2020年3月15日午前8時、RESERAの名誉セラピスト兼店長のシジミ様が何の前触れもなく突然天に召されました。
16日の午前中に火葬も終え、骨壺姿で帰還したシジミ様はお気に入りの場所の一つだったプリンターの上に静かに座っていますが、前日の朝までそこにいたシジミ様が今は骨壺姿という怒涛の急展開に、この残念な頭が追い付いていません。
これから徐々に喪失感を実感していくことになるのでしょうが、気持ちの整理を兼ねてシジミの回顧録を書かせていただきます。
もしよろしければ少しだけお付き合いください。
2006年5月23日、雨の降りしきる肌寒い阿佐ヶ谷の住宅地で、全身ずぶ濡れでへその緒が付いたまま生み捨てられていた、一人ぼっちの哀れな子猫。
必死に生きようと精いっぱいの声を上げながら私に這い寄る姿に、いてもたってもいられず拾ってしまったことがシジミとの出会いでした。
【生存率三割】という、獣医さんの予想をあざ笑うかのような驚異的生命力ですくすく成長していったかと思えば、半年後にマンションの10階からムササビのようにダイブし、今度こそ死んでしまったかと思いきや、両脚骨折だけで生還を遂げ、一週間後にはクローゼットから飛び降りたりするまで回復するという、まさに不死身の猫でした。
【必ず問題児になる】という獣医さんの予想は的中し、大きな垂れ目のかわいらしい顔立ちからは想像もできないほどのわがまま女王で、命の恩人であるはずの私にも3秒以上撫でることは許さず、時間をオーバーすると噛まれるか殴られたものです。
そんなシジミに腹が立ち、よく同レベルでケンカをしたのですが、負けず嫌いのシジミ様は一歩も引かずに徹底抗戦し、最終的には私が撃退されることがほとんどという、まさに猛獣のような猫でした

さらには寝ている人間の顔を踏むわ
家具やコンセントを破壊するわ
テーブル上のものは叩き落とすわ
コンロの火に接近してヒゲを焼くわ




問題児などという表現は生ぬるいほどの大問題児でした。
一方で非常に繊細な寂しがりやで、留守番をさせた後に帰宅するとすごい勢いで叫びながらすり寄ってきたり、人見知りなのに必ず人のいる場所にいたり、餅やあんこ、栗蒸し羊羹など和菓子が好きだったり、後ろ足を片方だけまっすぐ伸ばした変な座り方をしたり、お茶目で憎めない猫でした
年をとっても一向に衰えない運動能力、艶々の若々しい毛並み、そして一向に丸くならないアグレッシブな性格のシジミ様は少なくとも30年は生きるだろうなと思っていましたが、その半分にも満たない時間で流星のように駆け抜けていってしまいました
これまではSNS上で皆様に癒しと笑いを提供してくださったシジミ様ですが、肉体という乗り物から離れ、純粋な魂という存在となった今、いつも私たちのそばで健康と幸せを見守ってくれることでしょう。
マシュマロやはんぺんなど、白いフワフワ系のものにも目がなかったシジミ様
私を含むほとんどの人間に厳しかったですが、シジミ様の唯一の同居人である母にだけは心を許していて、よく母の肩に乗ってはワーワーと愚痴をこぼしていました(笑)
※ちなみにこの時のシジミ様に触れると、本当に魔獣のような形相となって怒り狂うため、禁忌事項であり自殺行為でした

育ての親の母のみに忠誠心を抱く、まさにサムライスピリットを持った猫でもありました。
まあ、そんな母も睡眠中に顔を踏まれたり、服を破壊されたり、ある意味一番被害を被っていたわけですが・・・

母の手を脚置き場にするシジミ様。どうやら快適だったらしい。
年をとっても一向に衰えない運動能力、艶々の若々しい毛並み、そして一向に丸くならないアグレッシブな性格のシジミ様は少なくとも30年は生きるだろうなと思っていましたが、その半分にも満たない時間で流星のように駆け抜けていってしまいました

人間は突然の変化には対応できない生き物です。
これまでシジミ様がそこにいるのが当たり前な日常だったのに、それが突然いなくなってしまったことは、にわかには受け入れがたい事実です。
残された者の戸惑いや悲しみなど、心の整理は大変ですが、あのシジミ様がそんなことを配慮してくれるはずもありません。
好き放題ふるまい、一切の衰えを見せず全盛期のまま一瞬で退場とは、ある意味最もシジミ様らしい生き様だったのかなとも思えます。
そもそも生まれたその日に死んでしまうはずだった命が、14年近くも愛されながら生きたのだから、幸福ともいえるでしょう

だから少しは私に感謝してくれていても良いはずなのですが、最後の最後までシバき倒されっぱなしでした

これまではSNS上で皆様に癒しと笑いを提供してくださったシジミ様ですが、肉体という乗り物から離れ、純粋な魂という存在となった今、いつも私たちのそばで健康と幸せを見守ってくれることでしょう。
・・・いや、しかしあのシジミ様だから、たまにシバキを入れてきたりするかも

もし、睡眠中に胸元を圧迫されたり肉球的な何かで顔を踏まれるような感覚があったら、それはシジミ様のイタズラかも知れませんね

RESERA開業時よりサロンを見守ってきたシジミ様の肖像画は今後も飾っておきますので、もしお越しの際には手を合わせて下さったらシジミ様も喜ぶ・・・かも知れません

・・・でも、なんだかなあ。
こんなことを言っても仕方ないのはわかっているのですが、やっぱり急過ぎるよなあ・・・
どんなにこのことを肯定的に受け止めようとしても、やはり今はただ本当に悲しいし、寂しいです。
しばらくはどうしても悲しみにとらわれてしまいますが、時間の流れが徐々に癒してくれるでしょう。
シジミと再会できるのはまだ先になりますが、かつて我が家にいた先輩猫や犬と仲良くしてくれていることを願うばかりです。
動物仲間のいなかったシジミ様だから、初めての仲間ができたら少しは丸くなってくれるかも知れませんね





13年と10カ月という、長いのか短いのかよくわからない時間の中で、シジミと過ごした思い出は今となっては全てがかけがえのない宝物です。
私はシジミと出会えた2006年5月23日の偶然と幸運に、心から感謝します。
最後に、シジミを愛して下さった全ての方に心より感謝を申し上げます。
本当にありがとうございました。
川崎シジミ【2006.05.23~2020.3.15】 RESERA名誉店長から永久名誉店長へ。