「流通雑感 臨時号NO.2」2024年5月20日 | 流通雑感のブログ

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「流通雑感 臨時号NO.2」2024年5月20日

 

「流通雑感 臨時号」は、住谷ゼミのOBOGの皆さんに読んでいただこうと思って発行するものです。

臨時号とするのは、毎月掲載するわけでもなく、一定量が溜まったらなので、月に1回かもしれませんし、2~3か月に一度くらいかもしれません。その点はご容赦のほどお願いします。現在は、月1回の刊行を目指しています。住谷ゼミのOBOGの皆さんに、少しでもお役に立てたら幸いですし、私の近況もお知らせしたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

 

1.社会・消費者について

(1)中国のZ世代は倹約家が多い

(2)「買い物難民」高齢者の4人に1人

(3)空き家率、過去最高の13.8%

2,小売業について

(1)パンパシHD流のユニーの立て直し方法

(2)イオン、パートに権限移譲か?

(3)ファミマ、事業利益3割増・・・なぜこんなに好調なのか?

(4)西友が北海道と九州から撤退

(5)ローソンTOB成立

(6)オアシスがアインHDの筆頭株主に?

(7)オーストラリア、スーパー2社で7割のシェア

(8)近鉄百貨店、本店以外は百貨店やめる

(9)ドン・キホーテ、顧客志向の徹底

(10)ライフ、生鮮品を自動発注

(11)レジは座って接客

(12)セブンプレミアム、1兆4500億円

3,消費財メーカーについて

(1)花王、ヘアケア効率化に動く

4,その他

(1)   私の近況

 

 

1、社会・消費者について

(1)中国のZ世代は倹約家が多い

中国のZ世代(15歳~29歳:国内人口14億人の18.4%を占めている)は、急速な経済成長と生活水準の向上の時代に育ちました。でも、16~24歳の2月の失業率は15.3%でした。他世代を含む全国平均の5.3%を大きく上回り、雇用面でも不安を抱えています。景気後退、高齢化の進展などで将来不安は膨らんでいます。

そのため、彼らの間では「反向消費」(品質やコストパフォーマンスを重視するという意味)や「ケチ経済」といった言葉が流行しています。節約志向なのです。倹約志向なのです。

ドイツのマックス・プランク研究所のシャン・ビャオ氏は「将来に対する不安、幼い頃から与えられてきたものに対する疑い、失望感が深まっている」と指摘しています。年間5%の経済成長率を維持し、デフレ懸念を和らげようと懸命な中国政府にとって、節約志向は悩みの種の一つだそうです。

しかし、若者の将来に対する不安は中国のZ世代も日本のZ世代も同じではないでしょうか?地球環境がどうなっていくのか?地球温暖化現象は続いています。紛争・戦争も世界のあちらこちらで起きています。高齢化が進む中で自国の福祉制度は大丈夫なのか?日本の若者も、将来不安の中で堅実な生活を選んでいる人が多いのです。中国の若者も同じなのではないでしょうか。

(2)「買い物難民」高齢者の4人に1人

農林水産政策研究所の推計結果です。居住地からスーパーやコンビニまでの距離が500メートル以上あり、自動車の使用が難しい65歳以上の高齢者の数を2020年の国勢調査を基に推計したものです。

 その結果、65歳以上の高齢者の買い物難民の数は904万人だそうです。同年代の総人口の25%超です。75歳以上の買い物難民は566万人で同年代全体の30%超です。

 都道府県別にみると高齢者の買い物難民の比率が多いのは、長崎県41%、青森県37%、鹿児島県34%と続くそうです。

 都市圏でも高齢者の買い物難民の比率は24%だそうです。神奈川県60万人、東京都・大阪府・愛知県はそれぞれ50万人を上回っているそうです。

 「とくし丸」のような移動販売も徐々に増えていますし、町から補助金を得て、商工会が移動販売をおこなっている地域もあるそうです。ネット通販も増えてきていると思いますが、日常の食品・日用品はできれば店舗で実際に見て、買いたいという要望も多いようです。

私の近所にも「とくし丸」がきています。販売している人との少しのコミュニケーションが楽しいようです。

 「とくし丸」という成功しているモデルもありますので、各企業はビジネスチャンスだと思って、同時に地域社会への社会的貢献だと思って積極的に移動販売に乗り出してもらうとありがたいですね。なお、無印良品も、大手3社のコンビニも一部の地域で移動販売を行っています。高齢者はコミュニケーションを求めていますので、日常の買い物はネット通販では満足しないかもしれません。

