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息子の幼稚園のクラスのママたちが集まるランチ会では、
下の子を連れたママたちが何人もいて、
それを見るとやっぱり2人目が欲しいなと思うし、
女の子も欲しいなと思っていました。
でも、なかなかできずにいました。
本格的に欲しいと思い始めたのは、
幼稚園に入る前。
ママ友たちが続々と妊娠・出産をしていた頃のことです。
なんで私ばっかり2人目ができないの…と、
妊婦さんを見るのがつらい時期もありました。
よちよち歩きの子を連れた妊婦さんを見ては、
うらやましい気持ちが抑えきれなくなって泣いたこともあります。
すごくドロドロとした気持ちになっていました。
息子はもう年中さん。そのときわたしは35歳。
無理かな…と思い、諦めようと思い始めて、
取っておいたベビーグッズを徐々にゆっくりと処分し始めました。
一人っ子でいいという気持ちと、
もう一人欲しいという気持ちとで、すごく葛藤していました。
HSS型HSP×アダルトチルドレン|「2人目が欲しい」のに諦めようとしてしまう、その気持ちの正体
ランチ会で下の子を連れたママたちを見るたびに、
胸がぎゅっとなる。
妊婦さんを見るのがつらい。
よちよち歩きの子を連れた妊婦さんを見ると、
抑えきれない気持ちが溢れてくる。
それなのに、「無理かな」と諦めようとしている。
ベビーグッズを処分し始めている。
欲しいという気持ちと、諦めようとする気持ち。
このふたつが同時に存在していることが、どれだけしんどいか。
今日は、この葛藤が「意志の弱さ」でも「わがまま」でもなく、
HSS型HSPとアダルトチルドレンの特性から生まれる、
ごく自然な神経系の反応だということをお伝えしたいと思います。
なぜ「欲しい」気持ちが「ドロドロ」に変わるのか
ここで起きていることを、神経系の視点から見てみます。
周りのママ友が続々と妊娠・出産していく。
その情報が目に入るたびに、
脳の扁桃体(感情の警戒センター)が反応します。
HSS型HSPは刺激への感受性が非常に高いため、
この反応が定型発達の人よりもずっと強く、素早く起きやすい。
「うらやましい」という感情は本来、
自分の本音を教えてくれるシグナルです。
でも、その感情が繰り返し刺激されると、
神経系はだんだん「この感情を感じることは危険だ」と学習し始めます。
これはポリヴェーガル理論でいう「防衛反応」のひとつ。
安全を感じられない状況が続くと、
自律神経は交感神経の過活性(焦り・比較・焦燥感)か、
背側迷走神経系の活性(諦め・シャットダウン・感覚の麻痺)のどちらかに傾いていきます。
「もういい、諦めよう」という気持ちは、
心が折れたのではありません。
神経系が、これ以上傷つかないように自分を守ろうとした結果なのです。
ACがある人は、「欲しい」と言えない理由がある
アダルトチルドレン(AC)の特性を持つ人は、
幼少期に「自分の気持ちや欲求を表現すること」が
安全ではなかった環境で育ってきたことが多い。
「わがままを言ったら嫌われる」
「望んでも手に入らないなら、最初から望まなければいい」
「周りに迷惑をかけてはいけない」
こうした信念は、幼い頃に生き延びるために身につけたものです。
でもそれが大人になった今も、無意識の層に深く根付いている。
2人目を欲しいと思う気持ちが強くなるほど、
その裏にある「でも、私が望んでいいのだろうか」という古い声が大きくなる。
欲しいと思う。でも望むことへの罪悪感がある。できない自分に焦る。比べてしまう自分が嫌になる。
この「欲求→罪悪感→自己否定」のループが、ドロドロとした感情の正体です。
HSS型HSPが「諦める」を選ぶメカニズム
HSS型HSPは、刺激を強く求めながらも、
その刺激に深く傷つきやすいという矛盾した特性を持っています。
妊婦さんを見る。ランチ会で下の子を見る。SNSで出産報告を目にする。
こうした日常のあちこちに「刺激」が溢れていて、
そのたびに感情が大きく揺れる。
この消耗が積み重なると、
神経系は「もうこれ以上感じたくない」という防衛モードに入ります。
ベビーグッズをゆっくり処分し始める、という行動は、
この防衛モードが形になったものかもしれません。
「諦める準備をすることで、これ以上傷つかないようにしよう」という、
神経系の自己防衛なのです。
「どちらの気持ちも本物」であることを、まず知ってほしい
一人っ子でいい、という気持ちも本物。
もう一人欲しい、という気持ちも本物。
このふたつが同時に存在していることは、
矛盾でも、あなたが弱いせいでもありません。
神経科学の観点から言えば、
人間の脳は複数の、時に相反する動機を同時に持てる構造になっています。
前頭前野が「現実的に考えよう」と信号を出しながら、
辺縁系が「でも欲しい」と訴えている。
どちらもあなたの脳が発している、本物の声です。
「あなたのせいじゃない」ということ
なかなか授からなかった現実は、
あなたの気持ちが足りなかったからではありません。
もっと強く望めばよかった、わけでもありません。
ドロドロした感情が出てきたのも、
妊婦さんを見て泣いてしまったのも、
諦めようとベビーグッズを手放し始めたのも
全部、HSS型HSP×アダルトチルドレンという特性を持ったあなたの神経系が、
精一杯自分を守ろうとしていた証拠です。
「こんな気持ちになる私はおかしい」ではなく、
「こんな気持ちになるのは、当然の反応だった」
まずそこから、始めてほしいのです。
今の自分を責めない、ひとつのヒント
葛藤の渦中にいるとき、
人は「どちらかに決めなければ」と思いがちです。
でも、神経系が疲弊しているときに、
大きな決断をしようとすることはあまり得策ではありません。
まず今できることは、ひとつだけ。
「どちらの気持ちも、あって当然だ」と、自分に許可を出すこと。
欲しいと思う気持ちも、諦めようとする気持ちも、
どちらも否定しない。ジャッジしない。
ただ「そうか、今の私はこう感じているんだな」と、
少し距離を置いて観察してみる。
これはポリヴェーガル理論で言う「腹側迷走神経系」、
つまり安全と安心の感覚を少しずつ取り戻すための、最初の一歩です。
あなたが感じてきたしんどさは、弱さじゃない。
特性を持って生きてきた、あなたの歴史の重さです。
つづく
