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田口裕史のブログ

戦争責任や戦後補償の情報を提供します

 東京新聞が、靖国問題についての連続インタビューを載せている(「靖国」を語る )。 

 インタビューに登場するのは、父親の合祀取り消しを求める李煕子さん、東条英機の孫・東條由布子さん、ジャーナリスト櫻井よしこさんら。靖国参拝の賛否両論を載せ、読者の判断にゆだねようということだろうか。


 インタビューのなかで、慶応義塾大学の小熊英二さんは「小泉純一郎首相の靖国神社参拝は、国際政治的にはもちろん、国内政治的にも何の利益もない行為だ」と述べる。

 そのとおりだと思う。小泉氏はなぜ、靖国参拝にあれほどこだわるのだろう。


 また、世間では、靖国にかわる国立追悼施設建設の是非も論じられている。しかし、私がいつも疑問に思うのは、どうして国が戦没者を「慰霊・追悼」しなくてはならないのか、公の追悼施設がなぜ必要なのかということだ。国がおこなうべきは、「祈る」ことではなく、内外の戦争被害者と遺族への具体的な援護・補償措置だろう。「国が戦没者慰霊を行うのは当然」という前提を、まずは疑いたい。 


8月までの新刊書籍の追加です。


・筒井若水『違法の戦争、合法の戦争 国際法ではどう考えるか? 』(朝日選書782)朝日新聞社1260円

・小山仁示『空襲と動員―戦争が終わって60年 』部落解放・人権研究所2100円

・青木冨貴子『731 』新潮社1785円

・宮田玲子『絵日記にみる「少国民」昭子 』草の根出版会2520円

・熊谷伸一郎『金子さんの戦争―中国戦線の現実 』リトルモア1890円

・中国人戦争被害賠償請求事件弁護団『砂上の障壁―中国人戦後補償裁判10年の軌跡 』日本評論社2310円

・玉木研二『ドキュメント沖縄1945 』藤原書店1890円

・浅川地下壕の保存をすすめる会『フィールドワーク浅川地下壕―学び・調べ・考えよう 』平和文化630円

・ティル・バスティアン著、石田勇治編集『アウシュヴィッツと(アウシュヴィッツの嘘) 』白水社945円

・岡田全弘『イタリア・パルティザン群像―ナチスと戦った抵抗者たち 』現代書館2310円

・金富子『植民地期朝鮮の教育とジェンダー―就学・不就学をめぐる権力関係 』世織書房4200円

・増田一也『英語で発するヒロシマ・メッセージ 』三五館1050円

・ 田中宏『戦後60年を考える―補償裁判・国籍差別・歴史認識 』創史社1890円

・小林弘忠『私の戦後は終わらない―遺されたB級戦犯妻の記録 』紀伊国屋書店1890円

・黒古一夫『原爆は文学にどう描かれてきたか 』八朔社1680円

・日笠俊男 『米軍資料で語る岡山大空襲―少年の空襲史料学 』岡山空襲資料センター725円

 イラクで死んだ米兵の母親が「どうして息子を殺したのか、息子は何のために死んだのか」とブッシュ大統領に抗議を続けているという(CNN日本語版8月7日付North Texas Indy Media Center や、Washington DC Indy Media Centerのウェブサイト でも詳しく報告されている)。


 肉親が殺された。その喪失感は、どれほどのものだろう。だからこそ、国家にとっては「崇高な使命のための死」というレトリックが必要になる。遺族たちの喪失感と悲しみを掬い取る形で、政権担当者たちは死の意味を語る。どの社会にも共通するあり方だ。

 「崇高な死」という意味づけの中を生きていれば、遺族の心は穏やかでいられるのかもしれない。ただ、この意味づけはおそらく、“現実”に裏切られる。捏造された「崇高さ」は、他者たちの声によって揺るがされることになる。日本でも、米国でも。

 だから、「崇高な死」というレトリックは、遺族たちを何度も傷つける結果になるだろう。遺族たちの痛みへの想像力を力の限り保ちつつ、このレトリックを乗り越える方途を探りたい。