 高齢者はこれからも増えますので、「コンビニ」や「まいばすけっと」や「アコレ」のような小型店舗がもっと増えてくれるとありがたいと思うのですが。

(3)空き家率、過去最高の13.8%

 総務省が4月30日に発表した2023年10月時点の住宅・土地統計調査によると、国内の住宅総数に占める空き家の割合は過去最高の13.8%でした。空き家の数は過去最高の899万戸でした。

 空き家は1軒家だけではありません。マンションやアパートなどの共同住宅の空き家は502万3500戸と過半をしめているのです。共同住宅の総戸数の16.7%が空き家という計算になります。

 空き家率ランキングでは、上位の県は、1位和歌山県(21.2%)、1位徳島県(21.2%)、3位山梨県(20.5%)と並んでいます。空き家率の低い県は、47位沖縄県(9.3%)、46位埼玉県(9.4%)、45位神奈川県(9.8%)となっています。

 空き家率が高くなってきて、いろいろな問題が起きていますので、15年には「空き家対策特別措置法」が施行されています。また、22年には「マンション管理適正化法」を改正しました。しかし、なかなか問題は解決しません。なぜなら、空き家には所有者がいるからです。

 空き家を行政がリノベーションして、住む家のない人に貸したり、高齢者の共同住宅にするといったことも、所有者がいるためできないわけです。また、所有者がいるため、更地にして販売する事もできません。

 空き家の増加は、今後、もっと大きな社会問題になっていくと思われます。

 

2,小売業について

(1)   パンパシHD流のユニーの立て直し方法

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(パンパシHD)がユニーの株式を100%取得し、子会社にしたのは2019年1月でした。パンパシHDの財務指標はユニー買収後の約5年で大幅に改善しました。1店あたりの営業利益は1億4600万円と約2割増えたのです。

ユニーを買収して、パンパシHDが行ったのは主に3つのようです。

➀ユニーの店舗を仕分けしました。一部は生鮮品を扱うディスカウント店「MEGAドン・キホーテ」に業態転換し、「アピタ」「ピアゴ」などの総合スーパーは60点減の131店にしました。

➁その131店には、ドンキ流の個店経営を導入しました。1万9千人のパート・アルバイト従業員に権限を与え、仕入れから棚割り、値付け、在庫管理まで責任を持たせました。そして、店員同士で競わせ、現場のコスト管理の意識を高めました。また、本部が主導する一部のセールはやめ、店舗ごとの独自セールを増やしました。光熱費の使用量も店舗ごとの管理にしました。ここで問題になるのは、パート・アルバイトへの報酬・表彰をどのように変えたかです。この点は報道されていません。個店経営導入の場合、パート・アルバイトは権限を与えられると仕事への意欲は高まるのですが、報酬が変わらなければ楽なパートの仕事に変えるでしょう。この点(パート・アルバイトへの報酬・表彰など)はパンパシHDの秘密にしたいところなのでしょうか。ヨークベニマルやヤオコーはこの点について数多くの報道がされています。

*私が考えている個店経営定着の必要条件は、➀経営者が人材重視を小売経営をする上でもっとも大切にしている事、➁本部は店舗のサポートをするのが役割という考え方が浸透している事、➂パートタイマーまで権限移譲する事、④パートタイマーに対する表彰制度の工夫、⑤パートタイマーへの報酬制度を工夫する事、の5つだと考えています。参考までに。

➂ユニーの持つ生鮮品と惣菜の調達網をドン・キホーテも活用した事。たとえば、ドン・キホーテはユニー関連会社だったカネ美食品から惣菜や弁当などの供給を受けるようになりました。このシナジー効果は、吉田社長は「相乗効果は年間で100億になる。営業利益への貢献も200億円以上になった」と話しています。

 大型買収で、このように上手に立て直したのは珍しい事例ではないかと思います。今後もパンパシHDの情報には関心を持っていきたいと思っています。

(2)   イオン、パートに権限移譲か?

