皆様こんばんは
もう絶対に髄膜炎にはかかりたくないという一心で、睡眠に気をつけている網岡です
現在、HBOCと診断された乳がん患者さんの、心理的評価の研究を考えています
HBOCの方が、リスク低減手術を受けるか否かを決める段階で
「まだ子供が手がかかるし、ひとまずサーベイランス(より詳しく乳房検査をする)で」というご意見
手術の術式を決める段階で
「なるべく入院が短い方が、家族への負担が少ないから良いかしら」という配慮
も多くお聞きします
育児をしながらの乳癌治療を頑張っている方々に伴走するにつれ、
お母さんたちのメンタルは大丈夫なのかな
せめて診察室に来られた時くらい、悩みをお聞きしたり、
楽しいことがあった時には一緒に喜びたい
と思ってしまいます(時間の許す限り。。。💦)
さて、お隣・韓国から、こんな論文報告がありました。
育児中女性が乳がんと診断された場合
母親のうつ病リスクや育児ストレスは有意に高かったが
子どもの情緒的な発達は基準範囲内だった
(JAMA Netw Open.2023;6(11): e2344835.)
というものです
これまでに報告された母親の乳癌が親子に与える影響の研究結果には一貫性がなかったとされています。
乳癌の母親にとって、入院や化学療法は子育ての障壁になる場面が多く、逆も然り
あらゆる場面で心理的苦痛を伴うことは容易に想像できます。
また、母親が乳癌闘病中であることは子どもにも不安や心配を与え、治療中の母親が家を留守にする状況にも子供は直面します
お互いにどうにか乗り越えていけるよう医療側からもサポートを考えますが
どの程度突っ込んで良いのかはご家庭にもよりますし、迷いながらお話を聞くこともあります
さてこの論文では、
対象:ステージ0~3の乳癌女性で、診断時の年齢が20~45歳、かつ診断から10年以内
評価項目:
母親の抑うつ状態
育児ストレス
子どもの情緒的な発達
気質と性格特性
小児睡眠習慣
が評価されています。
【結果】
699人の乳癌患者さん(平均年齢39.6歳)が対象で
子どもがいる母親は499人
子どもの平均年齢は8.0歳
490人の母親は乳癌診断前に出産、9人は治療開始後に出産
子供がいない患者さんと比較して、子供がいる患者さんのストレス状態などがデータ収集されました
乳癌の母親の抑うつ状態と関係している要因:
子供の身体疾患
ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト療法(リュープリンなど)を受けていること
主たる保育者が母親のみ
小児睡眠習慣のスコアが悪い
育児ストレスが高い
乳癌の母親の育児ストレスと関係している要因:
子供の年齢が6歳以上(意外に6歳未満の方が母親のストレスは低いようです)
主たる保育者が母親のみ
子供の気質と性格特性(好奇心、損害回避タイプは母親のストレス増大)
子供の情緒的発達の問題(不安/抑うつ、注意欠陥、規則違反的行動は母親のストレス増大)
小児睡眠習慣の睡眠パターン(就寝時の抵抗、入眠遅延、日中の眠気が子供にあると母親のストレス増大)
どちらも「主たる保育者が母親のみ」が、事態を悪化させていますね・・・
乳癌の母を持つ子どもの情緒面
子供の行動が内向的か外向的かを測る尺度、問題行動のスコアは基準範囲内
これらの結果から
乳癌の母親は抑うつと育児ストレスの両方を感じやすく、それらに配慮したカウンセリングや支援が必要
一方、子どもの情緒発達に基準値と有意差がないことは、闘病中の母親にとって良い知らせ
と述べられています。
こういった報告は、国も違い、一人一人の社会背景が異なることは重々承知の上で読むわけですが、
子供は案外強い!
と言えるかもしれません
最近母親離れが加速している!?我が子らを、寮母のような心境で見守るこの頃です
週末まであと少し!
お疲れがたまりませんように