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「消えたい」という言葉が、頭をよぎったことがある。
でもそれは、死にたいとか、
この世から消えたいという気持ちとは、どこか違う感じがした。
もっと正確にいうと
ずっと続いているこの緊張から、降りたい。
それだけだった気がする。
外出すると、声のトーン、場の空気、誰かの表情の変化。
全部が情報として飛び込んでくる。
楽しいのに、帰宅するとソファから動けない。
「なんで私ってこんなに疲れやすいんだろう」と、また自分を責める。
人の輪の中では、気づかないうちに「監視」が始まる。
嫌われていないか。
変な空気にしていないか。
相手を怒らせていないか。
ちゃんとできているか。
それを、ずっと。無意識に。
誰かといるだけで神経を使い切って、
なのに「これくらいみんな頑張ってる」と思っていた。
普通だと信じていた。
でもそれは、普通じゃなかった。
ずっとサバイバルモードで生きていた。
「消えたい」と思っていた私は、
実は長い間、「自分を消して」生きてきた人間だった。
本音を飲み込んで。
嫌でも笑って。
空気を壊さないように、平気なふりをして。
気づいたら、自分が何を感じているのかも、分からなくなっていた。
でも、あることに気づいてから、少しずつ変わってきた。
「消えたい」という言葉が、ある日「休みたい」に変わった。
それだけのことなのに、なぜか泣けた。
緊張が少し緩んで、ただ疲れたと感じられるようになってきたという変化だった。
回復って、突然別人になることじゃなくて、
こんなふうに静かに、始まるんだと思った。
なぜHSS型HSP×ACは「消えたい」と感じやすいのか
HSS型HSPの神経的な仕組み
HSS型HSPは、感覚処理感受性(SPS)が高い特性を持ちながら、
同時に刺激探求傾向(HSS)も持ちあわせています。
これは一見矛盾するようですが、神経系の視点から見ると理解できます。
刺激を深く処理するため、インプット量が多い。
しかし刺激を避け続けることは苦しい。
だから外へ出て人と関わりたいのに、神経がフル稼働してしまう。
「楽しかったのに、なぜかぐったりする」という感覚は、
怠けでも弱さでもなく、「楽しい体験」と「神経の消耗」が、
別々のレイヤーで起きているからです。
ACの「常時監視モード」が加わるとき
アダルトチルドレン(AC)傾向がある人は、
幼少期の環境から、他者の感情や場の変化に対して
無意識の警戒システムを発達させていることがあります。
ポリヴェーガル理論で言う「交感神経の慢性活性化」に近い状態
つまり、危険がないときでも、神経が戦闘・逃走モードに入りやすくなっている状態です。
これに、HSS型HSPの高い感受性が組み合わさると、
日常のごく普通のやりとりでも、膨大な神経エネルギーを使うことになります。
LINE通知でビクッとする。予定があるだけでしんどい。家にいるのに疲れる。
それは当たり前の反応です。
神経が、一度も本当には休めていないから。
「消えたい」の神経科学的な意味
「消えたい」「もう何も感じたくない」という言葉は、
しばしば背側迷走神経系の活性化に関係しています。
これは、あまりにも長くストレス状態が続いたとき、
神経系がシャットダウンモードへ移行しようとするサインです。
つまり「消えたい」は、心が弱いのではなく、
神経が限界のサインを出している状態とも言えます。
回復の入り口は「安心が先」
「もっと頑張る」や「前向きに考える」では、
神経の層には届きません。
腹側迷走神経系(安全と繋がりを司る神経回路)が活性化されて初めて、
人は本当の意味で休むことができます。
だからまず必要なのは、「本当は嫌だった」「本当は怖かった」という感覚を、静かに認めること。
正解を出すことでも、解決することでもなく。
ただ、あったことを、あったと認める。
それが、「消えたい」が「休みたい」に変わる、
最初のきっかけになることがあります。
あなたは弱くない。
ずっと安心できない状態で、なんとか適応してきただけ。
だから、「こんなに疲れるのは当然だった」と、
まず自分に言ってあげてほしい。
ずっと頑張りすぎてきた神経を、
ここで少し、ゆるめてみてください。
つづく