イオンが4月末に店舗にAIの業務システムを導入します。パート(国内40万人)にAIを活用する研修をした上でシステムを使って1週間~1か月先までの販売計画を各店で作るようにするそうです。商品の発注や従業員の勤務計画の作成なども行います。

 販売計画は店舗の売上や仕入れに直結する中核業務です。現在は正社員が担っていますが、これをパートに移管しようとしているのです。

 イオンは、何度か本部に集中する権限を分散するように組織を変えたりしてきましたが、すべての権限が「まくはり(本部の事)」にあることは事実で、経験に関係なく正社員は偉いというのがイオンで、パートは言われたことをすればよいという雰囲気でした。店舗の社員も、「まくはり」のいうとおりにしていれば問題ないという社風でした。

 現在の社長は、それを変えようと努力してきたのだと思いますが、今回はAI業務システムの導入を機に、パートに権限を与えようとしています。これがうまくいけば、個店経営につながっていきます。あの大規模な小売業のイオンリテールが、パートに権限を与え、それが全店で行われるようになればイオンは大きく変わる可能性があります。もちろん、規模が大きいだけに変えるのには時間がかかるでしょうし、社風がすぐに変わるとも思えないところがあって、本当にパートに権限移譲できるのか?疑問な点もあります。

(3)   ファミマ、事業利益3割増・・・なぜこんなに好調なのか?

偶然なのですが、ファミリーマートの「シャキシャキレタスサンド」を購入し、食べた2~3日後セブンイレブンの「シャキシャキレタスサンド」を購入し、食べました。あくまでも個人的感想ですが、私にはファミリーマートの「シャキシャキレタスサンド」の方が美味しく感じました。その上、ファミマの方が価格も安いのです。かつてセブンイレブンが、チルド配送ができるようになり、その時に発売した「シャキシャキレタスサンド」は衝撃的な味(食感)でした。でも今はライバルの方がより改善されているような気がします。

 ファミマの調査によると、パンがコンビニ3社のうち、どこが美味しいと思いますか?というイメージ調査によると、どうもセブン&イレブンが一番という結果になるようです。そこで、ブラインド調査で、実際に食べてもらうと差が出ないのだそうです。そこで、ファミマはパンで改良を重ね、セブンイレブンよりも安くて美味しい商品作りを地道にやっているようです。チキン、スイーツ、パン、この3つについては他社に負けない商品作りをやっていると自信をもっているようです。どうもそれが私にはファミマの好業績につながっているように思えて仕方がありません。

 ファミリーマートの連結事業利益が、2024年2月期に前期比3割増の850億円弱になったことがわかりました。従来予想を200億円ほど上回り過去最高だったようです。売上高にあたる営業収益は5000億円強と約1割増加。コンビニ事業では24年2月期の既存店売上高が前期比5.3%増加、客数と客単価がともに前年実績を上回りました。訪日外国人が増えたとか、PBが好調だとか、衣料品も伸びたという解説もありますが、個人的には既述の地道な努力が実を結びつつあるのではないかと思っています。その結果、1店舗当たりの売上高平均は56万円超と前期比2万円以上増えて、過去最高を更新しています。加盟店利益は20年比で2割以上増えました。25年2月期の連結事業利益も増益を見込んでいます。

ファミマのマーケティングの責任者の、足立光氏は常に①もっと美味しく、②たのしいおトク、③「あなた」のうれしい、④食の安全・安心、地球にもやさしい、⑤わくわく働けるお店の5つをキーワードとしてあげています。この方針を貫いているのも立派です。ファミマの快進撃は当分続くのではないでしょうか。

(4)   西友が北海道と九州から撤退

北海道からイトーヨーカ堂が撤退すると報道されたのが24年2月9日でした。今度は、西友が北海道から撤退すると24年4月3日に報道されました。

 西友の場合は、札幌市内の9店舗を170億円でイオン北海道に売却するそうです。その9店舗で働く従業員は全員、イオン北海道に移籍するそうです。西友の場合は店舗がイオンに変わりますが、従業員は引き続き働くことができますし、店舗も営業され続けます。北海道から撤退といっても、地域住民に迷惑をかけず、従業員にも迷惑をかけない、見事な撤退といえるでしょう。

西友は、また、24年4月3日、九州の全店舗69店舗(サニーの屋号で展開している)を広島地盤のスーパー大手、イズミに売却すると発表しました。同じ日に北海道と九州から撤退すると発表しました。つまり、本州の事業に集中して、経営効率(特に配送効率)を上げようとしているわけです。

