小林多喜二の名作「蟹工船」を読んだ方はいるだろうか。
いや、読んだことはなくとも、名前くらいは聞いたことがあるはずだ。
ないというならば、近代日本史を学んでいないということになってしまう。
少なくとも、高校で現代文をしていたのであれば、聞いたことはあるはずだ。
全て語っていると、とてもではないが時間が足りない。
というわけで、あらすじを説明すると、大体、このようなものだ。
オホーツクを走る蟹工船で働く労働者たちが主人公だ。
過酷な労働環境の中、蟹工船で働く労働者たち。
彼らが過酷さに耐え兼ね、資本家に反旗を翻していく。そんな話だ。
プロレタリア文学の代表作と言えるだろう。
労働法令に抵触する不払いや長時間労働をアルバイトに強制する企業などに対抗しようと、首都圏の大学生らが1日、労働組合「ブラックバイトユニオン」(佐藤学代表)を結成した。正社員と同じようなノルマを課したり、学校生活に支障が出る勤務体系などから「学生労働者の権利を守る」のが狙いだ。
ユニオンには大学生と大学院生計20人が参加。
▽残業代の不払い(塾講師)
▽ノルマに届かない分の空揚げを自腹購入(コンビニエンスストア)
▽商品を作ったことがないまま1人勤務を命じられた(ファストフード店)
彼らは、そのような経験があるという。
メンバーの大学3年生の男性(21)は「仕送りの減少などで学生アルバイトは、余暇に充てる資金を稼ぐ手段から生活費を稼ぐものへと役割が変化している。簡単には辞められないし、次の仕事がすぐに見つからなければ生活が成り立たなくなる」と語った。
ユニオンでは労働法の学習会や問題解決の支援を行う。また、3日午後1時から同4時まで電話相談「ブラックバイトホットライン」(0120・987・215)を開設する。
【東海林智 毎日新聞 8月1日(金)19時47分配信】
ここで企業経営者の方に伝えておかねばならないことがある。
バイトも労働基準法がちゃんと適応される。彼らも非正規であるが労働者だ。
労働者である以上、労働者を守るための労働三法が適応されるのだ。
非正規だからと侮ってはいけない。こんな風にして、戦う武器を持っているのだ。
さて、それを踏まえたうえで。すき家の問題を語るとしよう。
ゼンショーグループのすき家の超長時間労働の問題が浮き彫りになった。
月500時間労働、単純に一日17時間労働ということになる。
一日の労働時間は、8時間以内。それ以外は指定外労働ということで残業代が付く。
勿論、何時から働いても、同じである。17時以降に残業が付くのではない。
まず働かせすぎ、そして、それに見合う賃金を払っていない。
これは企業としては失格に等しい。企業にとって、一番のコストは人件費だ。
オートメーションする方が、長期的に見れば、コストは低くなるに違いない。
しかし、どう考えても、人間をなくすことはできない。
なくすことが出来ない以上、使うしかない。
しかし、こんなことを続けていれば、いずれ使える人間がいなくなる。
使える人間がいなくなるとどうなるか、それはすき家を見れば分かるだろう。
営業店舗の縮小、営業時間の短縮、結果、それは利益の減少につながる。
この展開は、経営者にとっては、非常に大変な状況だろう。
経営者というのは、会社を守ると同時に、そこに所属する人間を守らねばならない。
それを守らない、酷使し続けるというのは、会社にとって、悪夢である。
抑圧された社員が、どのような感情を抱くか、それは想像に難くない。
そして、反旗を翻された者たちが、どうなるか、それも想像に難くない。
この反旗が、いったい、どこへ向かうのか。
願わくば、すべての邪知なる王を除くメロスにならんことを。