台湾人は、名前を二つ、三つ持っています。
語学を勉強するときには
その国の名前をつけます。
なので私の生徒さんも、ほとんど日本名を持っています。
何度か、名付け親にもなりました。
今日は、モス山田に続き
名前のお話です。
「ティナ」「マイケル」「トーマス」「ナンシー」
そんな名前を名乗る、台湾人。
最初、何の冗談かと思った。
どうやら、外国人に名乗るときは
英語名を使うものらしい。
「ナンシーです」
と中国語で言われても、いまいちピンとこないものだ。
しかし、日本語で授業をする際
みんな中国語名だと、困る。
まず、同じ名字が多い。
一クラスで必ず
「張さん」が二人いたり、「陳さん」が二人いたりして
授業をやりづらい。
では、下の名前はというと
読みづらい、そして覚えづらい。
日本語には存在しない漢字もある。
ということで、日本名をつけたほうが
教師としても覚えやすいし、授業もやりやすい。
そして、もう一つ
日本名をつけると、生徒さんが
「日本語を勉強してる!」という気分になる。
名前というのは不思議なもので
つけると、愛着がわく。
日本名に愛着がわけば、日本語にも愛着がわく
…であろう。
が、時折
「先生、私、“あきら”やめました」
と、突然、改名を名乗りだす生徒さんもいる。
一瞬、「人間やめました」のように聞こえる。
生まれ持った名前ではないぶん
改名も、楽なものである。
では、日本名は、どうやってつけるか。
子供のクラスでは、大体、教師が名前をつける。
私はいつも、その人の中国語名の漢字を見て
日本名っぽくできるか考える。
例えば
「翔」「潔」「靖」「香」「綾」「雅」
などなど、日本人の名前にも使われそうな漢字があると
そのままだったり、一文字付け加えたりして、日本名にする。
また、あまり見たことがない漢字でも
漢和辞典をひいてみると、大体、名前っぽい読み方がある。
どうしても、何もない場合は
その漢字から、イメージを膨らませる。
例えば、「越」という名前の男の子には
なんとなく、「通」を連想し、「とおる」と名付けてみたり。
大人のクラスでは、基本的に
生徒さんにおまかせする。
よくある名前リストを配るので、それを参考にしたり
あとは、好きな日本の芸能人の名前だったり。
しかし、今日初めて授業をやった、新しい生徒さんは
受付さんに、こう言っていた。
「私よくわからないから、先生に、考えてくださいって言っておいて
“子”とか、そういう古い名前じゃなくて、おしゃれな名前がいいわ」
私の名前、佐知子なんですけど…
台湾は昔、日本の植民地だった。
当時の人が、「…子」という名前をつけていたらしく
どうやら、「…子」という名前は、相当古い名前だというイメージがあるらしい。
おそらく
日本でいう、「トメ」とか「ウメ」並みに、古いイメージなのだろう。
私はまだ、名字しか明かしていない。
名前はしばらく、伏せておこうと思う。
ちなみに、その人は
中国語名に「明」という字があるので
「あかりさん」にしようかと考えている。
納得してくれるだろうか。
もし納得してくれなかったら
「じゃあ、“明子さん”はどうですか?」と聞いてみよう。
たかが日本名、されど日本名
名付け親になるのかと思うと、背筋が伸びます。
願わくば、その名前を背負って
末永く、日本語を勉強していってもらいたいです。