これで西友の店舗網は、約2割減少し、240店舗強になります。大久保社長は、「新規出店を増やす。できるだけ早く300店舗体制に戻して、さらに店舗網を増やしたい。新たな分割売却は考えていない」とコメントしています。

西友は、北海道にしろ、九州にしろ、店舗を閉鎖することなく、他の企業に売却しているところが評価できるのではないでしょうか。店舗は残り、従業員も働ける、このような撤退なら周囲の人たちも納得するのではないでしょうか。

この西友の業績は良いのです。23年12月期の営業利益は前の期比3割増の315億円でした。25年12月期までに売上高を9000億円程度にし、営業利益率は5%以上にする目標を掲げています。

それを実現するために、アメリカのウォルマートのシステムから自前のシステムに切り換えました。それによって、➀在庫が積みあがった商品はすぐに値下げして購入を促す事が可能に、➁特売日以外でも売れ行きが堅調な商品は店頭価格を上げるようにすることも可能、➂年齢、性別、購入履歴などを踏まえ、顧客の好みに合うようなクーポンや商品情報をアプリに配信して購入を促すようにすることも可能になります。

(5)   ローソンTOB成立

 KDDIは、4月26日、ローソンへのTOBが成立したと発表しました。三菱商事とKDDIが50%ずつを出資する持ち分適用会社にします。KDDIは、通信大手で唯一、全国展開する小売チェーンをグループに持つことになります。これからKDDIとローソンが運営面で協力してきた「Ponta」ポイントのテコ入れをするそうです。また、KDDIの店舗にローソンの商品を品揃えする予定です。

(6)オアシスがアインHDの筆頭株主に?

香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントがアインHDの株式保有比率を14.89%に高めたことが5月1日にわかりました。オアシスは、どうやらアインHDの筆頭株主になったようです。周知のように、現在、オアシスは所有しているツルハの株式をイオンに売却するための交渉をしているところです。オアシスは、アインHDやクスリのアオキの株主でもあります。今後もドラッグストアの再編の舞台にオアシスが登場してくる可能性が高いと痛感した報道でした。

(7)オーストラリア、スーパー2社で7割のシェア

「食品の小売集中度」というデータがあります。1990年とデータは古いのですが、食品といってもたぶんグローサリーのことですが。これは上位10社の売上高が小売総販売額に占める割合を示しているもので、オーストラリア97%、カナダ88%、イギリス66%となっています。このように小売集中度が高い国に消費財メーカーはどのように対応しているのかに興味があって、この3つの国のどこかに調査に行きたいと思うようになりました。結局、夏休みにロンドンに行って、本屋を調べて、イギリス独自の考え方(「トレード・マーケティング戦略」:消費財メーカーのチェーンストア対応戦略を論じているもの)があるのを知って、翌年も夏休みにロンドン、マンチェスターを訪問し、『トレード・マーケティング戦略』を日本で翻訳出版し、その著者であるゲイリー先生がいるマンチャスタービジネススクールに留学することになりました。

そんな思い出があるのですが、現在のオーストラリアではさらに寡占化が進み、大手スーパーのウールワースグループが1社で37%のシェアをもっているそうです。2位のコールズ・グループと合わせると2社で7割近くになるそうです。3位は、ドイツ系ディスカウントスーパーの「アルディ」で約10%のシェアを持っているそうです。3社で8割です。ここまで寡占化が進むと弊害も出るようで、国会議員が特にウールワースとコールズは商品の販売価格が高すぎると議会の聴聞会で批判しています。もっと販売価格を引き下げるように圧力をかけているわけです。

オーストラリアは、ますます食品小売業界の寡占化が進んでいるんだな~と痛感した次第です。

(8)近鉄百貨店、本店以外は百貨店やめる

近鉄百貨店は、2029年2月期までに本店以外の店名から「百貨店」を外すそうです。

郊外や地方の店舗はアパレルなどのテナントを誘致する従来の百貨店モデルから脱し、日常使いの商業施設として生き残る姿勢を鮮明にするそうです。地方は脱百貨店を進めて暮しに役立つ店舗に刷新するのだそうです。名称を変える対象は、近鉄百貨店奈良店、近鉄百貨店和歌山店など郊外9店舗です。

