「星くずたちのささやき」23
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私は、彼を待たせるよりも、待ってた方が自分に余裕が持てるし、言いたいことも整理できるからって、
先に彼が必ず、いや、彼だけが通るわけじゃなくって…野球部の子たちが通る場所で待ってた。
でも、
この日に限って
なかなか彼は
現れなかった。
彼の仲間たちが先にどんどんと、通り過ぎて行く。
『あれ!?コンビニの子じゃねぇ?』って、声をかけられることもあって、逆に早く来てしまったことを
ちょっと後悔してしまった。
でも、それ以上にこんな声が聞こえてきた…
『あいつさ、頑張ってるよな。なんとかしてやりてえけどさ』
『ああ、はっきり言って、ムダだろうな…』
『そうなんだよな。あいつだって、わかってるはずなんだって!春に落とされたやつが夏に出れるわけないってことくらい』
『でも、な…わかってねぇよ。ありゃあ、やっぱ。明らかにあきらめてねぇからさ』
『あきらめてないって言ってもな…気持ちがあって、努力してるからって、力が前よりな…』
最初は、なんのことだか、わからなかったけれど…
彼のことを言ってるんだってわかるのに
そんなに時間はかからなかった…
噂をしていた野球部の子たちは…
彼が来た途端に
その場から
去っていったから。
本当に、本当に嫌なことを聞いてしまった。
言おうとしていたことも、頭の中からすっかり消えてしまった…
「ごめん!待った?」
いつものような、屈託のない笑顔に
私は、つい
「昨日はごめんなさい!あなたのせいじゃないんです。私が、何にもしてあげられないから」って
また、私は…ズルい言い訳をしてた。
「そんなこと…」
彼の笑顔がくもった?
何で?
「もっと、別の用事かと思って期待しちゃったよ。でも、今日も、頑張りますよ!あっ!帰りにまた寄るからさ!いつもの頼むね!」
そういうと、彼は練習に行ってしまった…
そして、数週間がたち
夏の甲子園予選のベンチ入りメンバーが発表されたらしい。
彼の名は…
なかったと聞いた。
監督から
応援団長を任命され、笑顔で引き受けたらしいけど、それ以来、コンビニには…
顔を出さないばかりか
部活にも
顔を出さないようになってしまった…