「月刊 流通雑感」NO.177、2019年 6月号(その2) | 流通雑感のブログ

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(5)二分の一ルールへ

 食品ロスの低減を目指して、小売企業が三分の一ルールを二分の一ルールに変更しようとしています。

「三分の一ルール」・・・メーカー側が製造日から賞味期限の三分の一が経過する前に小売店に商品を納品しなければいけないルールです。期限を過ぎていれば、商品は返品され、7割超が廃棄されています。2割超がディスカウント向けなどに安値で販売されています。

「二分の一ルール」・・・・メーカー側が製造日から賞味期限の二分の一が経過する前に小売店に商品を納品しなければいけないルールです。

 三分の一ルールを、小売業が二分の一ルールに変更するだけで、食品ロスは減少することが予想されます。

 イオンやイトーヨーカ堂で変更が進んでいます。コンビニでも変更しようとしています。今回はヤオコーが二分の一ルールに変更しようと動きはじめましたので、この動きは広がりを見せていくのではないでしょうか。

(6)アマゾンとライフが協業

 ライフ・コーポレーションの店舗内のお惣菜・生鮮食品などをアマゾンで注文できるようになるそうです。今年の秋からスタート予定です。顧客がアマゾン経由で注文すると、ライフの店員が注文された商品をピックアップし、それをアマゾンの配送係りに渡して、顧客の家まで配送するという方法です。

 ネットとリアルの融合のひとつの形です。

 

 3、メーカーのチャネル戦略        

(1)セイバンのチャネル戦略

 ランドセル大手のセイバンが、ブランド化に乗り出しています。2016年に「セイバンマーケティング」という販社を作り、2014年から直営店を作り始めています。2019年5月17日には、直営店が10店になりました。

 自社で製造し、自社で販売していくという姿勢です。もちろん、今のところ百貨店や総合スーパーでも販売しています。

 直営店には、ランドセルコンシュルジュを配置(現在55名)、製造部門でもマイスター制度(マイスター認定は今のところ3名)を設けています。

 また、ファミリアと提携し、「プリスクール」事業で共同出資会社を作ったり、直営店でファミリアの洋服を販売したりしています。中国への進出にも意欲的です。

(2)誰でもがトイレタリー用品やメイクアップ化粧品のブランドを立ち上げれる時代に

 花王によるとヘアケア市場における800円未満のマス向け商品の比率は、2010年の77%から2018年には50%に縮小したそうです。その代わり、800~1400円の価格帯は11%から28%に、1400円以上は9%から19%に増えたそうです。値段が多少高くても自分らしい商品を求める市場が拡大しています。それを花王は「スモールマス市場」と呼んでいるようです。

 1990年以降に設立された新興企業がメイクアップでもシャンプーでも次々と登場しています。「イミュ」というメーカーは、マスカラで「オペラ」というブランドや、「デジャヴュ」が好評ですし、アイライナーでは「フローフシ」というメーカーが高評価です。シャンプーの「アイエヌイー」の「ボタニスト」などもあります。

 受託製造を手がけるメーカーは多く、成分やパッケージデザインを指定すれば、生産を丸ごと代行する企業は数百あるそうです。たとえば、化粧品の受託生産の国内市場規模は2019年度に3300億円と5年で1.5倍に拡大するようです。

 誰でもマーケティングセンスさえあれば、ブランドを立ち上げることができます。お金は、クラウドファンディングで集めましょう。今や、消費者の一部の共感さえ集められれば、誰でも企業を作れます。いい時代です。

 

4、その他

(1)キーエンス、高収益の秘密

 キーエンスは、平均年収が高いことで有名です。平均年収は、2018年度で2088万円です。ファナックの1347万円、オムロンの804万円とい比較しても高いことは一目瞭然です。平均給与は、上場企業の平均の3倍です。

 企業が高収益だから、高い給与を出せるわけです。キーエンスの売上高原価率は、18%です。ファナックの58%、オムロンの59%と比較して、売上高原価率がとても低いことがわかります。そのため、営業利益率が54%と高いのです。ファナックの営業利益率は、26%、オムロンは9%です。キーエンスは自社工場をもっていないため売上高原価率が低いのです。生産委託先との取引は現金決済を採用する一方で、「キーエンス向けの製品が大半を占めるようにして、仕入れ値も品質もしっかりとコントロールする」ようにしているそうです。

 キーエンスの主力は、工場のファクトリーオートメーション機器の制御に使うセンサー機器です。でもキーエンスは、他社の追随を許さない独自技術はあまりないのです。工場もないのです。それでなぜ高収益なのでしょうか?

 ある企業は次のように言います。「他社がカタログベースの説明に終始するなか、キーエンスだけはニーズを捉えた提案を自らしてくる。」つまり、キーエンスが他社の追随を許さないのは、徹底した顧客志向にあるのです。顧客の現場を訪問し、顧客の現場のニーズを的確に捉えたシステムを提案し、膨大な種類の機器の中から適切なものを選んで、ソフトと組み合わせてシステムとして提案しているのです。ここが評価されているのと、ひとつの機器ではなく、組み合わせて多くの機器を販売することによって、売上高と利益を獲得しているのです。

 キーエンスの原動力は、足でかせいだ顧客データです。キーマン情報や現場の悩みを数十年かけて蓄積し、それを基に営業と製品開発の戦略を絶えず更新しています。製品開発でも重視するのはデータです。開発担当者のもとには毎月、全世界の営業マンが顧客の工場に足しげく通って作成した「ニーズカード」が大量に届きます。そのニーズカードをみながら、開発担当者は「まだ世の中にない機能」をキーワードに開発を進めています。

 キーエンスの顧客サービスの中で、特徴的なのは「故障などのトラブルがあれば部品を即日配送している」ことです。これも顧客志向に基づくサービスです。

 他方、営業マン管理には厳しい面があります。たとえば、営業担当者の成績ランキングが常に社内に公表されています。一定以下の順位に留まっていると個別面談を受けることもあります。また、営業者にはGPSが付いていて、予定時間と結果が10分以上ずれた場合には上司に理由を問いただされることもあります。

 キーエンスは、この営業マンの顧客目線でのニーズ把握、システム提案が高収益を支えているといえます。ただ、厳しい面もあるので平均勤続年数が12.2年となっていて、従業員の平均年齢は35.9歳です。これもキーエンスの実態です。

  1. ライザップ、赤字193億円

 ライザップグループの2019年3月期の決算が報告されました。連結決算の最終損益は193億円の赤字でした。前期は90億円の黒字。急速なM&Aで抱えた不採算子会社の構造改革費用が膨らんだ結果です。

 売上高は2225億円(前期比82%プラス)、営業損益が93億円の赤字。それに店舗閉鎖や商品評価損などの構造改革関連費用が93億円。

 本業の個人向けジム事業は堅調です。次年度の最終損益を5億円の黒字と見込んでいます。もしも、黒字にできなかったら瀬戸社長は退任すると発言しています。急速に成長していたようにみえたライザップに夢を託した人も多かったでしょうから、それだけの責任が経営者にはあります。

      以上