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中学生になり

母や祖母の干渉がイヤになってきたころ。

 

母に対しては

「弟ばかり構ってズルい」という思いで

いっぱいになり

拗ねて部屋に引きこもっていました。

 

ちょっとしたことで

不機嫌になりイラっとして

居間の引き戸をバーンと閉め

階段をドンドンと

わざと大きな音をたてて上り、

自分の部屋の引き戸もバーンと

閉めるということをしていました。

古い家だったので

ドアが壊れたらどうしよう…と思いつつ

そこでイライラを

アピールするしかなかったのです。

 

とにかく母の顔を見るのがイヤになり

実家の裏手にある

物置の蔵があるのですが

そこにテーブルやら宿題やらを

持ち込んで引きこもったこともあります。

なんなら、

もうここの蔵で一人で暮らしたいと思っていましたが

ただの物置で生活できるはずもなく

母に叱られ

しぶしぶ家に帰ります。

 

 

 

 

中学校時代の反抗期のお話。

わたしが取っていった

干渉→弟ばかりズルい→物音でイライラアピール→蔵にこもりたい

という流れを

HSS型HSPの愛すべき個性で

解説をしていきます。

 

 

 

①「干渉がイヤ」=刺激過多+自立欲求

 

HSPは
・感情
・視線
・気配
など外部刺激を深く受け取るため
干渉=刺激過多 になりやすい。

 

そこにHSSの
自分で選びたい”
自由に動きたい”
という衝動が加わると

「近づかないで!」
「放っておいて!」

という強い拒否が起こる。

 

これは自律性(autonomy) を保ちたいという自然な心理。

 

 

➁「弟ばっかり構ってもらってズルい」=情緒的剝奪感

 

母が弟に注意を向けているのを見て
「私は見てもらえていない」という
情緒的剥奪(emotional deprivation)
を感じた可能性があります。

 

HSPは
・少しの差
・微妙な温度感
を敏感に受け取るので、

「十分に愛されていても」
自分は軽く扱われている”と感じやすい。

 

その不公平感が
怒り(anger) ではなく悲しみ+すね(resentment)
という形で出る。

 

 

③「ドアをバーン、階段をドンドン」=感情表出の代替行動

 

HSPは
・言葉で気持ちをぶつける
・相手と対峙する
ことが苦手な傾向が強い。

 

しかしHSS特性が
「気持ちを外に出したい」
という衝動を持つ。

でも言語的攻撃は怖い。


すると

物音を立てる”
という表出方法になる。

 

心理学的には
代替的攻撃行動(substitute aggression)
と言える。

 

言葉では言えないので、
音で「怒っている!」と伝える。

 

HSPらしく
“壊れるのは怖いけど、それでも表現せずにいられない”
という葛藤も感じられる。

 

 

④「顔を見たくない」=情緒的過敏→避ける

 

HSPは、相手の表情や気配から
感情を読み取りすぎるため
辛い相手とは
物理的距離をとることで感情刺激を避ける


= 情緒的回避(emotional avoidance)

「視覚刺激」ですら負担になる

だから
・部屋にこもる
・蔵に逃げる
という行動は
刺激遮断(stimulus shielding)
として合理的な選択。

 

 

⑤「蔵で暮らしたい」=安全基地の創作

 

心理学では心が安定できる場所を
安全基地(secure base)と言います。

 

家の中が安全に感じられないと
別の場所を安全基地にする。

・テーブル
・宿題

を持ち込んだのは、
「生活を再構築したい」
=自分の世界を守りたい
という意思表示。

主張の苦手なHSPは
場所”で自我を守る
ことがある。

 

 

内面で起きていた心理

 

◆アプローチ=回避の葛藤

(Approach–Avoidance Conflict)

  • 愛されたい
  • でも傷つきたくない
  • 関わりたい
  • でも距離をとりたい

この両価性(ambivalence)が
行動の揺れとして現れている。

 

 

 

◆自己同一性の模索

(Identity Exploration)

思春期は「自分は何者か」を探す時期。

HSSは、新しい環境や独立を望む
自分で生きたい

HSPは、不安が強く行動しづらい
でも怖い

 

その結果
「蔵で暮らしたい(=独立)」
でも
「怒られて戻る(=依存)」
という揺れが生まれる。

 

この頃のあなたは、とても健全な反応をしていた
と言っていいです。

 

なぜなら
言葉で十分に表現したり
建設的に対処する力が
まだ未成熟な時期に、

自分なりの方法で
「境界線(boundary)」を
守ろうとしていたから。

・距離を取る
・自分の空間を確保する

それは
自己防衛(self-protection)
という、極めて自然な行動です。

 

 

〇まとめ

 

この行動は
HSS型HSPの特性を持つ子どもが
家族関係の中で感情を守ろうとした
“自然な適応”だったと理解できます。

  • 自律欲求
  • 刺激過敏
  • 不公平感
  • 感情表出の葛藤
  • 安全基地の確保

すべてが
気質と環境の相互作用で生まれたもの。

そして
「問題行動」ではなく
自己を守るための必死の方法でした。

 

 

 

ちなみに

蔵だけではなく、押し入れにも、よくこもっていました…。

誰にも邪魔されずに

自分だけがいるという安心できる場所を

求めていたんですね。

 

 

母も、よく怒ると音で不機嫌と分かるタイプでした。

 

廊下を歩くスリッパの足音を聞くと

母の様子がよく分かりました。

 

台所にこもって、音を立てながら掃除を始めると

ああ不機嫌がはじまったな…。

ひぃぃっ。早く終わらないかな…。と

思っていましたが、

子育て中に、

わたしも母の怒り方にそっくりだな…と

自覚することができて、

母のようにはなりたくないと思うのと同時に

母と同じことをしている…という絶望感に襲われます。

 

 

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