 24年~28年度に合計で250億円以上を改装などに投じ、日常的に利用してもらいやすい店舗に変えていくそうです。郊外店は、駅前で立地が良いので、行政サービスや医療クリニックなども入居した施設に作り替えるそうです。また、店舗によっては洋裁教室や学習塾などを開き、地域コミュニティとしての利用を促すようにするようです。中層階には専門店を入れ、上層階には子育て支援や金融など生活サービスを中心とした売場にするそうです。

24年度には、東大阪店と和歌山店に「成城石井」を開くそうです。

 大都会以外での百貨店の生き残り策は、明確になっていなくて、百貨店のない県が少しずつ増えています。地方百貨店の生き残り策を近鉄百貨店が示してくれるのか興味のあるところです。

 私が住んでいる船橋市では、西武百貨店が閉店し、東武百貨店が元気ですが、その東武百貨店の中に入っていくと、ユニクロ、ABCマート、家電量販店などがテナントに入っていて、かつての百貨店というイメージからは離れている感じがします。でも使い勝手がよいようで繁盛しています。地方百貨店は、ますます生き残りが難しくなりそうです。でもそこに住んでいる人たちは百貨店がなくなると、街が寂しくなりますし、つまらなくなりますので、百貨店には頑張ってもらいたいのです。

(9)ドン・キホーテ、顧客志向の徹底

 ➀従業員や客の評価で商品値下げ

ドン・キホーテでは、電子マネーアプリ「majica」に組み込んだ評価サービスで約1400万人の会員の声を集めます。会員が購入した商品について高評価の「いいよ!」と低評価の「ビミョー」の2択で評価する仕組みで、評価の高い商品を値下げします。酒類を除く約5万商品が対象になります。

 値下げは洗剤などの日用品や菓子類、調味料などを想定し、5月から本格的に運用を始めます。高評価商品の中から毎月10商品を選び、全国の店舗で1~3割値下げします。各地域で需要が高い商品についても、10~60商品を対象に値下げします。

 傘下のユニーでは、パートを含む従業員約2万3000人を対象に3か月に1度の頻度で、選挙形式で、単品ごとに理想とする価格を募ります。投票の結果から約300品目商品を選び、2~3割値下げするそうです。

 どちらも値下げ対象商品を集客施策の目玉にするそうです。

 値下する商品を消費者や従業員の声で決めるという点が、とても珍しいですね。

➁PBへの不満、投稿で代金返金

 ドン・キホーテは5月9日、PB商品全5万7千品を対象に購入代金を返金するサービスを始めたと発表しました。顧客が商品に満足できなかった場合、専用アプリから不満の理由を投稿すれば返金に対応するそうです。顧客からの声をより多く集め、商品開発に生かすためだそうです。

 8日から返金に対応する「マジ買取」を始めました。「情熱価格」や「偏愛めし」など全7ブランドが対象。購入時に電子マネーアプリ「majica」など自社決済を利用することが条件になります。購入から7日以内にマジカ内の商品評価サービスで投稿する必要があります。そして、商品を購入した店舗で対象の商品とレシート、マジカのスマホ画面を提示すると購入代金が電子マネーで返金されるそうです。

 ➀も➁も小売業では、初の試みではないでしょうか。ドン・キホーテの顧客志向は本気のように思えます。

(10)ライフ、生鮮品を自動発注

 ライフは、300店超の全店舗の生鮮部門で、人工知能の需要予測による自動発注システムを導入するそうです。消費期限の短い生鮮品の需要予測は難しいので、これは画期的なのではないでしょうか?

農産・畜産:水産の売上高は店舗の売上高の約3割を占めますし、発注の自動化ができれば全店舗で年間10万時間の業務を減らせるのだそうです。

AIが販売実績や特売、気象予報など7種類のデータに基づき、畜産の200品超の需要を予測します。発注数を自動で算出し、店員は地域イベントなど必要に応じ数量を調整する仕組みです。1週間分の発注にかかる時間は70~80分と、導入前から3~4割減ったそうです。また、AIを導入した部門では、新人やパート従業員への発注業務の教育期間は約半年から1か月に縮まるそうです。

