「星くずたちのささやき」24
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それでも…
甲子園予選地区大会が始まれば、彼も現れるだろうと、本当はあんまり気が進まないスタンドでの応援も参加することにした。
だけれど
彼の姿はなかった…
この日
うちの学校は一回戦を突破して
次は来週に試合があるらしい。
私は
やっぱり、少し自分に責任を感じてた。
だから、なんとか彼とコンタクトを取ろうとして…
バイト帰りに
彼の家に黒ウーロン茶を持って行った…
私は…少し、私の都合のいい想像をしてた。
『この黒ウーロン茶を持って行けば、きっとあの白い歯を見せて、笑顔で迎えてくれる』って…。
やっとのことで、野球部の女子マネージャーから聞き出せた住所で
「多分、このアパートかな」
ピンポーン
返事がない
でもいきなり
ガチャガチャ
「あっ…」
えっ!?
目の前にいる男の子は…
髪の毛がすっかり伸びて、肌の色もそんなに黒くなくなって、どちらかって言えば、白いくらい
そして…
ひとまわり
小さくなった彼
間違いなく
彼だった…
私を見て、一瞬、笑ってみせたんだろうけれど…
以前よりも、肌が黒くないから、歯もそんなに白く見えない…。
「来て、くれたんだ。こんな、何にもないやつのところに…わざわざ」
彼の優しさから出る言葉なのか
私を
苦しめるための言葉なのか
わからないけれど
寂しい言葉だってことは…確かで
「上がる?何にもないけれど」
私は、とにかく、何か話さないと始まらないと思って、上がってしまった。
「本当だったら、母親がいるんだけどね。俺のケガの借金のためにさ、いろんなとこで働いててくれてさ。父親は、いるけどね。こっちで野球やりたかったからさ、近くに母親とアパート暮らしってわけさ。まあ、父親の稼ぎだけじゃやっていけないし」
なんだか、余計に…話しにくくなってしまって、言葉が出ない。
「あっ…それは?」
「あっ、えっと黒ウーロン茶です」
「覚えてて、くれたんだ」
彼は、涙ぐんでた。