今日から、新しい授業が入ります。
その生徒さんは、以前もこの塾で勉強していた
若い男の子。
ちょうど一年前ぐらいに、日本へ留学しましたが
今回の地震騒動で、台湾に帰ってきたそうです。
一年前、ある先生が日本に帰るとうことで
私は一人の生徒を引き継いだ。
T君、高校生。
彼は、私の前の先生が、とっても好きだったそう。
勉強ができず、毎日ゲームばかりしていたけれど
なんとなく一対一で始めた日本語の先生が
とても優しくて、真面目に勉強し始めたとのこと。
台湾で、日本語の先生というのは
そういう役割もあるらしい。
落ちこぼれてしまった子を見捨てず
優しく、辛抱強く、教え続ける。
当時の主任が
「彼は、本当にあの先生が好きなんですよ。」
と話していて、他の先生が
「それって、恋なんですか?」
と聞くと、主任はこう言った。
「なんていうかね…初めて見たものを親だと思って
ずっとついていく鳥、いるじゃないですか
あんな感じです。」
なるほど。
彼は高校の修学旅行で、階段から落ちて怪我をし
兵役がなくなった。
しかし、全く勉強していなかったので、大学にも行けない。
今後、何をするのか。
ということで、彼は
日本へ留学することになった。
彼と、彼の家族と、主任で、面談をした。
彼は、細かいことは何もわからない。
しかし、一つだけ、主張があった。
「熊本へ行きたい」
なぜなら、あの大好きだった先生が、熊本に帰ったから。
主任は悩み、唯一の彼の意見を、却下した。
正しい選択だと思う。
私が彼の授業をやったのは
日本へ行くまでの、三回ぐらいだった。
「日本の有名なところや、食べ物を調べてきてください」
という宿題を出したところ、彼は
こんなことを書いてきた。
「有名なところ:渋谷、池袋、新宿、京都
食べ物:和民、吉野家、サイゼリヤ」
これから、日本でちゃんとやっていけるだろうか。
そんな心配をした覚えがある。
そんなT君ですが
ある程度、日本語も上手になったそうです。
今日の七時から、一年ぶりの授業。
親鳥にはなれませんが
日本語への情熱が消えないよう、一緒に勉強していきたいです。