ただ、このシステムの導入のための実験店である大倉山店では、22年6月から実験しましたが、当初はAIの予測精度が低く「アラート」の表示が発注全体の6割にのぼったそうです。そこで経験豊富なチーフが一つ一つの予測数値を毎日、修正していたそうです。そして、約8カ月のデータを蓄積し、ようやく発注担当者と遜色のない精度になったそうです。人工知能の需要予測による自動発注システムの導入といっても、これだけの実験・実証をして、精度を上げないといけないようです。それだけにライフのこのシステム導入は意義があると思います。同時に競争上有利になっていくと思います。

(11)レジは座って接客

 ベルクは3店舗で5月上旬からレジの各列に黒い椅子を置いています。レジ係は、座って接客している人もいれば、従来のように立って接客している人もいます。そして、お客さんが途切れた時に椅子に座っている人もいます。試験的に導入したのですが、この動きは広がるかもしれません。

 ご存じのように欧米はスーパーのレジ係は椅子に座っているのが普通ですし、韓国も椅子に座って接客してるそうです。25年前にイギリスに留学した時、どのスーパーにいっても、従業員は椅子に座って接客しているので、1週間もしないうちに慣れてしまいました。

 買い物客の反応を気にする日本ですが、たぶん、数年後には、スーパーのレジ係は座って接客しているのではないでしょうか?

(12)セブンプレミアム、1兆4500億円

セブンプレミアムの23年度の売上高は、1兆4500億円でした。年間売上高が単品で10億円以上となる商品が303品あり、このうち加工食品が45%を占めています。セブンプレミアムは、07年に発売した時の商品数は49でしたが、今や、食品、日用品、衣料品を含めて約3400に拡大しています。なお、24年度の売上計画は1兆5000億円です。

イオンのトップバリュは、24年2月期の売上高が1兆10億円となり、こちらも1兆円を超えました。

 

3,消費財メーカーについて

(1)花王、ヘアケア効率化に動く

花王は、23年12月期まで5期連続で最終減益が続いていました。新型コロナウィルス禍で化粧品の販売が落ち込んだことや、中国のおむつ事業が現地のメーカーの台頭で不振に陥ったことが響いたと言われています。

その花王の24年1~3月期の連結純利益は、前年同期の3.4倍の164億円となりました。1~3月期としての最終増益は20年以来で4年ぶりだそうです。といっても工場売却が奏功したということです。

花王は通年での純利益予想を前期比2.2倍に置いています。これを実現しながら、25年までにシャンプーやトリートメントなど国内で販売するヘアケア商品の商品群の数を11から6に絞り込むそうです。「メリット」の下に「メリット ザマイルド」といった商品群を展開しているのですが、これらを集約するそうです。花王のシャンプーは、「メリット」と「エッセンシャル」でヘアケア事業約500億円の6割を占めていますので、商品群の数を減らして、プロモーションを増やせば、効果が出るのかもしれません。花王は、集約するブランドに経営資源を集中させ、ヘアケア事業の売上高を27年12月期には前期実績の1.4倍に引き上げる事を目指すそうです。

でもヘアケア用品は、ブランドが分散していて、若い人ほど大手メーカーの商品を好まない傾向にあるようなので、この計画の実現は難しいように感じます。

 

 

4,その他

(1)   私の近況

1)4月になってから、公民館活動のサークルに2つ入りました。いずれも午前中の活動です。病院も午前中に行きます。午前中は比較的体調がいいので、ほとんどの行動は午前中に行っています。5月になってから、同世代の友人宅にお邪魔して、昼呑みを二度行ってみました。練習です。少しずついろいろな行動を午前中中心に行っています。

2)1年間で体重が10キロ以上減少しました。今は、フレイル状態(筋肉のおとろえにより心身の働きが弱くなった状態)です。体重を少しでも増やそうと努力中です。これも急には実現できないようで、数か月とか半年以上の時間と努力が必要のようです。大きな病気は見つかりませんでした。その点は安心してください。

3)OBOGの数人の方から、「久しぶりにお会いしたい」とか「一緒に食事をしたい」といった連絡をいただいております。ありがたい申し出なのですが、私が皆さんと実際に夕食の場面でお会いできるのはまだまだ先の話になると思います。今の状況からすると秋以降ではないかと予想しています。是非、ゆっくりとお考えになって、来年あたりに会ってみようかと思っていただけるとありがたいです。

                                      以上