノート】という演奏者側からの視点や解釈をつづられたmusique vcemouluさんのブログにもこの曲が取り上げられており、全楽章の解説をされていてとても参考になりました。そこでmusique vcemouluさんは「La Seccatura」というタイトルを「気苦労」と訳されています。

 

 私は伊語はわかりませんので、こちらの方が正解なのかもしれません。

 

musique vcemouluさんの記事

 

 しかし、私はこれをあえて「煩わしさ」としたい理由があります。

 

 

 この楽章を打ち込むときは、譜面ソフト側では拍子がバラバラのものも作ることができますが、私は譜面作成を目的としているわけではなく、DTMの打込のインターフェースとして楽譜ソフトを使用していますので、「さて?」となってしまいました。
 ただこの楽章全体を通してどのパートも6/8に置き換えられることに気が付いて、チェロパートの6/8を基本ベースにして、他のパートの音符を置き換えていきました。(下図)
 
cla101_008-vert
 煩わしい・・・・(笑)

 

 それよりも大変だったのが打ち込んだ後のDawでの編集です。細かなことは書けませんが、譜面打込にトータル12時間だとすると、編集して音源として完成させるのには60時間くらいかかっております(^▽^;)

 

※実際は1日2時間程度しか作業できないので日数では第2楽章だけで1か月くらいですかね。

 

 まったくもって「煩わしい」曲でした。

 

 

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18:08 - 3.Andante

 

 第3楽章(Andante)はこの曲の一番落ち着いた楽曲になっています。
 個人的にはこの楽章が最も好きです。モーツァルトのフリーメイソンの合唱曲や魔笛の中の重唱などに通じる世の中を達観した雰囲気を持っていて、ゆったり行進するようなメロディーにコード進行の変化によって色が変わっていく様はとても心に染み入ります。
 こんな打込ではなくて是非生の演奏を聴く機会がありましたら聞いてみてください。

 

 ちなみにお勧めのYouTube動画を紹介しておきますね。

 

ウイーン室内合奏団のメンバーによる日本公演(NHK)の時の放送時の映像と思われます。美しいです。

 

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24:33 - 4.Rondo - Allegretto
 終楽章(Rondo - Allegretto)はロンド形式のいかにもウイーン古典派の音楽といった楽曲です。
 テーマは落ち着いた感じでスタートしていますが、どのパートもだんだんと忙しなく動き回ってアンサンブルを形成しています。

 

 このクラリネット四重奏曲が出版されなかった理由は不明です。またこの曲がだれを想定して作られたものなのかも不明。この時期に付き合いのあったドゥカーテン・コンツェルトで共演していた奏者なのか、この時期に活躍していたドイツの名手、ハインリヒ・ヨーゼフ・ベールマンなのか、それともエステルハージ楽団に所属していた奏者を想定してなのか。私には資料がありません。

 

 
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