3月のまちなかリボンサロン | 広島大学病院乳腺外科ブログ ~広島の乳がん医療に取り組みます~

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こんにちは

広島大学病院乳腺外科の角舎です

 

本当は当番が昨日だったみたいで、舛本先生からせかされてあわてて書いていますゲッソリ

 

昨日は、3月のまちなかリボンサロンでした

秋本クリニックの秋本悦志先生の講演が1時間あり、「乳がん診療におけるがん拠点病院と乳腺クリニックとの連携」がテーマでした

秋本先生とは、県立広島病院乳腺外科の時から一緒に働いており、その時はまだ若手の外科医でしたね

彼が乳がんを専門にするのを決めた直後くらいだったでしょうか?

 

その時はまだ若手だったので厳しく指導した(笑)のを覚えていますが、社交的でカラオケカラオケとか飲み会生ビールではとても元気だったのを覚えています

その後、大学病院に異動した私と一緒に異動してきて、その後、お父さんのクリニックを継いでいます

 

彼は手術に才能があり、この年代の若手ではピカイチだなと思っていたので開業は私としては残念でしたけど、現在でも、木曜日に県立広島病院に行って若手の手術指導を行っているとのことです

 

現在、乳がんの診療連携は、他のがんと比べると非常にスムーズにいっています

その理由は、術後フォローアップに視触診とマンモグラフィしか必要ないことがあると思います

一部の病院では、毎年CT撮影、骨シンチなど行っているようですが、これは予後を改善することがなく無駄な放射線被爆→発がんの可能性を患者さんに与えるだけ、ということがガイドラインでも明らかにされています

 

ただ、現在、再発リスクの高い乳がん患者さんを対象に、濃厚フォローアップ(毎年の胸腹部、頭部CT撮影、骨シンチ、3か月ごとの腫瘍マーカー採血など)と標準フォローアップ(CT撮影なしで基本的にMMGと視触診のみ)の予後を比較した臨床試験(JCOG1204試験https://upload.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr.cgi?function=brows&action=brows&type=summary&recptno=R000014255&language=J)が行われていますので、再発リスクの高い人については、将来、CTなどが必要になるかもしれません

 

しかし、この臨床試験でいうところの「再発リスクの高い」という定義は、例えばホルモン陽性HER2陰性の人であればリンパ節転移が4個以上ある人、だったりするので、リンパ節転移のない人については、対象になりません

対象にならないということは、やはりCTなどは必要ないということなのです

 

しかし、検査をたくさんする病院はそれが病院の収入札束になったりしますし、再発した患者さんから「検査をしなかったからだ」と言われたりすることもありますので、「とりあえず検査をしておけばいいや」という考えもあると思います

そのあたりのことは、患者さんもきちんと勉強してほしいですし、医師もめんどくさがらずに患者さんに説明してもらいたいですね

 

秋本先生は、広島の海田~矢野~熊野地区の乳がん診療の中心として、今後も頑張ってほしいですね