こんばんは、広島大学病院乳腺外科の平岡です!!
ASCO2024の興奮冷めやらぬ中、続けて投稿中です
6月2日は乳癌領域のポスターセッションが午前中に集中して行われるため、早朝のDESTINY-Breast06の発表後に早速、午前8時30分から行われるポスター会場に向かいました。
ポスター会場は企業展示ホールの隣にあるのですが(日本の学会も展示ホールの隣の事が多いですね)、企業展示の準備があるためか時間前の入場を警備員に厳重に止められて、入り口には長蛇の列ができています
ポスターを抱えている各国の先生方が、今か今かと開場を待っており、平岡は少し離れたところから準備が整うのを待ちました。
ポスター会場は日本では展示用の板がずらりと並び、縦長の事が多く、用意してある押しピンで板に固定する事が多いです。(デジタルポスターの場合は、液晶にうつるので大変に楽です)背が低い平岡は、ポスター展示の用意は毎回一苦労です。
ASCOの場合は、ポスターブースがフェルト貼りの板で、横長であり、今まで見たどのポスター会場の中でもひときわ格調高いものでした。
広大なポスター会場!!
沢山の参加者が行き交う中、乳癌学会の理事をされている有名な先生方が目の前をたくさん通り過ぎたりなど、はわわ…となってしまいました。(オンライン講演会などで一方的に面識はあるものの、話かけるのはとっても躊躇します)
まるで震える子羊のようにポスター会場を徘徊しておりましたが、なんと、私の目の前に…
あの、ラジオ波焼灼療法で有名な木下貴之先生がいらっしゃったのです!!
ラジオ波焼灼療法は2023年7月7日に薬事承認、2023年12月1日に早期乳癌に対し保険収載され、「切らない乳がん治療」として、広島大学病院乳腺外科でも始まったばかりの治療になります。
今こそ清水の舞台から飛び降りるつもりで、勇気を出して話しかけろ、私!!
平岡:「あの、わたくし、広島大学病院の乳腺外科の平岡と申すものです!!!わたしのところも最近RFA始めました~!!」
木下先生は乳癌学会の理事をされており、大変に高名な先生なのですが、突如現れた見知らぬ女医の、しどろもどろの質問にも、大変に優しく明快に答えてくださり、かつRFAの手技のコツまで教えてくださったのです
図々しく写真までお願いしてしまいました…(しかも写真を撮ってくださったのは、岡山大学の枝園先生でした。)
木下先生は、RFAが乳がんで保険適用の根拠となった、RAFAELO試験(NCCH1409)の発表をされておりました。RAFAELO試験は、早期乳がんにおけるRFAの安全性と有効性を検証した第Ⅲ相多施設共同単群、非無作為化試験です。対象は20~79歳の女性で、腫瘍の大きさが1.5cm以下の単発限局性病変、かつ腋窩リンパ節転移および遠隔転移を認めない症例になります。(※詳細については主治医の先生に相談してください。)
具体的な方法は、全身麻酔下で、経皮的にラジオ波電極針を超音波ガイド下に病変に挿入し、高周波電流で病変を焼灼するという、手術に代わる新しい乳がん治療です。
主要評価項目は観察期間5年時点の同側乳房内無再発生存割合(IBTRFS)で、5年IBTRFSは98.6%(95% CI:96.6-99.4%)でした。
また、5年時点の全生存率99.2%(95% CI:97.4-99.7%)、5年時点の無転移生存率は99.1%(95% CI:97.3-99.7%)であり、外科治療に替わる有望な治療法として大変に期待されます!!
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木下先生はラジオ波焼灼療法の教科書も執筆されており、私も入院用パス作りで熟読し勉強しました!!(サインを頂きたかった…)
6月1日の山下先生の発表に引き続き、木下先生の発表を見る事が出き、日本発のエビデンスが世界に発信されているのを目の当たりにしました。我々若手も、勇んで続きたいと胸を熱くしました
木下貴之先生、素晴らしい発表と様々なアドバイスを頂き、ありがとうございました
そして、今回の発表については、本ブログでの掲載を快諾下さり、この場を借りてお礼申し上げます
広大な発表会場の前には、広大なロビーがあり、お目当ての演題まで各国の先生方が休憩をとっています。これはレイクサイド
ホールの前室です。
レイクサイドホールの向こうには、ミシガン湖が広がります。全く対岸が見えません、、、。
さらに続きます!!!