(はじめてこのブログをご覧になる方は、第1話 よりお読みください。)


第114話 自分のせい


翌週、涼子のもとに、一本の電話がかかってきた。
あの青年の母親からだった。
「すみません。以前息子がお世話になってまして・・・。」

「いえいえ、ここしばらく来られなかったみたいですが、
何かありましたか?」

「実は、また息子が引きこもってしまいまして・・・。」

「ええ!? こちらに来られたときは、一緒に就職
活動するって約束してくださったのに・・・。」

「はい。でも、すっかりやる気をなくしたみたいで、
また部屋から出てこなくなったんです。」

「そうですか・・・。」

涼子は彼が引きこもったのは自分のせいかもしれない、
と感じはじめていた。

「それで、今日たまたま口を開いたと思ったら、
そちらと約束してたと言ったので、それでお電話
したんです。本当にすみません。」

母親は悪そうに詫びた。

「いえいえ。できたら、お子さんとお話したい
んですけど・・・。」

ことの真相を知りたかった涼子は、
面談をもちかけた。

「はあ・・・。」

「明後日、ご自宅に伺います。」


続く・・・・・・

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第113話 無表情な青年


「そう。それに成功の定義もそれぞれ違うの。だからあの子に・・・」


2004年11月。

テレビや雑誌で“ニート”という言葉がにぎわい出したころ、
涼子は、若年者向けの就職相談所で、キャリアカウンセラー
の仕事をしていた。

「いろいろ思うところがあるのはわかるわ。
でも、とりあえずやってみたらどうかしら?」

長髪にポケットがたくさんついたカーキ色のズボン。
女性カウンセラーの言葉に、無表情な青年の目が机の
上のボールペンに落ちた。

「あなたならできるわ。あなたに合った仕事を私が
見つけてあげるから、がんばろうよ。」

「・・・・・・・・」

「どんな仕事が自分に合ってると思う?」

「わかりません。」

「じゃあ、仕事の適性検査をしてみましょう。
自分にどんな仕事が合っているのかわかるわよ。」

「はあ・・・。お願いします。」

涼子はひとしきり説明した後、その青年にパソコン
の画面の質問に答えていくよう促した。

そして、全ての質問が終了し、レーザープリンタから2枚の
結果の書いた紙を取り出して、つぶさに見た後で言った。

「えっと・・・。あなたの適性は、と・・・。
事務職って出てるわね。事務職はどうかしら?」

「はあ・・・。」

「では、とりあえず事務職で探してみてくださいね。」

「はい・・・。」

「来週、また来てください。一緒にがんばっていきましょう。」

涼子は笑顔で青年を送りだした。

が、次の週もその次の週も青年は現れなかった。


続く・・・・・・